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white_robe_love_syndrome:scr00515

Full text: 236 lines Place translations on the >s

[001]■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

[002]なぎさルートがここで決定されました。

[003]■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

[004]ん……だれ……?

[005]いや……うるさい……。

[006]【???】

[007]「……井っ、沢井っ!?」

[008]あの声は……、なぎさ、先輩……?

[009]重たい身体を両手で支えるように起こすと、

[010]グラリと視界が回った。

[011]【なぎさ】

[012]「沢井っ!?

[013] いるのっ、沢井?」

[014]ん……なんだか吐き気が、する……。

[015]【なぎさ】

[016]「どうしたの?

[017] 何かあったの?」

[018]グラグラゆれる視界。

[019]何とか玄関までたどり着いたものの、

[020]わたしはその場にへたり込んだ。

[021]【かおり】

[022]「なぎさ、先輩……」

[023]【なぎさ】

[024]「沢井っ!?

[025] そこにいるのね?」

[026]【かおり】

[027]「……はい」

[028]【なぎさ】

[029]「どうしたの?

[030] 無断欠勤なんて沢井らしくないよ?

[031] みんな心配してるのよ?」

[032]【かおり】

[033]「わたし……ダメ、なんです」

[034]【なぎさ】

[035]「どうして?」

[036]【かおり】

[037]「怖い……。

[038] きっと、わたし、殺される……」

[039]そう。

[040]ドアを開けたら、殺されてしまう。

[041]ドアの外には怖いものが待ち構えている。

[042]わたしを、殺そうと……。

[043]【なぎさ】

[044]「殺されたりしないわ。

[045] あたしが、沢井を守ってあげる」

[046]優しい、なぎさ先輩の声。

[047]【なぎさ】

[048]「ここにはあたしの他には誰もいないわ。

[049] 沢井を傷つけるような人は、誰もいないの」

[050]でも……。

[051]【かおり】

[052]「だって、

[053] ドアを開けたら、殺されちゃう……」

[054]【なぎさ】

[055]「バカね。

[056] そんなこと、誰にもさせない。

[057] 沢井のことは、あたしが全力で守るから」

[058]なぎさ先輩の優しい声が、心にしみこんでくる。

[059]恐怖に震えていたわたしの心が、

[060]ゆっくりとあたたかいもので満たされていく気がした。

[061]【かおり】

[062]「なぎさ先輩……助けて……」

[063]【なぎさ】

[064]「助けるわ。

[065] あたしがあなたを助けてあげる。

[066] 沢井を傷つける全てのものから守ってあげる」

[067]ドアの向こうにいるなぎさ先輩の気配が、

[068]とてもあたたかくて力強い。

[069]【なぎさ】

[070]「沢井、あたしを信じてここを開けて。

[071] あたしは沢井を守る。

[072] 全力で守るって、約束するから……」

[073]ゆっくりとドアに手を伸ばす。

[074]ふと、これは罠かもしれないと思った。

[075]ドアを開けてはいけない。

[076]開けたら殺される。

[077]でも、ドアの外では

[078]なぎさ先輩の優しい声が呼びかけている。

[079]【なぎさ】

[080]「怖いものなんか、あたしが追い払ってあげる。

[081] 心配しないで、あたしを信じて」

[082]【かおり】

[083]「なぎさ、先輩……」

[084]なぎさ先輩を、信じる。

[085]恐怖と不安でいっぱいの心を制して、

[086]わたしはゆっくりと扉の鍵を開けた。

[087]【なぎさ】

[088]「沢井っ!

[089] よかった……っ!」

[090]ドアを開けるなり、飛び込んできたなぎさ先輩が

[091]わたしを力一杯、抱きしめてくれる。

[092]【なぎさ】

[093]「もうっ、おバカ、こんなに心配かけてっ!

[094] 本当に、沢井になにかあったらどうしようって

[095] すごく怖くて……不安だったのよ!」

[096]【かおり】

[097]「なぎさ先輩……あったかい……」

[098]なぎさ先輩の後ろでドアが閉まっていく。

[099]ドアの内側には、なぎさ先輩がいた。

[100]怖いものなんか、いなかった。

[101]わたしを殺す人なんか、いなかった。

[102]【なぎさ】

[103]「ほら、安心して?

[104] こうして鍵を閉めておけば、大丈夫。

[105] もう誰も来ないし、入ってこられないから」

[106]【かおり】

[107]「はい」

[108]【なぎさ】

[109]「それにしても、本当に沢井ったら……」

[110]なぎさ先輩の目が涙で潤んでいた。

[111]なぎさ先輩、

[112]こんなに心配してくれてたんですね……。

[113]【なぎさ】

[114]「やだっ、すごく顔色が悪いわ!

[115] ちょっと横になりなさい。

[116] ご飯は食べたの?」

[117]なぎさ先輩に支えられて、

[118]ベッドに連れていかれる。

[119]けれど、立ち上がりかけたなぎさ先輩の腕を

[120]わたしは慌てて掴んだ。

[121]【かおり】

[122]「いや……、なぎさ先輩、

[123] どこにも行かないで……?」

[124]【なぎさ】

[125]「どこにも、って……。

[126] 何かお腹に入れられるものを探すだけよ?」

[127]わたしはなぎさ先輩の腕を掴んだまま、

[128]ふるふると頭を振る。

[129]【かおり】

[130]「いや……、離れちゃ、いや……」

[131]ギシッとベッドが揺れる。

[132]わたしに袖を掴まれたまま、

[133]なぎさ先輩は、わたしのベッドに座ってくれた。

[134]【なぎさ】

[135]「もう、しょうがないわね。

[136] 沢井ったら、今日はすごく甘えん坊さんなのね」

[137]優しい声。

[138]お願い、今だけで良いから

[139]甘えさせてください……。

[140]【かおり】

[141]「だって、怖かったんです……。

[142] 本当に殺されるかと思って……」

[143]【なぎさ】

[144]「殺されるって、誰に?」

[145]なぎさ先輩の手が優しくわたしの額に触れて。

[146]そのままゆっくりとわたしの頭を撫でてくれる。

[147]とても、気持ちがいい……。

[148]【かおり】

[149]「車を運転しながら、わたしを殺すの。

[150] 笑いながら、殺しにやってくるの……」

[151]ふわり、ふわり。

[152]なぎさ先輩の細くて、少し冷たい手が

[153]ゆっくりと額を撫で続ける。

[154]その冷たさに、

[155]寝不足と興奮で上気した顔が

[156]冷やされていく……。

[157]【なぎさ】

[158]「そんなヤツ、あたしがやっつけてあげるわ」

[159]【かおり】

[160]「……そんなことしたら、

[161] なぎさ先輩が危なくなっちゃう……」

[162]わたしの言葉に、なぎさ先輩はクスッと笑う。

[163]【なぎさ】

[164]「大丈夫よ、任せなさい!

[165] あたしは沢井を守るためなら

[166] たとえ火の中、水の中!!」

[167]【かおり】

[168]「火の中、水の中って……」

[169]思わず笑ってしまったわたしの頬に、

[170]なぎさ先輩の指先が触れた。

[171]【なぎさ】

[172]「やっぱり沢井は、そうやって笑ってるのがいい。

[173] 笑顔が一番、沢井らしいんだから」

[174]【かおり】

[175]「なぎさ先輩……」

[176]【なぎさ】

[177]「あたしがいつも一緒にいるわ。

[178] 一緒にいて、いつだって守ってあげる」

[179]ふっとなぎさ先輩が微笑んだ。

[180]【なぎさ】

[181]「だから安心して、おやすみなさい。

[182] あたしがそばにいる限り、

[183] 沢井には誰にも指一本、触れさせはしないから」

[184]なぎさ先輩の指、冷たくて気持ちいい……。

[185]【かおり】

[186]「なぎさ先輩……」

[187]【なぎさ】

[188]「なぁに?」

[189]【かおり】

[190]「ずっと、一緒にいてくださいね」

[191]【なぎさ】

[192]「ずっと、一緒にいるわ」

[193]【かおり】

[194]「もっと近くにいてくれなきゃ、いやです」

[195]【なぎさ】

[196]「もっと?」

[197]わたしは頷いて布団をめくった。

[198]【かおり】

[199]「そばに、いてください」

[200]【なぎさ】

[201]「もう、本当に今日は甘えん坊さんね」

[202]【かおり】

[203]「今だけ……今だけだから」

[204]【なぎさ】

[205]「いいわよ、一緒に寝てあげる。

[206] だから安心して、ちゃんと休むのよ?

[207] いいわね?」

[208]【かおり】

[209]「はい」

[210]にっこり笑って

[211]わたしはベッドを半分開けた。

[212]なぎさ先輩はそこへ入ってきてくれる。

[213]【かおり】

[214]「なぎさ先輩……」

[215]【なぎさ】

[216]「なぁに?」

[217]【かおり】

[218]「ありがとう……」

[219]なぎさ先輩はぎゅっとわたしの頭を引き寄せてくれた。

[220]吐息がかかりそうなほど近くにある、

[221]なぎさ先輩の桜色の唇。

[222]【なぎさ】

[223]「お礼なんかいらないわ。

[224] あたしがやりたいからやってるだけで。

[225] 沢井のことを守れるのはあたしだけだから」

[226]キュッと結ばれた桜色の唇に、

[227]わたしは自ら額を押し当てた。

[228]【かおり】

[229]「せん、ぱい……」

[230]なぎさ先輩に抱きしめられ、安堵の波が広がっていく。

[231]なぎさ先輩がいてくれるこの部屋は、安全。

[232]なぎさ先輩がいれば、怖いことは起こらない。

[233]【なぎさ】

[234]「おやすみなさい……」

[235]なぎさ先輩の声を聞きながら、

[236]わたしはゆっくりと深い眠りの闇へと落ちていった。

white_robe_love_syndrome/scr00515.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)