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white_robe_love_syndrome:scr00426

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[001]今日のお昼休憩は主任さんと一緒になった。

[002]プライベートの主任さんは

[003]いろいろと心を開いてくれているけど、

[004]仕事モードの主任さんを前にすると……

[005]やっぱりまだ緊張する。

[006]【はつみ】

[007]「二ヶ月、経ったわね」

[008]【かおり】

[009]「は、はい!?」

[010]【はつみ】

[011]「あなたが百合ヶ浜総合の内科病棟の一員になって、

[012] もう二ヶ月になるわね、と言ったのよ」

[013]【かおり】

[014]「あ……、

[015] そ、そうですね……」

[016]うーん、

[017]やっぱり白衣を着た主任さんと話をするのは

[018]緊張するぅ。

[019]【はつみ】

[020]「仕事にはもう慣れた?」

[021]【かおり】

[022]「そうですね……まだ勉強することが多くて、

[023] 手一杯な感じですけど。

[024] あと、堺さんとの関係が難しい感じです」

[025]【はつみ】

[026]「…………」

[027]あれ、どうしたんだろう?

[028]主任さんの表情が

[029]一瞬だけ曇った……?

[030]【はつみ】

[031]「若本さんは……どう?」

[032]あ、そっか。

[033]わたしと堺さんが気が合わないのは

[034]今更、言わなくても

[035]主任さんならわかってるよね。

[036]主任さんが気にしてるのは、

[037]堺さんより『難しい患者さん』の方だよね、

[038]ああもう、わたしの鈍感!!

[039]【かおり】

[040]「たまに頭痛とか起こしてるみたいですけど、

[041] 何だかすっかり懐かれてしまいました」

[042]【はつみ】

[043]「……そう」

[044]けど、主任さんの表情は晴れない。

[045]どうかしたのかな……?

[046]【はつみ】

[047]「彼女は理事長先生が大事にしていて、

[048] この病院にとって大切な人だから、

[049] くれぐれも失礼のないようにね」

[050]【かおり】

[051]「あ、はい……」

[052]主任さんの言葉に

[053]何だか腑に落ちないものを感じる。

[054]いつもの主任さんなら

[055]『患者さんには平等に接しなさい』って

[056]言いそうなものなのに。

[057]【かおり】

[058]「あ、そう言えば、

[059] 何日か前に五十代くらいの女性と

[060] 廊下ですれ違いました」

[061]【かおり】

[062]「まゆきちゃんの部屋に入っていったから、

[063] たぶん、ご家族だと思うんですけど、

[064] あの人が理事長先生のお知り合いですか?」

[065]【はつみ】

[066]「余計なことは詮索しない方が身のためよ」

[067]ピシャリと言われてしまった。

[068]【かおり】

[069]「す、すみません……」

[070]そういえば、あの女性は

[071]優しそうだったけど、

[072]とてもかなしそうな顔で歩いてたっけ……。

[073]【かおり】

[074]「でも、あの女の人……、

[075] すごくかなしそうな顔をしてました。

[076] 身内の人が病気になるのって、辛いことですよね」

[077]【かおり】

[078]「特にまゆきちゃんみたいな小さな子が

[079] ずっと入院生活だなんて、可哀想……」

[080]【はつみ】

[081]「…………」

[082]主任さんは、黙ったまま、

[083]何とも言えない顔で、わたしを見る。

[084]……何だかその視線は

[085]胸の中に潜んでる不安を掻き立てるような気がして、

[086]わたしは気付かないふりで、お弁当を食べた。

white_robe_love_syndrome/scr00426.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)