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white_robe_love_syndrome:scr00314

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[001]仕事が終わって、今日はなぎさ先輩と

[002]一緒にお部屋で夕食を食べることになった。

[003]……とはいっても

[004]現実は、わたし部屋での飲み会で

[005]すでに空っぽのビール缶が二本、転がってる。

[006]ガールズトークといえば

[007]聞こえはいいけれど……。

[008]【なぎさ】

[009]「でねっ、これが味チョー薄くて

[010] まっずくてさー。

[011] って、聞いてる、沢井〜?」

[012]【かおり】

[013]「聞いてますよ〜。

[014] えっと、糖尿病の患者さんの食事が

[015] 美味しくないって話ですよね?」

[016]【なぎさ】

[017]「そうなのー。でもね、それは仕方ないことなのー。

[018] 高血糖だから一生食うなってわけにもいかないから

[019] こっちは一生懸命やってるのよ〜?」

[020]【なぎさ】

[021]「でも、じゃあお前が食べてみろよって、酷くない?

[022] つーか、あんたの不摂生のツケを

[023] どーしてあたしが食べなきゃいけないわけ!?」

[024]なぎさ先輩はそのことを思い出したのか、

[025]すごく微妙な表情で舌を出した。

[026]……不味かったらしい。

[027]【かおり】

[028]「そりゃあ、減塩食になっちゃうし、

[029] カロリー制限もかなりかかってきますしね。

[030] って、患者さんのを食べちゃったんですか!?」

[031]【なぎさ】

[032]「だーって、食べてみろって突き出すんだもん。

[033] 嫌だなんて言えないでしょう?

[034] 食べられないもの出してるのかとか言われるし」

[035]【かおり】

[036]「うーん、そりゃそうですけど。

[037] でも患者さんの食事を食べちゃうなんて、

[038] まずくないですか?」

[039]【なぎさ】

[040]「だから不味かったって話してるの〜」

[041]【かおり】

[042]「いや、だから、その不味いじゃなくて。

[043] 主任さんとかに知られたら怒られそうだし……」

[044]【なぎさ】

[045]「じゃあ、主任が食べてみろっていうのよ。

[046] ほんっとに不味いんだから、うちの糖尿病食!」

[047]【かおり】

[048]「まぁ、そうですけどねぇ」

[049]なぎさ先輩はその時の怒りを思い出してきたのか

[050]次第にヒートアップしていく。

[051]【なぎさ】

[052]「だいたい内科にはワガママな患者が多すぎ!」

[053]【かおり】

[054]「あ、それはよく聞きますよね。

[055] 長期入院とか長期治療になるから、どうしても

[056] 仕方ないことなんだと思いますけど」

[057]【なぎさ】

[058]「でもそういうののイライラをこっちに

[059] ぶつけられても困るってーのよ!

[060] どうにかしてあげられるならともかく!」

[061]【かおり】

[062]「そうなんですよね。

[063] 子どもたちとか制限がある子だと

[064] 特に退屈で仕方ないみたいですし」

[065]【なぎさ】

[066]「たまに遊んであげるけど、あの子たち、

[067] 外に出られない分エネルギーが余ってて

[068] 半端なく大変なんだよ〜」

[069]【かおり】

[070]「そうですよね。

[071] 学校にも行けないし、友達にも会えないし、

[072] 勉強とか練習が遅れる焦りとかもあるみたいだし」

[073]【なぎさ】

[074]「男の子なんか悪戯ばっかりするしさ」

[075]【かおり】

[076]「そうですよねぇ。

[077] あの悪戯ばっかりは……」

[078]わたしもスカートをめくられたんだよね……。

[079]カーッと顔が熱くなる。

[080]【なぎさ】

[081]「ま、おかげであたしは沢井の可愛いパンツ、

[082] ばっちり見られたってわけだけどね」

[083]【かおり】

[084]「なーぎーさー先輩!」

[085]【なぎさ】

[086]「あははっ、冗談だってば〜!

[087] ところで最近どう?

[088] そろそろ慣れてきた?」

[089]軽くかわされて、わたしは唇をとがらせる。

[090]もう、なぎさ先輩ってば

[091]酔ってんだか酔ってないんだかわかんないっ。

[092]【かおり】

[093]「なぎさ先輩のおかげで、だいぶ慣れてきたと思います。

[094] とはいえ、まだまだ不安がいっぱいだし

[095] 独り立ちには程遠いと思いますが……」

[096]【かおり】

[097]「あ! 『沢井さんは注射が下手だから』って言って

[098] ずっと敬遠されてた患者さんがいるんですが

[099] やっと昨日、黙って腕を出してくれたんですよ!」

[100]【なぎさ】

[101]「へぇ!

[102] 認められたってとこかな?」

[103]【かおり】

[104]「終わった後は、やっぱ痛かったって

[105] 言われちゃったんですけどねー」

[106]【かおり】

[107]「でも、またお願いって言われたんです!

[108] これって大進歩ですよね!?」

[109]【なぎさ】

[110]「進歩、進歩!

[111] その患者さんに受け入れてもらえたって

[112] 思っていいんじゃない? 良かったね!」

[113]【かおり】

[114]「わーいっ!」

[115]【なぎさ】

[116]「あらま、無邪気にはしゃいじゃって。

[117] 一人成功したからって気を抜いちゃダメよ?

[118] 患者さんはみんなナーバスになりやすいんだから」

[119]【かおり】

[120]「はいっ。

[121] でもやっぱり嬉しくて〜」

[122]ぽんぽんと、頭に手を乗せられる。

[123]【なぎさ】

[124]「うんうん、

[125] そういう気持ちって大事だよね。

[126] あたしも思い出すなぁ」

[127]【かおり】

[128]「はるか遠い昔の記憶ですか?」

[129]【なぎさ】

[130]「そうそう。あれは日露戦争が――」

[131]【なぎさ】

[132]「って、どんだけあたしを年寄り扱いするの!

[133] あたしは沢井とひとつ違いでしょっ!」

[134]【かおり】

[135]「あいたっ。

[136] だってなぎさ先輩ノリいいんだもん」

[137]出たよ、なぎさ先輩のデコピン攻撃!

[138]ううっ、おでこがジンジン痛い……。

[139]【なぎさ】

[140]「先輩をからかうんじゃないの!」

[141]【かおり】

[142]「きゃーん、ごめんなさーい!」

[143]【なぎさ】

[144]「いーや、許しませんっ!

[145] 悪い沢井はお仕置きしちゃうっ!」

[146]言うなりわたしにタックルをかけ、

[147]なぎさ先輩は床に押し倒すと

[148]わたしのわき腹をくすぐりはじめた。

[149]【かおり】

[150]「ひっ! やーん!

[151] ごめんなさいっ、なぎさ先輩、許して〜っ!」

[152]やぁん、わき腹は弱いのーーーっ!

[153]【なぎさ】

[154]「先輩をからかう悪い子はどこだ〜っ!」

[155]【かおり】

[156]「はうっ、そ、そこは、だめぇ〜っ!

[157] ゆ、許してください〜。

[158] ひゃぁぁあぁん!」

[159]くすぐられて息ができないくらい苦しいのに

[160]先輩はわたしの上にまたがって、

[161]逃げられないよう、がっちりホールドして……。

[162]【かおり】

[163]「あはは、あ、あんっ!

[164] も、許してぇ!

[165] あひゃひゃ……ホントにだめぇ!」

[166]【なぎさ】

[167]「ふっふっふー。

[168] あたしに逆らうとどういう目に遭うか、

[169] よーくわかったかな、沢井くん?」

[170]【かおり】

[171]「わっ、わかりましたぁ!

[172] もうっ、十分、わかりましたぁ!」

[173]【なぎさ】

[174]「じゃあ、ここで許してやるか〜」

[175]やっとわたしの上からなぎさ先輩がどいてくれた。

[176]ふー。

[177]【かおり】

[178]「はぁ、はぁっ……。

[179] な、なぎさ先輩……」

[180]【なぎさ】

[181]「ん〜?」

[182]ビールを片手に油断した先輩にタックル!

[183]【なぎさ】

[184]「きゃあぁっ?!」

[185]【かおり】

[186]「うふふふふっ、下克上です、よ」

[187]【なぎさ】

[188]「さ、沢井。

[189] あんた目がイッちゃってる……」

[190]【かおり】

[191]「くすぐり下克上、開始〜っ!」

[192]【なぎさ】

[193]「や、やめてぇぇぇぇぇ!

[194] ひっ、あぁんっ! ちょっ、そこ、いやっ。

[195] だめぇ〜っ!」

[196]【なぎさ】

[197]「さ、沢井っ!

[198] もうやめてぇっ!」

[199]【かおり】

[200]「さーわーいー?」

[201]【なぎさ】

[202]「ひぃぃっ!

[203] さ、沢井さまっ、かおりさまっ!

[204] どうかお許しを〜っ!」

[205]【かおり】

[206]「んふふふっ、

[207] どうしよっかなぁ」

[208]【なぎさ】

[209]「ひぃ〜っ、もっ、だめぇ〜っ!」

[210]なぎさ先輩の悲鳴が響き渡る。

[211]うふふ……

[212]これって結構、快感、かも。

[213]ちょっぴり大人になった気がした夜だった。

white_robe_love_syndrome/scr00314.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)