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white_robe_love_syndrome:scr00951

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[001]さゆりちゃんが隣の部屋に引っ越してきてから、

[002]彼女がわたしの日常の一部になった。

[003]勤務中はさすがに一緒にいられないし、

[004]わたしが休みの日でも、

[005]さゆりちゃんが学校や実習先病院に行ってたり、

[006]レポートを纏めてたりして、離れている時もある。

[007]けど……、何て言うんだろう、

[008]離れてるけど、ずっと側にいる感覚が

[009]胸の内側にあって――。

[010]そうこうする内に、

[011]さゆりちゃんが三年生になって、

[012]お隣さんになって二年が過ぎようとしてて……。

[013]一緒に国家試験対策の勉強をしたり、

[014]卒業試験対策の勉強をしたり、

[015]1月を過ぎてから、すっごく忙しかったような気がする。

[016]そして、今日!

[017]さゆりちゃんは

[018]無事に蕾ヶ崎看護学院を卒業した!

[019]うん、

[020]わたしは最初から心配なんかしてないけどね!

[021]【さゆり】

[022]「か、かおりさん、

[023] えっと……あ、あの、そろそろ……」

[024]【かおり】

[025]「そんなこと言わないで。

[026] もっと良く見たいの!」

[027]照れるさゆりちゃんを横目で見ながら、

[028]わかってて、わざとじっと見つめてみる。

[029]【さゆり】

[030]「あ、あの……っ。

[031] もういいでしょう?」

[032]【かおり】

[033]「やだ。

[034] もっとしっかり見たいもん」

[035]【さゆり】

[036]「か、かおりさんだって

[037] 同じもの持ってるでしょう?」

[038]【かおり】

[039]「それはそうだけど、

[040] これがさゆりちゃんのだと思うと、

[041] とても感慨深いって言うか……」

[042]ただでさえ赤かったさゆりちゃんの頬が

[043]ボッと真っ赤になった。

[044]【さゆり】

[045]「もうっ!!

[046] 穴が開いたらどうするんですか!

[047] そろそろ卒業証書、返してくださいっ!」

[048]【かおり】

[049]「きゃあっ!」

[050]いきなり飛び掛ってきたさゆりちゃんに、

[051]卒業証書を取り上げられてしまった。

[052]【かおり】

[053]「さゆりたんのケチ」

[054]【さゆり】

[055]「ケチじゃありませんっ!!

[056] かおりさんだって、同じ学校の卒業証書

[057] もってるでしょうっ!?」

[058]【かおり】

[059]「だって、卒業年度が違うし、

[060] ホラ、この金色の縁取りが

[061] ビミョーに違うでしょう?」

[062]自分の卒業証書とさゆりちゃんの卒業証書を並べて、

[063]違いを口に出してみた。

[064]【かおり】

[065]「あっ、見て! 校長も替わってる!!

[066] というか、看護学校の校長の顔なんて、

[067] わたし、覚えてないんだけど」

[068]【さゆり】

[069]「んもう、

[070] かおりさんなんて知りません!!」

[071]あーあ、拗ねちゃった。

[072]本当はさゆりちゃんのお姉さんのフリして

[073]卒業式に出席したかったんだけど、

[074]さゆりちゃんがあんまり恥ずかしがるから

[075]我慢したんだもん!

[076]せっかくの卒業証書を

[077]視線で穴が開きそうなほどに見つめるくらい、

[078]ちょっとした意趣返しじゃない。

[079]勉強に付き合って、

[080]卒業するのを待って、

[081]式にも出席したいのを堪えたんだから、

[082]これくらい笑って許してほしいな。

[083]……って、照れて怒るのがわかっててやってる

[084]わたしもわたしだけど。

[085]【かおり】

[086]「それにしても、もっとよく見たいだとか

[087] 同じもの持ってるだとか、

[088] 聞き方によっては誤解されそうだよね」

[089]【さゆり】

[090]「……っ!!」

[091]そっぽを向いた首まで真っ赤になった

[092]さゆりちゃんが可愛い。

[093]普段はクールで大人びた子だけど、

[094]こういうところはわたしの方が経験豊富だもんね!

[095]……ちょこっとだけ、だけど。

[096]ああ、山之内さんが

[097]わたしやなぎさ先輩にセクハラ発言かます気持ち、

[098]ちょっとわかるなぁ。

[099]こんな風に真っ赤になられちゃうと、

[100]イケナイこととはわかっていても

[101]ついついからかっちゃう!

[102]でも、あんまりからかうと

[103]さゆりちゃんは口を利いてくれなくなるから

[104]ほどほどにしないとね。

[105]【かおり】

[106]「ところで、さゆりちゃんは

[107] 就職先、百合ヶ浜なんだよね?」

[108]【さゆり】

[109]「ええ。

[110] 住むところを用意してもらった条件ですから。

[111] 他の病院に行くほど厚顔無恥じゃありませんし!」

[112]ぷいっと顔を背けて言ってるけど、

[113]頬はまだほんのりと染まってる。

[114]【かおり】

[115]「だよねー」

[116]【さゆり】

[117]「んもう、何ですか、ニヤニヤしてっ!

[118] もういいでしょう!?

[119] 卒業証書、しまっちゃいま……きゃっ!!」

[120]はっと気付くと、

[121]さゆりちゃんがわたしの身体の上に

[122]馬乗りになっている。

[123]【さゆり】

[124]「…………」

[125]【かおり】

[126]「ほわぁ……、

[127] さゆりちゃんって、意外と大胆……」

[128]【さゆり】

[129]「そんなんじゃありませんったら、

[130] かおりさんの馬鹿ッ!!」

[131]真っ赤になって拗ねてしまった

[132]動けないままのさゆりちゃんを抱き寄せて、

[133]そっと頬にキスをする。

[134]【かおり】

[135]「……ごめんね、

[136] さゆりちゃんが可愛くて、

[137] ついからかっちゃった」

[138]【さゆり】

[139]「…………」

[140]【さゆり】

[141]「……もっといっぱいキスしてくれないと

[142] 許してあげませんっ」

[143]【かおり】

[144]「んもう、

[145] さゆりちゃんったら……」

[146]そんな風に、

[147]わたしたちはなぎさ先輩言うところの

[148]バカップル全開で、寮生活を満喫していた。

white_robe_love_syndrome/scr00951.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)