User Tools

Site Tools


white_robe_love_syndrome:scr01121

Full text: 139 lines Place translations on the >s

[001]勤務が終わって、

[002]お風呂も入って一段落。

[003]今夜はかかってくるかな……。

[004]来た……!

[005]【かおり】

[006]「こんばんは、あみちゃん」

[007]【あみ】

[008]『ごきげんよう、かおりお姉さま』

[009]あのあと、夏休みが始まる前に、

[010]あみちゃんは無事退院し、

[011]お嬢様学校である桜立舎学苑神庫分校に戻った。

[012]お友達と仲直りをしたあみちゃんは

[013]学校でわたしの話をしたらしく、

[014]いつの間にかわたしは『かおりお姉ちゃん』から

[015]『かおりお姉さま』と呼ばれるようになっていた。

[016]退院してからしばらくは、

[017]殆ど毎日のように電話がかかってきていたけれど、

[018]最近は一週間に一回あるかないかくらい。

[019]わたしのことを好きだと言ってくれた

[020]あみちゃんの気持ちは、

[021]優しくしてくれた看護師を好きになる

[022]患者さんにありがちな一時的なものだったらしい。

[023]そうだよね、

[024]あみちゃんは自分の世界に戻ったんだから、

[025]いつまでも病院の空気を引きずってちゃいけないよね。

[026]……ちょっとさみしい気もするけど。

[027]でも、

[028]『かおりお姉さま』って呼ばれるのは、

[029]……うん、悪くない。

[030]わたしがもの思いにふけってる間、

[031]あみちゃんはずっとしゃべり続けている。

[032]【あみ】

[033]『でね、こっそり書いていたお手紙が、

[034] 知らない間に読まれちゃってたんです!!」

[035]【あみ】

[036]『……で、今日、告白されちゃって……!!

[037] ねぇ、かおりお姉さま、

[038] わたしの気持ち、わかってくださいます!?』

[039]くすっと笑いが漏れた。

[040]【かおり】

[041]「うん……、

[042] 恋する乙女の気持ちはわかるよ」

[043]【あみ】

[044]『わぁ! かおりお姉さまなら

[045] そうおっしゃってくださるって

[046] 思っていたんですー!!』

[047]今日のこの電話は

[048]あみちゃんに学苑で好きな子ができて、

[049]その子と相思相愛になった、その報告らしい。

[050]ちょっと前に、好きな子ができたって聞いてたけど、

[051]まったく、こっちの気も知らないで……って言うのは、

[052]ちょっと大人気ないかな。

[053]【かおり】

[054]「うん、うん。

[055] わけもなく胸がドキドキして、

[056] その人のことで頭が一杯になるんだよね」

[057]【あみ】

[058]『そうなんですー!

[059] もう、宿題とか練習とか、全然手につかなくて!!

[060] どうしましょう、かおりお姉さま!!』

[061]【かおり】

[062]「……で、ノロケを聞かせるために、

[063] わたしに電話してきたのね」

[064]【あみ】

[065]『だって、こういうことを相談する相手って、

[066] かおりお姉さましか思い浮かばなかったんです!

[067] みんな、冷たくあしらうんですよー!!』

[068]『みんな』か……。

[069]あみちゃんもすっかり学校に馴染んで、

[070]それはそれで『姉』としては

[071]喜ばしいことなんだよね。

[072]【かおり】

[073]「ま、別にいいんだけど、

[074] でも、そういうことって、学校のお友達と

[075] ワイワイする方がいいんじゃない?」

[076]【あみ】

[077]『えへへー。

[078] もう今日の下校の時に、

[079] 友達の家でジュースで乾杯してきました!!』

[080]【かおり】

[081]「あ、そう」

[082]相変わらず、ちゃっかりしてるなぁ。

[083]学校の友達と騒いだ上に、

[084]わたしにまでノロケを聞かせたいだなんて。

[085]これってつまり、わたしは

[086]あみちゃんにフラレちゃったってことだよね。

[087]でも、まぁ、相手は高校生だし、

[088]これはこれでいいのかもしれない。

[089]要するに、仕事に集中しろって

[090]天のカミサマが言ってるのかもしれないしね。

[091]【あみ】

[092]『んもーう!

[093] かおりんさん……じゃなかった、

[094] かおりお姉さまったら、聞いてますー!?』

[095]【かおり】

[096]「うふふ、聞いてるよー」

[097]ま……姉としては、

[098]妹が元気に恋してるのは、

[099]喜ばしいことでもあるわけだし……ね。

[100]【かおり】

[101]「相思相愛記念に、

[102] その子、今度、ここに連れておいでよ。

[103] あみちゃんの彼女、見てみたいなー」

[104]【あみ】

[105]『えっ、でもぉ〜。

[106] お邪魔じゃないですか?』

[107]【かおり】

[108]「ふふっ、

[109] わざわざノロケ電話かけてきた子が

[110] そんなこと気にしちゃうわけ?」

[111]【あみ】

[112]『ああーん、

[113] かおりお姉さまのイジワルぅ!!

[114] そんなイジワル言うなら連れて行きませんよ?』

[115]【かおり】

[116]「あら、あみちゃんこそ意地悪ね。

[117] ……で、どんな子なの?」

[118]【あみ】

[119]『えへへー。

[120] あのですねー』

[121]ここから延々、2時間ほど

[122]あみちゃんの彼女の話を聞かされた。

[123]明日の日勤は

[124]眠い目を擦りながらの勤務になりそう。

[125]これも『姉』の役目の辛いところ……かなっ。

[126]話を聞く限りでは、とってもいい子みたいだし、

[127]『妹』の幸せを願って、祝福してあげようって

[128]心から思う。

[129]おめでとう、あみちゃん。

[130]でも、お姉さまとしては、

[131]恋に浮かれちゃうのもいいんだけど、

[132]そろそろ受験勉強に本腰を入れなくて平気なのかなって、

[133]ちょっと心配しちゃうんだけど……ね。

[134]あみちゃんの今の成績なら

[135]きっと大丈夫だと思うんだけど。

[136]これから、あみちゃんには

[137]無限の未来が待ってる。

[138]わたしは、それを見守れるだけで

[139]幸せだなぁって思うの。

white_robe_love_syndrome/scr01121.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)