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white_robe_love_syndrome:scr01001

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[001]プリセプターが山之内さんになった。

[002]あの海千山千の山之内さんの指導を

[003]直接得られる、ということは

[004]わたしも山之内さんみたいな

[005]海千山千の看護師になれるかもしれない!!

[006]よーし、頑張らなくちゃ!!

[007]……と思ってたんだけど。

[008]【かおり】

[009]「うう……」

[010]お弁当の中の玉子焼きを味わいながら、

[011]早速の挫折感も一緒に味わってみる。

[012]山之内さんの指導は

[013]なぎさ先輩のやり方とは全然違って、

[014]「答えは自分で考えろ」っていうのが基本だった。

[015]【やすこ】

[016]「初めての抗生物質を点滴する前に、

[017] 何で皮内注射するかわかってんのか?」

[018]【かおり】

[019]「ほぇ……? ……っと。

[020] ……わかりません」

[021]【やすこ】

[022]「ほな、それ宿題な。

[023] 答えがわかったら聞いたる」

[024]【やすこ】

[025]「回答に期限はないけど、

[026] 正解するまでは、あんたには一切

[027] 抗生物質の皮内注射はさせんから、そのつもりで」

[028]【かおり】

[029]「え……」

[030]あの件はすぐに、皮内注射をすることで、

[031]その抗生物質に対してアレルギーを起こさないかを

[032]チェックしてるってことがわかって、

[033]今では皮内注射もさせてもらえるようになった。

[034]何とか山之内さんの指導についていこうと頑張るけど、

[035]頑張れば頑張るほど、出される質問が増えて、

[036]おかげで業務後は疲労困憊。

[037]やってることはもう慣れたし、

[038]大したことはないんだけど、

[039]いつ山之内さんチェックが入るかと思うと

[040]つい身構えてしまう……。

[041]更に、担当に戻ったことで、

[042]堺さんの嫌味まで受ける破目になるし……ううっ。

[043]でもっ!!

[044]いつか山之内さんに

[045]「あんたはうちの相棒や!」って言われるほどの

[046]スーパーナースになるんだから!!

[047]そうしたら、きっと

[048]堺さんにも嫌味言われなくなるだろうし、

[049]一石二鳥!!

[050]【かおり】

[051]「ま、負けないもんっ!!」

[052]口の中に、残りのお弁当を詰め込んで、

[053]いつもより少し早く詰所へと戻った。

[054]【かおり】

[055]「……はれ?」

[056]何だか病棟内がバタバタしてる……?

[057]【やすこ】

[058]「沢井、休憩中悪いけど、

[059] 外来から救急カート借りてきて!」

[060]【かおり】

[061]「救急カートは内科にもあったじゃないですか」

[062]【やすこ】

[063]「龍角さんと網野さんの意識レベルが

[064] ほぼ同時に落ちた!

[065] カートは今、312にある!」

[066]ということは、

[067]301号室の網野さんには

[068]救急カートが使えないってことで……!

[069]【かおり】

[070]「わかりました!

[071] 今すぐ、外来から借りてきます!!」

[072]今の時間なら、

[073]外来は診療時間外で、

[074]救急カートが使われていることはないはず!!

[075]外来の看護師さんに説明すれば、

[076]貸してくれるはずよね……!!

[077]【はつみ】

[078]「みなさん、お疲れ様でした……」

[079]龍角さんの急変には主任さんがリーダーとして、

[080]網野さんの急変には山之内さんが

[081]臨時のリーダーになって、

[082]何とか乗り切った。

[083]わたしは山之内さんのプリセプティーだし、

[084]網野さんのグループで対応したんだけど、

[085]最初は、ひたすらどうしよう、どうすればと

[086]ただ混乱してただけだった。

[087]でも山之内さんに次々と指示を出されて、

[088]その通りに動くことで、

[089]山之内さんに従っていれば間違いはないって思い始めて、

[090]伸び伸びと仕事ができたと思う。

[091]お陰で、網野さんも持ち直したし、

[092]龍角さんも、呼吸状態が戻ったし、

[093]取り敢えずは一段落、かな。

[094]【かおり】

[095]「一時はどうなるかと思ったけど、

[096] 持ち直して良かったですねー」

[097]【やすこ】

[098]「あ?

[099] 良かった?」

[100]なぎさ先輩のいれてくれた

[101]インスタントコーヒーを飲みながら、

[102]じろりと山之内さんがわたしを睨んだ。

[103]【やすこ】

[104]「あんたな、もうプロになって何ヶ月や?

[105] ちったぁ状況を見て、予測して、

[106] 自分で考えて行動しようとか思わへんの?」

[107]【やすこ】

[108]「ただボケーッと口開けて指示待っとるだけやったら、

[109] 看護師やのうてもできるわ。

[110] 何のために白衣着てここにいてんねん!」

[111]【かおり】

[112]「…………」

[113]【やすこ】

[114]「あんた、三年間の学生生活と、

[115] 看護師になってからの時間、何してたん?

[116] ボサーッと突っ立ってるだけの無能は帰れ!」

[117]【かおり】

[118]「…………」

[119]あまりの言葉に、

[120]目の前が真っ暗になりそうだった。

[121]涙が浮かんできたけど、

[122]ここで泣くわけにはいかない。

[123]山之内さんは

[124]泣きそうになってるわたしから

[125]ターゲットをなぎさ先輩へと移した。

[126]【やすこ】

[127]「藤沢。

[128] あんたがプリセプとして頑張ってたんは知ってる。

[129] でもな、甘やかして、褒めるだけやったやろ」

[130]【やすこ】

[131]「後輩なんざミスして当たり前。

[132] あんたは沢井のミスをまるっと背負う覚悟で、

[133] 甘やかしとったんか?」

[134]【なぎさ】

[135]「……す、すみませんでした……。

[136] わたしが沢井のプリセプを降りて、

[137] 山之内さんになって正解だと思います……」

[138]なぎさ先輩の目にも涙が浮かんでる。

[139]わたしが至らないせいで、

[140]なぎさ先輩まで叱られて……。

[141]【やすこ】

[142]「アホか。

[143] うちが言いたいのは、そういうことやない!

[144] 仕事するっちゅー意味考えて仕事せんかい!」

[145]【やすこ】

[146]「フォローする、フォローされるいう意味、

[147] 考えながら仕事せぇっちゅーこっちゃ!

[148] 後輩はあんたの背中見ながら育つねんで!!」

[149]【なぎさ】

[150]「す、すみません……」

[151]【かおり】

[152]「…………」

[153]ぐっと唇を噛んで、

[154]泣いてしまったなぎさ先輩を見る。

[155]ごめんなさい、

[156]わたしが無能なばっかりに、

[157]なぎさ先輩までとばっちりを受けることになって。

[158]【やすこ】

[159]「泣くな。

[160] 泣いて状況が変わると思ったら

[161] 大きな間違いやで」

[162]【なぎさ】

[163]「そんなこと……思ってません……!!」

[164]【はつみ】

[165]「山之内さん、それくらいで。

[166] 今回はちょっとイレギュラーだったのだから

[167] 仕方がないわ」

[168]主任さんの言葉に、

[169]ぷいっと山之内さんがそっぽを向く。

[170]【はつみ】

[171]「……でも、山之内さんの言う通りよ。

[172] 藤沢さん、あなたが沢井さんの指導を下りても、

[173] 沢井さんの先輩であることに変わりはないわ」

[174]【はつみ】

[175]「沢井さんだけでなく、患者さんも、

[176] 常にあなたの背中を見ている……

[177] そう思っていてちょうだい」

[178]【なぎさ】

[179]「は、はい……」

[180]【はつみ】

[181]「沢井さんもよ。

[182] 白衣を着てここにいる以上、

[183] あなたはプロの看護師なの」

[184]【はつみ】

[185]「経験不足は仕方がないわ。

[186] でも、それを補うような『何か』が

[187] あなたにも必ずあるはずよ」

[188]【かおり】

[189]『何か』って……何ですか?」

[190]主任さんはクスッと笑った。

[191]【はつみ】

[192]「ばかね、

[193] それは自分で考えて、見つけなさい。

[194] あなたたちに期待しているわ、頑張って!」

[195]――主任さんのフォローは嬉しかったけど、

[196]やっぱり、できなかった自分への自己嫌悪が

[197]胸の中に残った。

[198]       これは……夢の中?

[199]       女の子がいる。

[200]何もない空中に向かって、

[201]何か良くわからないことを言っている。

[202]【かおり】

[203]「…………?」

[204]【???】

[205]「わたしはイライラした。何故なら、それは

[206] 昔のわたしと同じで、ただ足を竦ませていた自分を

[207] ただ見せ付けられているような気がしたからだ」

[208]……何かの小説の一説なのかな?

[209]【かおり】

[210]「あなたは誰?

[211] そこで何をしているの?」

[212]【???】

[213]「わたしは苛立ちを抑えられなかった。

[214] 今のわたしにはもう力がある。それがわかっていても、

[215] 苛立ってしまったのは、わたしの弱さなのだ」

[216]話しかけてみたものの、

[217]どうやらわたしの声は届いていないらしい。

[218]それとも無視してるのかな?

[219]昨日、叱られたことは

[220]叱られて当たり前のことだった。

[221]心機一転!

[222]今日も頑張る!!

[223]山之内さんは看護師として何年も経験があるから、

[224]新人看護師としての自分が

[225]太刀打ちできないのは当たり前。

[226]言われたことは事実として素直に受け止めて、

[227]せっかくプリセプターについてもらったんだもん、

[228]山之内さんの仕事ぶりを盗む感じで仕事しよう!

[229]【かおり】

[230]「あ、点滴チェックも、

[231] 詰めるのも終わってるんですね!

[232] じゃ、わたし、点滴回り行ってきます!!」

[233]【なぎさ】

[234]「さ、沢井……?」

[235]【かおり】

[236]「山之内さんは網野さんとか龍角さんとか

[237] 難しい患者さんの対応があるから、

[238] わたしにできることはどんどん言ってください!」

[239]【やすこ】

[240]「あっそ。

[241] ほな、点滴は新人ふたりでよろしゅう」

[242]【なぎさ】

[243]「沢井……、無理してない?

[244] あたしの前では、普通にしてていいのよ?」

[245]【かおり】

[246]「大丈夫です!!

[247] わたし、自分のできることを、

[248] 最大限、頑張るって決めたんです!!」

[249]空元気なのはわかってる。

[250]でも、空元気でも、

[251]続けてると、ホントに元気になれるって

[252]わたし、知ってるもん!!

[253]【かおり】

[254]「はーい、点滴の時間でーす!

[255] おとなしく横になってくださいねー!」

[256]【かおり】

[257]「……というわけで、

[258] 大部屋の患者さんの点滴、

[259] 六人連続で成功したんですよー!」

[260]【やすこ】

[261]「……あんなぁ、そんなんできて当たり前や。

[262] 自分が患者やったら、って考えてみ?

[263] 一発で成功されへんかったら、どう思う?」

[264]う……っ!

[265]【かおり】

[266]「そ、それは、二回も三回も刺されるのは

[267] すごく嫌ですけど……」

[268]【やすこ】

[269]「ま、そういうこっちゃ。

[270] 一回で針刺し成功するんは、

[271] 看護師として最低ラインの必要最低技能や」

[272]そう言い放って、

[273]山之内さんは詰所から出て行ってしまった。

[274]【なぎさ】

[275]「……な、何よ、あれ!!

[276] ちょっとくらい、

[277] 褒めてあげてもいいじゃない!!」

[278]【かおり】

[279]「だ、大丈夫です、なぎさ先輩。

[280] 山之内さんは当たり前のことを

[281] わたしにもわかるように言っただけなんですから」

[282]そう言いながらも、

[283]ちょっと落ち込んでしまう気持ちは

[284]なかなか隠せないんだよね……、はぁ。

[285]いつものボトル交換。

[286]せっかく担当に戻れたのに、

[287]堺さんの反応は、いつもと同じく素っ気なくて冷たい。

[288]思わずため息が漏れる。

[289]【かおり】

[290]「……はぁ」

[291]【さゆり】

[292]「……患者さんの前で溜め息、ですか。

[293] あなたやっぱり

[294] 看護師に向いてないんじゃないですか?」

[295]【さゆり】

[296]「プロ意識が足りないんですね。

[297] ああ、違うわ。

[298] 足りない、じゃなくて、元からないのよ」

[299]【かおり】

[300]「…………」

[301]黙ったまま、軽く頭を下げて

[302]堺さんの部屋から出る

[303]このまま詰所に戻る気にはなれなくて。

[304]人通りの少ない階段にうずくまる。

[305]【かおり】

[306]「わたし……本当にダメだなぁ……」

[307]泣いちゃダメ。

[308]……今は、泣かずに、

[309]ちょっと泣きそうになった気持ちを落ち着けるだけ。

[310]落ち着いたら、

[311]詰所に戻ろう……。

[312]詰所に戻ってすぐ、

[313]主任さんに手を引かれて、休憩室に押し込められた。

[314]【はつみ】

[315]「何があったかは聞かないわ。

[316] 取り敢えず、これでも飲みなさい」

[317]ほかほかと湯気を立てているコーヒーは

[318]検尿コップに入っている。

[319]【かおり】

[320]「……どうして検尿コップなんですか?」

[321]【はつみ】

[322]「どうして、って……。

[323] 仕事してるーって感じ、しないかしら?」

[324]【かおり】

[325]「しないわけじゃないですけど……」

[326]緑茶でなくて良かった、と

[327]思わなくもない。

[328]そっと口をつけると、

[329]コーヒーフレーバーの、熱いお湯が

[330]口の中に広がった。

[331]……主任さん、

[332]このコーヒー、薄すぎです……。

[333]でも、せっかく

[334]わたしのために用意してくれたのに

[335]文句なんて言えないよね。

[336]【かおり】

[337]「あの……訊いていいですか?」

[338]【はつみ】

[339]「何かしら?」

[340]【かおり】

[341]「わたし……

[342] 看護師に向いてないんでしょうか……」

[343]【はつみ】

[344]「……それって、

[345] わたしが『向いていない』って言ったら、

[346] 沢井さんは看護師を辞めるの?」

[347]【かおり】

[348]「…………」

[349]逆に訊かれて、答えられず、

[350]薄いコーヒーの湯気をただ見つめた。

[351]【はつみ】

[352]「あなたは何のために働いているの?

[353] 山之内さんや藤沢さんに褒めてもらいたいから?

[354] 違うでしょう?」

[355]【かおり】

[356]「…………」

[357]黙ったまま、こくりと頷く。

[358]褒められると嬉しい。

[359]けど、褒められることが

[360]ここで白衣を着て働いてる目的じゃない。

[361]【はつみ】

[362]「わたしたち看護師は

[363] 患者さんのために病院で働いているの」

[364]【はつみ】

[365]「仕事はできて当たり前だし、

[366] 誰に評価されなくても、

[367] それが当然なの」

[368]【はつみ】

[369]「昨日より今日、今日より明日、患者さんが

[370] 元気になるためのお手伝いをする……それが

[371] わたしたちの仕事なのではないかしら」

[372]【かおり】

[373]「…………」

[374]何か、その言葉で心が動いた気がして、

[375]顔を上げた。

[376]【はつみ】

[377]「わたしたちは当たり前の仕事をしただけなのに、

[378] それで『ありがとう』って言われると、

[379] ものすごく得をした気分になるわよね」

[380]とても優しい目が、わたしを見つめている。

[381]【はつみ】

[382]「あなたは経験が浅いからまだ知らないかもしれない。

[383] けれど、続ければ続けるほど、面白くなる仕事よ。

[384] それを知る前に辞めるのは……勿体ないと思うわ」

[385]【かおり】

[386]「勿体ない……?」

[387]【はつみ】

[388]「ええ、勿体ないわ。

[389] たしかに看護の仕事は辛いことも一杯ある。

[390] でも、それ以上に、嬉しいこともたくさんあるの」

[391]主任さんは遠い目で、柔らかく微笑んだ。

[392]【はつみ】

[393]「何もない自分が生きることを許されるだけでなく、

[394] 自分が生きている価値を感じられる仕事なんて、

[395] そう滅多にあるものではない……そう思うわ」

[396]【なぎさ】

[397]「おっつかれー!!」

[398]本当は山之内さんの話を聞きたかったんだけど、

[399]いつものように、仕事が終わるとすぐ消えたので、

[400]代わり……というのは変だけど、

[401]なぎさ先輩が付き合ってくれることになった。

[402]【かおり】

[403]「お疲れ様でした」

[404]【なぎさ】

[405]「どうした、どうした、

[406] テンション低いぞ、さーわいー!」

[407]【かおり】

[408]「そ、そんなことないですよー。

[409] 気のせいじゃないですか?」

[410]【なぎさ】

[411]「最近、すごく頑張ってるじゃない!

[412] ストレスとか溜めてんじゃないの?

[413] 頑張る子には、あたしの胸を貸したげる!!」

[414]なぎさ先輩から褒められた……。

[415]でも、正直、

[416]心が沸き立つほどには嬉しさが湧いてこない。

[417]【かおり】

[418]「いえ……大丈夫ですよー」

[419]【なぎさ】

[420]「何だとぅ!

[421] あたしの大きくない胸じゃ

[422] 気持ち良くないってか!?」

[423]【かおり】

[424]「……そうじゃ……ないです……」

[425]わたしが褒めて欲しいのは……。

[426]【なぎさ】

[427]「そ、それにしても山之内さんって、

[428] 最近、沢井に辛く当たってない? 大丈夫?

[429] 前はもうちょっと柔らかかったと思うんだけどー」

[430]山之内さんなりの考えがあるんですよ

[431]やっぱりそう思います……よね

[432]【かおり】

[433]「きっと山之内さんには

[434] 山之内さんなりの考えがあるんですよ」

[435]【なぎさ】

[436]「そっかー、

[437] 山之内さんも沢井のプリセプになったから、

[438] 今までとはちょっと態度を変えてるのかもね」

[439]【かおり】

[440]「やっぱりそう思います……よね」

[441]【なぎさ】

[442]「あの人、何考えてるか、

[443] あたしも未だにわかんないんだよねー」

[444]【なぎさ】

[445]「ってゆーか、あの人ってチョー謎!!

[446] ふざけてるのかと思えば真面目になるし、

[447] 真面目なのかって見直せば、セクハラするし!」

[448]【かおり】

[449]「掴み所のない人ですよね。

[450] ただ……主任さんは一目置いてる感じですけど」

[451]【なぎさ】

[452]「何でも、いくつも職場を渡り歩いてきた山之内さんを

[453] 主任さんが拝み倒して、

[454] ここに就職してもらったらしいよ?」

[455]【かおり】

[456]「あー……、

[457] なんか、その話、

[458] どこかで聞いたことがあるような……」

[459]【なぎさ】

[460]「山之内さん的には、

[461] どこにも就職せずに、フリーでやってた方が

[462] 稼ぎが良かったって話よ」

[463]【なぎさ】

[464]「でも、それなのに、

[465] うちの主任に説得されて就職なんて……

[466] 主任、どんな手、使ったんだろうね?」

[467]【かおり】

[468]「…………」

[469]複数の病院を渡り歩く……、

[470]それって、どんな気分なんだろう?

[471]【なぎさ】

[472]「あっ!

[473] 『手』じゃなくて、『胸』かも!!

[474] 主任の胸、すっごく大きいじゃない?」

[475]【かおり】

[476]「な、なぎさ先輩!?」

[477]【なぎさ】

[478]「ははは、なーんてね!

[479] やだもー、山之内さんの話なんてするから、

[480] セクハラ発言が感染しちゃったじゃない、もー!」

[481]なぎさ先輩が

[482]わたしの肩や背中をベシベシ叩く。

[483]【かおり】

[484]「な、なぎさ先輩、い、痛いですぅ〜!」

[485]こうやって騒いでいるだけで、

[486]ちょっとだけ、気分が浮上してきた。かも。

[487]なぎさ先輩に感謝しなくちゃね。

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