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white_robe_love_syndrome:scr00406

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[001]【やすこ】

[002]「あー……。

[003] なんか甘いもん食べたいなー」

[004]記録を書いていた山之内さんが

[005]突然ぼそりとつぶやいた。

[006]【かおり】

[007]「ほへっ?」

[008]【やすこ】

[009]「けどなー、

[010] ダイエット中やしなー」

[011]【なぎさ】

[012]「山之内さん、

[013] ダイエットしてるんですか?」

[014]【やすこ】

[015]「当たり前や、うちは乙女やもん。

[016] 万年ダイエッターでない乙女は

[017] エセ乙女やね!」

[018]【かおり】

[019]「うっ……」

[020]乙女、という言葉にツッコミを入れるべきか、

[021]わたしはエセ乙女だと自白するべきか、

[022]全てをスルーするべきか……。

[023]わたしが迷っている内に、

[024]山之内さんは次の話題を振ってきた。

[025]【やすこ】

[026]「あんたらはダイエットしとらんの?」

[027]【なぎさ】

[028]「あたしは特には……」

[029]なぎさ先輩の言葉に、

[030]山之内さんはわざとらしい仕草で

[031]大きく肩をすくめてみせる。

[032]【やすこ】

[033]「うっわ、エセ乙女がおるわ! 常時、

[034] ダイエットくらい常識やろー! ダイエットは

[035] 乙女の重要な共通話題の一つやねんで」

[036]【なぎさ】

[037]「乙女って……。

[038] 山之内さん、年、いくつですか」

[039]わたしの代わりに、

[040]なぎさ先輩のツッコミが入る!

[041]けれど、

[042]呆れ声のなぎさ先輩のツッコミを無視して、

[043]山之内さんはキラリンとわたしを見つめた。

[044]【やすこ】

[045]「沢井は?」

[046]見つめられて、わたしはもじもじと顔を伏せる。

[047]【かおり】

[048]「わたし、は……ダイエットしてました。

[049] けど、失敗ばかりで……」

[050]【やすこ】

[051]「ほほぅ、沢井もダイエッターか!

[052] どんなダイエットしたん?」

[053]【かおり】

[054]「炭水化物を抜いたりとか、

[055] りんごだけをひたすら食べるとか。

[056] あ、朝にバナナっていうのもやりました」

[057]【やすこ】

[058]「そら失敗もするやろ、

[059] 典型的な失敗ダイエットやな」

[060]【かおり】

[061]「えぇっ!?

[062] そうなんですか?!」

[063]【やすこ】

[064]「単品ダイエットとか、

[065] 何かを抜くダイエットってのは

[066] 百害あって一利なし!!」

[067]山之内さんの勢いに、

[068]わたしは思わず圧倒された。

[069]【かおり】

[070]「そ、そうなんですか?」

[071]【やすこ】

[072]「そういうダイエットはな、一時的には体重は落ちる。

[073] しかし、……リバウンドする確率は100%!

[074] 実際、リバウンドしたんやろ」

[075]【かおり】

[076]「そ、そうなんです!

[077] わたし、ダイエットの度に

[078] 体重が増えちゃうんです!!」

[079]身を乗り出したわたしに、

[080]山之内さんはうんうんとしたり顔で頷いた。

[081]【やすこ】

[082]「沢井も看護師なんやから、学生時代の講義とか

[083] 思い出してみ? ダイエットの基礎理論は

[084] 栄養学や生理学の応用やで」

[085]【かおり】

[086]「たとえば?」

[087]【やすこ】

[088]「例えば、食事を軽く抜くと、体重が落ちる。

[089] なんでや?」

[090]【かおり】

[091]「えーと……、

[092] 消費カロリーに比べ、

[093] 摂取カロリーが下回った、から?」

[094]【やすこ】

[095]「そう。ダイエットの基本は

[096] 消費カロリーと摂取カロリーのバランスと思うやろ?

[097] しかし、そこに落とし穴がある!」

[098]【やすこ】

[099]「摂取カロリーを落とすと、

[100] 身体は省エネモードに切り替わる。

[101] 省エネモードになると、消費カロリーが落ちる」

[102]【やすこ】

[103]「つまり、基礎代謝が落ちる、っちゅーわけや。

[104] 基礎代謝が落ちるっちゅーことは、

[105] 全身の筋肉がやせ衰えてただけやねん」

[106]【やすこ】

[107]「基礎代謝が落ちたそんな中、

[108] ダイエット終了〜って、食う量を戻すと?」

[109]【かおり】

[110]「消費カロリーに比べて、

[111] 摂取カロリーが一気に……」

[112]【やすこ】

[113]「せやねん。

[114] 運動せなあかんよ、て言われるんは、

[115] 栄養消費の場である筋肉量を減少させへんためや」

[116]【やすこ】

[117]「沢井、

[118] 三大栄養素って覚えとるか?」

[119]【かおり】

[120]「えーっと……」

[121]言われてぱっと思い出せない。

[122]助けを求めるようになぎさ先輩を見ると、

[123]なぎさ先輩は小さくため息をついて教えてくれた。

[124]【なぎさ】

[125]「……糖質である炭水化物、

[126] たんぱく質、脂質である脂肪」

[127]【やすこ】

[128]「そう、たんぱく質は人体の細胞を構成するもの。

[129] これが減ると、筋肉が一気に減る。

[130] つまり、基礎代謝が下がる」

[131]【やすこ】

[132]「糖質は、これは筋肉や脳味噌のエネルギー源や。

[133] これを減らすと、一気に動けんくなるし、

[134] 判断力も鈍る」

[135]【やすこ】

[136]「じゃあ、脂質は、というと、

[137] 実はこれを減らしても、

[138] すぐにどうこうなるっちゅーわけやない」

[139]【やすこ】

[140]「それに、痩せたい、イコール、

[141] 身体についた『脂肪』を落としたい、わけやろ?

[142] ほなら、摂取する脂肪を減らせば痩せられる……」

[143]【かおり】

[144]「え、そうなんですか?」

[145]山之内さんはフッと笑った。

[146]【やすこ】

[147]「あまーいっ!!」

[148]【かおり】

[149]「へぎょん!?」

[150]【やすこ】

[151]「その考えは、バタークリームケーキに

[152] はちみつとチョコレートシロップかけたものよりも

[153] もっともーっと、あまーいっ!」

[154]【なぎさ】

[155]「……う、胸焼けしそう」

[156]【やすこ】

[157]「人体についた脂肪は、

[158] ほとんどは消費しきれんと余った糖質が

[159] 姿を変えたモノや!!」

[160]【かおり】

[161]「な、なんですってー!?」

[162]【やすこ】

[163]「糖質は、その性質上、

[164] 速やかに消費されやすい構造をしとる。

[165] しかし、蓄えるには適さへん構造やねん」

[166]【やすこ】

[167]「よって、蓄えるためだけに

[168] 糖質を贅肉にして身体は貯蓄した!

[169] それが、脂肪!」

[170]【かおり】

[171]「そ……、そうだったのか……」

[172]【やすこ】

[173]「よって、油抜き系のダイエットは

[174] めっさ的外れやねん。

[175] お肌カッサカサ、関節ギッシギシになるだけ」

[176]……ガーン……、

[177]し、知らなかった……。

[178]【かおり】

[179]「炭水化物を減らしてもダメ、

[180] たんぱく質を減らしてもダメ、

[181] 脂肪を減らすのは無駄……」

[182]【なぎさ】

[183]「ばっかみたい。

[184] 最初っからダイエットなんかしないように

[185] 節制すればいいのに!」

[186]う!

[187]それはなぎさ先輩が

[188]太りにくい体質だから言えることだよね……。

[189]【やすこ】

[190]「極論を言えば、そうやね。

[191] だから、太らんように常にダイエットする。

[192] 食べ過ぎた翌日はダイエットして、調整する」

[193]【かおり】

[194]「なるほど……」

[195]山之内さんを見る。

[196]原稿のお手伝いをしてる時は、

[197]かなりいろんなものを食べてたよね。

[198]それに、あの不摂生すぎる生活で

[199]徹夜とかまでしながら、このプロポーション……。

[200]【やすこ】

[201]「……なんや、沢井。

[202] そんな熱い視線で見られたら、照れるがな」

[203]山之内さんはニヤリと笑った。

[204]【やすこ】

[205]「まぁ、山之内さんほどのナイスバディなら

[206] 見とれるのもわからんでもないがな!」

[207]【なぎさ】

[208]「……自分で言う?」

[209]【やすこ】

[210]「おやおや、藤沢さん、嫉妬ですかー?

[211] たしかに藤沢さんは

[212] お胸がさみしい感じですよねー」

[213]【なぎさ】

[214]「!!」

[215]バッとなぎさ先輩が両手で胸を隠す。

[216]【やすこ】

[217]「アカンなぁ、藤沢。

[218] 女は見られてキレイになるんやで?

[219] ほれ、堂々と胸を張れ!」

[220]【なぎさ】

[221]「きゃんっ!」

[222]バシッと、山之内さんがなぎさ先輩の背中を叩く。

[223]そして……!!

[224]【やすこ】

[225]「ちょっと失礼」

[226]山之内さんが、なぎさ先輩の胸をっ!

[227]胸を掴んだ!!

[228]【なぎさ】

[229]「…………ッ!!」

[230]【やすこ】

[231]「なーんや。

[232] もっと硬いんか思うてたのに、

[233] ちゃんとやわらかいやん?」

[234]【なぎさ】

[235]「〜〜〜〜ッ!!」

[236]【かおり】

[237]「な、な、な、何してるんですかーっ!!」

[238]【やすこ】

[239]「なに、て……脂肪のチェック」

[240]手のひらをわきわきさせながら

[241]山之内さんがニコッと笑った。

[242]【やすこ】

[243]「硬い脂肪は流れへんけど、

[244] やわらかい脂肪は形を整えるんが可能や。

[245] ほら、沢井も触ってみ?」

[246]言われて、手を掴まれて、

[247]なぎさ先輩の胸を………………触っちゃった。

[248]【やすこ】

[249]「やわらかいやろ?」

[250]【かおり】

[251]「……はい」

[252]柔らかかった。

[253]なんていうか、もう……ふにゃん、って……。

[254]あみちゃんの胸も柔らかかったけど、

[255]なぎさ先輩の胸は……もう……っ!!

[256]【やすこ】

[257]「ブラとかつける時も、

[258] 反対側の脇に手を差し入れて、

[259] こう……持ち上げるようにするんよ?」

[260]【かおり】

[261]「こ、こう……ですか?」

[262]山之内さんがやっているように、

[263]左手で胸を持ち上げて、

[264]右手で脇の下の肉をブラに入れるような

[265]仕草をしてみる。

[266]【やすこ】

[267]「おー、そうそう!

[268] 沢井は素直やし、筋もエエなー。

[269] で、藤沢はやらへんの?」

[270]【なぎさ】

[271]「……どうせあたしは

[272] お胸がさみしい感じですよーだ」

[273]【やすこ】

[274]「まぁまぁ、そう拗ねんと。

[275] バストケアは若い内からやっとった方が

[276] ええねんで?」

[277]【やすこ】

[278]「あんたも美乳になりたいやろ?

[279] ぺったんこは、それはそれで味があるけど、

[280] うちはやっぱりムチムチばいんばいんが好きやわ〜」

[281]【なぎさ】

[282]「山之内さんの好みなんて聞いてません!!」

[283]【やすこ】

[284]「うわ、藤沢、可愛くないっ!

[285] ちったぁ沢井の素直さ、見習わんかいな」

[286]なぎさ先輩と山之内さんの遣り取りをよそに、

[287]今度は右手で右胸を持ち上げて、

[288]左手で脇から……。

[289]【やすこ】

[290]「沢井はマジでエエねー。

[291] 2〜3年もしたら、ムチムチばいんばいんで

[292] うち好みの食べごろのエエ女になりそうやわぁ」

[293]【なぎさ】

[294]「食べごろ?」

[295]【かおり】

[296]「ほえ?

[297] 何か言いました?」

[298]【やすこ】

[299]「んー?

[300] 何事も実践が一番やねんでーって話」

[301]そーでしたっけ?

[302]【やすこ】

[303]「ブラのつけ方ひとつで

[304] 十年後の胸の形が変わる!」

[305]【???】

[306]「十年後の胸の形の心配よりも、

[307] 今の仕事の心配をして欲しいものね」

[308]!!

[309]振り向くと、主任さんが立っていた。

[310]【やすこ】

[311]「い、いややなー、主任。

[312] うちはちゃんと仕事しとるでー?

[313] さーて、お仕事、お仕事〜♪」

[314]わざとらしく言いながら、

[315]山之内さんが詰所を出て行く。

[316]そして、主任さんも、わたしとなぎさ先輩に

[317]何か言いたげな視線を向けてから、

[318]特に何も言わずに詰所を出て行った。

[319]【なぎさ】

[320]「…………」

[321]【かおり】

[322]「…………」

[323]詰所に残されたのは、

[324]わたしたちふたりだけ。

[325]くいくいと白衣が引っ張られる。

[326]顔を真っ赤にしたなぎさ先輩が、

[327]恥ずかしそうに訊いてきた。

[328]【なぎさ】

[329]「沢井……あたしの胸、

[330] そんなにやわらかかった……?」

[331]こういう時、わたし、

[332]なんて答えればいいの……!?

[333]【かおり】

[334]「え、えっと……」

[335]よほど恥ずかしかったのか、

[336]なぎさ先輩ったら、涙目になってる。

[337]【かおり】

[338]「えっと……、なぎさ先輩も

[339] 触ってみます……?」

[340]ああんもう、何言ってるの、わたしったらー!!

[341]けれど。

[342]【なぎさ】

[343]「……うん」

[344]なぎさ先輩が、

[345]恥ずかしそうに微笑むから、

[346]今のナシ! なんて言えなくて……。

[347]【なぎさ】

[348]「えと……失礼します……」

[349]なぎさ先輩の指が、

[350]わたしの胸を、ちょん、とつついて、

[351]それから、そっと下から持ち上げた。

[352]【かおり】

[353]「ど……どうですか?」

[354]【なぎさ】

[355]「う、うん……やわらかい……」

[356]何だかとても恥ずかしくて、

[357]お互い、視線を逸らしちゃう……。

[358]でも、わたしも触ったんだし、

[359]おあいこ、だよね。

[360]【なぎさ】

[361]「もう変なダイエットしちゃダメよ?

[362] 胸が小さくなっちゃうもんね」

[363]【かおり】

[364]「そ、そうですね」

[365]いつもの詰所なのに、

[366]今はなんだか、違う場所にいるみたい。

[367]【なぎさ】

[368]「あたし、ブラのつけ方、勉強して

[369] 沢井に教えてあげるから……。

[370] だから、山之内さんに訊かないでね……?」

[371]なぎさ先輩の言葉の意味はよくわからなかったけど、

[372]真っ赤な顔で真剣に言ってくれたので、

[373]わたしはコクリとうなずくことにした。

white_robe_love_syndrome/scr00406.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)