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white_robe_love_syndrome:scr00303

Full text: 575 lines Place translations on the >s

[001]■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

[002]0301で「いいですよ」を選択した場合のみ

[003]■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

[004]【やすこ】

[005]「沢井、ベタ、どこまで終わってる?」

[006]【かおり】

[007]「すみません、まだ八ページ目までです」

[008]【やすこ】

[009]「初めてで、このレベルでこのスピードなら

[010] 全然上出来やで〜」

[011]嬉しそうな山之内さんの声。

[012]……というわけで、

[013]わたしはまた、仕事の後に

[014]山之内さんのお手伝いをしている。

[015]今日はベタ塗りといって、

[016]×印のついたところを

[017]黒いペンで塗りつぶす作業をしているの。

[018]これが意外と神経を使う作業なのよね〜。

[019]はみだしてもいけないし、

[020]塗りが甘くて、グレーっぽくなってもいけない。

[021]もちろん、塗り残してもダメ。

[022]うう……、

[023]集中しすぎて、目の奥が痛い……。

[024]あと、肩と腰が強張ってるし、

[025]右手も痛いし、目がチカチカする……。

[026]でも、ちょっと楽しくなってきたかも。

[027]そういえば、

[028]昨日は山之内さんはお休みで

[029]どこかへ行っていたらしい。

[030]壁にかけられている、

[031]あのキレイな服を着て出かけたのかな。

[032]ゴールデンウィークだもんね、

[033]わたしみたいに

[034]仕事しかないって人生は

[035]もしかしたらつまらないのかも……。

[036]【やすこ】

[037]「はぁ、ちょっと腹減ってきたなぁ……。

[038] 沢井は腹減った?」

[039]もう、『腹減った』だなんて、

[040]はしたないなぁ、山之内さんたら。

[041]【かおり】

[042]「お腹は減りましたけど」

[043]【やすこ】

[044]「けど?

[045] けど、何や?」

[046]う……、言葉尻を捉えられちゃった。

[047]言ってもいいかな?

[048]いいよね?

[049]【かおり】

[050]「腹減った、なんて、

[051] ちょっとはしたないかなって……」

[052]言っちゃった!

[053]【やすこ】

[054]「はしたない、か?」

[055]お、怒ってない……?

[056]【やすこ】

[057]「言葉なんて飾りなのです、

[058] エラい人にはそれがわからんのです!!」

[059]【かおり】

[060]「ひゃああん!」

[061]【やすこ】

[062]「はははは!

[063] 驚いたかー、ザマーミロ!」

[064]あれ?

[065]山之内さん、怒ってない……、

[066]むしろ、上機嫌?

[067]というか、

[068]何なの、このハイテンションは?

[069]【やすこ】

[070]「いや〜、それにしても、

[071] あんたがウチの病棟に来てくれて

[072] 良かったわー」

[073]【かおり】

[074]「そ、そうですか……?」

[075]うう……、どうしよう、

[076]山之内さんのテンションについていけないよ……。

[077]【やすこ】

[078]「東京モンは関西弁が苦手な子もいてるから、

[079] 最初はめっさ気ィ遣うててんで?」

[080]東京モン、って……。

[081]ここ、東京じゃないんですけど。

[082]そう思ったけど、

[083]関西の人には同じようなものかも

[084]しれないよね。

[085]【やすこ】

[086]「せやから、なるべく

[087] 不愉快やないような言葉遣いしよう、て

[088] 頑張っててんけどなぁ」

[089]【やすこ】

[090]「半月も、もたへんかったわー」

[091]はっはっは、と

[092]あっけらかんに笑っている。

[093]うん……悪い人じゃないんだよね。

[094]ちょっと、テンションが読めないだけで。

[095]とはいえ、仕事の場では

[096]ちゃんとしてるから、別にいいんだけど……。

[097]【やすこ】

[098]「かおりちゃんは、わたしが

[099] 乱暴な言葉使うの、嫌い?

[100] 認められない?」

[101]【かおり】

[102]「ほ、ほぇぇ?」

[103]うるうるした顔で

[104]上目遣いに見つめられると、

[105]心臓に悪いよ……。

[106]【かおり】

[107]「き、嫌いじゃないです……」

[108]【やすこ】

[109]「ほな、ええやん。

[110] 腹減ったー!

[111] 沢井、買い出し、行ってきて!」

[112]…………。

[113]何だろう、

[114]この変わり身の早さ。

[115]ものすごく理不尽なものを感じるんですけど。

[116]【やすこ】

[117]「あんたの分も出したるさかい、

[118] コンビニで好きなモン、買うてき」

[119]ペラッと五千円札を渡された。

[120]【やすこ】

[121]「気分転換にもなるやろ?」

[122]ニヤッと笑う山之内さんの顔は、

[123]相も変わらず、怪しさ満点だった……。

[124]■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

[125]0301で「いやですよ」を選択した場合のみ

[126]■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

[127]【かおり】

[128]「……お腹、減った……」

[129]勤務から戻って、

[130]何も食べないまま、

[131]うっかり寝てしまったのだけれど……。

[132]こんな時間なんだけど、

[133]ものすごーくお腹が減ってしまった……。

[134]【かおり】

[135]「どうしようかな……」

[136]冷蔵庫には、水とお酒とドリンク類などの

[137]飲み物しか入ってない。

[138]おやつもおつまみも食べ尽くしちゃった……。

[139]コンビニに買い出しに行くか、

[140]このまま、また寝てしまうかの

[141]二者択一。

[142]コンビニは少し遠い。

[143]けれど、数日分の食料は確実に手に入る。

[144]寝てしまうのは楽だけど、

[145]明日は何も食べずに出勤する羽目になる。

[146]【かおり】

[147]「明日のことを考えると、

[148] 出かけるしかないよね……」

[149]そう考えたわたしは

[150]お財布にお金が入っていることを確認して

[151]出かけることにした。

[152]【店員】

[153]「ありがとうございました〜」

[154]【かおり】

[155]「……ちょっと買いすぎたかな」

[156]ずっしりと重いビニール袋を両手に持って

[157]よたよたした足取りで、コンビニを後にする。

[158]これだけあれば、充分だよね!

[159]うう……寮までが遠い……。

[160]やっぱ買いすぎた……。

[161]【かおり】

[162]「……ん?」

[163]ロビーの管理人室前には

[164]管理人さんが不在の時に、

[165]管理会社に直通になる電話が置いてある。

[166]なにやら困り切った様子で

[167]電話を切った人は……。

[168]【かおり】

[169]「主任さん?」

[170]【はつみ】

[171]「あら……沢井さん……」

[172]【かおり】

[173]「主任さん、

[174] どうかしたんですか?」

[175]【はつみ】

[176]「部屋の電話が繋がらなくて……。

[177] 管理会社の人も、休日だし、時間外だしで

[178] 対応してくれないの……」

[179]電話?

[180]回線の不具合かな?

[181]たまに電話機本体から

[182]電話線が抜けてる時があるのよね。

[183]【かおり】

[184]「わたし、見ましょうか?」

[185]【はつみ】

[186]「いえ……でも……。

[187] わたしは助かるけど、勤務時間外なのに

[188] 部下に頼るなんて悪いわ……」

[189]【かおり】

[190]「そんな水臭いこと言わないでください。

[191] 主任さんのためなら、エンヤコラですよ」

[192]ニコッと笑いかけると、

[193]主任さんはホッとした顔をした。

[194]うん、人に喜ばれるのは嬉しいよね。

[195]ちゃんと喜ばれるためには、

[196]頑張らなくちゃね!

[197]【はつみ】

[198]「じゃあ、お言葉に甘えようかしら……」

[199]【かおり】

[200]「はい!

[201] じゃ、主任さんの部屋に案内してください」

[202]【はつみ】

[203]「……あ、あの……、

[204] ここなんだけど……その……」

[205]部屋の前に来て、主任さんは

[206]いきなりモジモジし始めた。

[207]【かおり】

[208]「入っていいんですよね?」

[209]【はつみ】

[210]「え、ええ……どうぞ……」

[211]【かおり】

[212]「じゃ、お邪魔しまーす!」

[213]コンビニ袋をいったん置いて、

[214]わたしはドアを勢いよく開けた。

[215]【かおり】

[216]「!!」

[217]……思わず閉めちゃったけど……、

[218]今の、何?

[219]わたしの目の錯覚……?

[220]【はつみ】

[221]「…………」

[222]主任さんを見ると、少し頬が赤い。

[223]えっと……、

[224]気を取り直して、改めて……。

[225]【かおり】

[226]「…………」

[227]見間違いじゃなかった……!!

[228]これは……汚部屋、だ!!

[229]【はつみ】

[230]「ごめんなさい、

[231] ちょっと散らかっているの」

[232]『ちょっと』ですと!?

[233]主任さん、

[234]これ、『ちょっと』ってレベルじゃないですよ!!

[235]【かおり】

[236]「あ……、あの……、あの……」

[237]【はつみ】

[238]「さ、どうぞ、入って?」

[239]わたしのコンビニ袋を持って、

[240]主任さんが先に入る。

[241]えと……、

[242]荷物置いて逃げ出しちゃっても、いいかなぁ?

[243]コンビニにはもう一度行くことにして……。

[244]…………。

[245]ダメだよね……。

[246]わたしは諦めて、

[247]主任さんの後について部屋に入った。

[248]【かおり】

[249]「と、ところで、電話は……

[250] どこに……あるんでしょうか……」

[251]【はつみ】

[252]「子機はここよ」

[253]【かおり】

[254]「いえ……、あの、本体……」

[255]【はつみ】

[256]「あ、あのへん?」

[257]……疑問形?

[258]しかも、主任さんが指差した方向には

[259]電話機なんてなくて、

[260]ただうずたかく積もった本が散乱しているだけ。

[261]首をかしげて

[262]誤魔化すような笑顔を浮かべている主任さんに、

[263]わたしは何とかため息を押し殺す。

[264]【かおり】

[265]「わたしに聞かれても困ります……」

[266]【はつみ】

[267]「そ、そうよね」

[268]主任さんが愛想笑いを浮かべている。

[269]は、初めて見たよ、

[270]主任さんの愛想笑い!!

[271]【かおり】

[272]「と、取り敢えず、

[273] 電話機の本体を掘り起こさないと

[274] お話になりませんよね……」

[275]【かおり】

[276]「わたしは一度、戻りますから、

[277] その間に主任さんは

[278] 部屋を片付けていてください」

[279]そう言うと、途端に主任さんは

[280]不安そうな顔をした。

[281]【はつみ】

[282]「……え、

[283] あなたが手伝ってくれるものだと……」

[284]!!

[285]これって、

[286]あの主任さんが、わたしに甘えてるってこと!?

[287]でも、このお部屋、

[288]片付けるの、すっごく大変っぽくない!?

[289]でもでもっ、主任さんが甘えてくれるなんて

[290]普通では、まずありえないことだし……。

[291]ど、どうしよう!?

[292]わかりました、手伝います

[293]自分でやってください

[294]わたしは息を大きく吸って、

[295]ゆっくりと吐き出した。

[296]【かおり】

[297]「……わかりました、手伝います」

[298]【はつみ】

[299]「ほ、本当に……?」

[300]ホッとした主任さんの顔は、

[301]まるで道に迷った小さい子が

[302]見知った道に出てきたような顔をしている。

[303]【はつみ】

[304]「ありがとう……本当に助かるわ」

[305]ふわりと、

[306]花がほころぶような、微笑み。

[307]不意に、もったいない……と思ったの。

[308]【かおり】

[309]「そんな微笑みができるなら、

[310] いつも微笑んでいればいいのに……もったいない」

[311]【はつみ】

[312]「……やだ、沢井さん……」

[313]主任さんが真っ赤になってる。

[314]そんな主任さんを見て初めて、

[315]わたしは自分が考えたことを

[316]口に出していたのだとわかった。

[317]うう……わたしったら、

[318]主任さんに向かって、なんて失礼なことを……。

[319]【かおり】

[320]「じゃ、じゃあ、

[321] パパッと片付けちゃいましょう?」

[322]【はつみ】

[323]「ええ、片付けちゃいましょう!」

[324]わたしはゆっくりと周囲を見回した。

[325]【かおり】

[326]「……無理ですよ、こんなの。

[327] 散らかしたのは主任さんでしょう?

[328] 自分でやってください」

[329]そう言った途端、

[330]主任さんの表情が落胆の色に染まった。

[331]【はつみ】

[332]「そうよね……、

[333] 自分で撒いた種だもの、

[334] 自分で始末をするのが筋よね……」

[335]しょんぼりした顔。

[336]うう……、どうしてわたしが

[337]こんな罪悪感を覚えなきゃいけないんだろう……。

[338]【はつみ】

[339]「電話機本体を発掘するだけだから、

[340] そんなに時間はかからないはず……」

[341]ふらふらと、主任さんが

[342]さっき指差した方へと歩いてゆく。

[343]【はつみ】

[344]「この奥なの……、

[345] この奥にあるはずなの……」

[346]がさがさと、その辺の書類の山を

[347]文字通り『掻き分けて』いる。

[348]【かおり】

[349]「しゅ、主任さん?

[350] そんなやり方だと、手を怪我しますよ?」

[351]【はつみ】

[352]「いた……っ!」

[353]慌てた様子で

[354]主任さんが手を引っ込める。

[355]どうやら紙で指先を切ってしまったらしい。

[356]【かおり】

[357]「ほら……もう、言ったそばから……」

[358]主任さんの横にしゃがんで、

[359]大量の紙の山を片付け始めた。

[360]【はつみ】

[361]「沢井さん?」

[362]【かおり】

[363]「見てられません。

[364] わたしも手伝いますから、

[365] 主任さんはまず手当てをしてきてください」

[366]【はつみ】

[367]「……ありがとう」

[368]ポソッと呟かれた。

[369]……結局、断っても

[370]わたしが片付けることになるのね、ふぅ。

[371]乱雑に散らばった紙の山を束にしていきながら、

[372]ただひたすら、床を目指す。

[373]一ヶ所、片付けても、

[374]床が見えるか見えないかの内に、

[375]あらわれた別の紙の山が雪崩を起こす。

[376]それを片付けると、

[377]今度は埋まっていた本の山を発見!

[378]もちろん、その本の山は、

[379]積まれていた本が雪崩を起こしたもので……。

[380]紙と本とが、まるでミルフィーユのように

[381]積み重なってる。

[382]その間に衣服が埋もれていたり、

[383]ビニール袋や封筒が埋もれていたり、

[384]なかなかカオスな状況だった。

[385]よくもまぁ、

[386]こうなるまで放置できたものだと

[387]こっそりと感心する。

[388]主任さんは、最初はわたしの側をウロウロしてたけど、

[389]片付けているのか、散らかしているのか

[390]わからない動きをするので、

[391]お願いして、離れてもらったの。

[392]主任さん、しょんぼりしてたみたいだけど、

[393]主任さんがいると片付かないんだもん、

[394]仕方がないよ。

[395]【かおり】

[396]「あ……」

[397]分厚い紙束が雪崩を起こした、その向こう、

[398]プラスチックの輝きが見えた。

[399]それら紙束を取り除くと、

[400]電話機本体が出てきた。

[401]【かおり】

[402]「……あった!!」

[403]やっと対面できた……!

[404]電話機を探すのに、

[405]こんなに苦労するなんて!

[406]電話機本体の裏側を覗き込むと、

[407]接続されているはずのケーブルが

[408]のしかかっていた本の背表紙によって

[409]しっかりと外れてしまっていた。

[410]それを再び差し込んで、主任さんを呼ぶ。

[411]【かおり】

[412]「主任さん!

[413] これで、電話が

[414] 使えるようになったはずですよ!」

[415]【はつみ】

[416]「ほ、本当!?」

[417]子機を持った主任さんが

[418]足取り軽く近づいてくる。

[419]【はつみ】

[420]「あ……」

[421]せっかく本と紙を分けて積み上げた山が

[422]雪崩を起こした。

[423]【はつみ】

[424]「……ごめんなさい」

[425]しゅん、となって、主任さんが謝る。

[426]……なんか、子どもみたい。

[427]こんな顔を見せられちゃ、怒れないですよ、

[428]反則です、主任さんったら……。

[429]【かおり】

[430]「いえ……後でまた片付けますから。

[431] それより、電話、繋がりますか?」

[432]【はつみ】

[433]「え、えっと……」

[434]主任さんが子機のボタンを押している。

[435]不安そうな表情で、耳に当てて……。

[436]そして、ぱっと顔を輝かせた。

[437]【はつみ】

[438]「繋がる! 繋がるわ!!」

[439]ピッと子機のボタンを押して、

[440]通話をオフにしてから、ポイッと子機を放り投げる。

[441]放り投げた先で、

[442]また紙の山が雪崩を起こしたけど、

[443]喜んでいる主任さんは気づいてないみたい。

[444]わたしの手を取り、ぎゅっと握ってくれた。

[445]【はつみ】

[446]「ありがとう、沢井さん!

[447] わたし、あなたに

[448] なんとお礼を言えばいいのかわからないわ!」

[449]人差し指と中指に

[450]絆創膏が巻かれている。

[451]この傷、

[452]きっと明日の勤務で手を洗った時に

[453]染みて痛いんだろうな……。

[454]【かおり】

[455]「いえ……そんな、お礼だなんて……。

[456] 大したことしてませんから」

[457]■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

[458]0301で「いいですよ」を選択した場合のみ

[459]■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

[460]【はつみ】

[461]「でも、お世話になったのは事実だし……そうだ!

[462] 美味しいものを食べに行きましょう?

[463] お腹、減っているでしょう?」

[464]お腹……。

[465]   「はぁ、ちょっと腹減ってきたなぁ……。

[466]    沢井は腹減った?」

[467]    「あんたの分も出したるさかい、

[468]     コンビニで好きなモン、買うてき」

[469]【かおり】

[470]「はっ!」

[471]や、山之内さんのこと、忘れてた……!

[472]【かおり】

[473]「しゅ、主任さん!

[474] わたし、大事な用事の途中だったんです!

[475] だから、もう帰ります!」

[476]【はつみ】

[477]「あら、そうなの?」

[478]残念そうに言ってくれるのが、

[479]ちょっと嬉しい……。

[480]【はつみ】

[481]「……あの……、

[482] じゃあ、また、明日……病棟でね」

[483]名残惜しそうな主任さんに、

[484]わたしも後ろ髪を引かれるような気分だけど、

[485]でも、山之内さんを放っておけないもんね!

[486]【かおり】

[487]「は、はい!

[488] では、失礼します!」

[489]やっばーい!

[490]山之内さん、絶対、怒ってる〜!

[491]あれ……ドア、開いてる……。

[492]【かおり】

[493]「し、失礼しまーす……」

[494]わたしが出ていった時のままらしく、

[495]部屋は暗くなっていて……。

[496]電気をつけると、奥には……!!

[497]【かおり】

[498]「や、山之内さん!?」

[499]ばったりと倒れている、山之内さんが!!

[500]【かおり】

[501]「や、山之内さん!?

[502] しっかりしてください!!」

[503]【やすこ】

[504]「さ……沢井、か……。

[505] 戻ってきてくれたんやね……」

[506]【かおり】

[507]「山之内さん!

[508] 遅くなってごめんなさい!!」

[509]【やすこ】

[510]「ええよ……、ええねん……。

[511] あんたが戻ってきてくれてんから……、

[512] もう、他には、何も望まん……」

[513]【やすこ】

[514]「うちの……願いを、聞いてくれるか」

[515]【かおり】

[516]「しっかりしてください!」

[517]【やすこ】

[518]「ええか、良う聞き……。

[519] うちの屍を乗り越えて……

[520] あ、あんたは輝く看護の星に……ガクッ」

[521]【かおり】

[522]「や、山之内さぁぁぁん!!」

[523]…………。

[524]………………。

[525]【かおり】

[526]「……なに、この小芝居」

[527]【やすこ】

[528]「いや、あんまり腹減ったんで……」

[529]むっくりと起き上がった山之内さんは、

[530]はははと笑っている。

[531]変なの。

[532]でも……ちょっと楽しいかも。

[533]■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

[534]0301で「いやですよ」を選択した場合のみ

[535]■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

[536]【はつみ】

[537]「……わたしにとっては

[538] 大したこと、だったんだけれど……」

[539]はっ!?

[540]主任さんが、またしょんぼりとしている!

[541]お部屋での主任さんは

[542]表情がコロコロ変わるなぁ。

[543]【はつみ】

[544]「…………」

[545]【かおり】

[546]「……えっと……」

[547]何だか言葉が続かない……。

[548]うん、あんまり長居するのは迷惑だから、

[549]そろそろ帰ろうかな。

[550]【かおり】

[551]「……じゃ、その……

[552] わたし、帰りますね」

[553]【はつみ】

[554]「え……あっ、もう!?

[555] で、でも、そうね……、

[556] 引き止めても迷惑よね」

[557]【はつみ】

[558]「今日は本当にありがとう。

[559] 助かったわ、沢井さん」

[560]【かおり】

[561]「お役に立てて良かったです」

[562]【はつみ】

[563]「……あの……、

[564] じゃあ、また、明日……病棟でね」

[565]モジモジしながら、

[566]主任さんがおずおずと手を振ってくれた。

[567]【かおり】

[568]「はい、また明日!」

[569]【かおり】

[570]「……疲れた〜!」

[571]ぼふっとベッドにダイビングする。

[572]それにしても、

[573]あのきっちりとした主任さんの部屋が

[574]汚部屋だったなんて……。

[575]人は見かけによらないよね……ビックリ!

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