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white_robe_love_syndrome:scr00212

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[001]【なぎさ】

[002]「はぁ〜。

[003] 今日もバタバタだったね〜」

[004]大きなため息をついて着替えるなぎさ先輩。

[005]【かおり】

[006]「なぎさ先輩、自分の仕事もあるのに、

[007] わたしのプリセプターになっちゃったから

[008] 余計に大変そう……」

[009]わたしも目が回るくらい忙しくて、

[010]勤務が終わる頃には、

[011]寮に帰るのもしんどいくらい疲れちゃってるんだけど。

[012]わたし以上に

[013]なぎさ先輩は大変なはずだよね。

[014]うう、申し訳ないなぁ……。

[015]【なぎさ】

[016]「んもう、新人がそんなこと気にしないの!」

[017]【かおり】

[018]「でも……」

[019]【なぎさ】

[020]「忙しいのはいつものことなんだから。

[021] むしろ頑張れば頑張っただけ

[022] ご褒美が美味しい! でしょう?」

[023]なぎさ先輩がにんまりと笑ってわたしを見る。

[024]【なぎさ】

[025]「ということで、飲もう!」

[026]【かおり】

[027]「きょ、今日もですか〜っ!?」

[028]【なぎさ】

[029]「なによぅ〜。

[030] 沢井はあたしと飲むのが

[031] つまんないとでも言うの〜?」

[032]【かおり】

[033]「そうじゃなくて……」

[034]慌てて、プルプルと首を振る。

[035]クスッと笑ったなぎさ先輩が

[036]にこっと笑った。

[037]【なぎさ】

[038]「沢井、ちょっと疲れてるみたいだしさ。

[039] たまには息抜きしなきゃね」

[040]【かおり】

[041]「なぎさ先輩……」

[042]うう、そんなにわたしのことを

[043]考えてくれてるんですね……!!

[044]【なぎさ】

[045]「んじゃ、決まり!

[046] 帰りにコンビニでビールとつまみ買って

[047] 沢井の部屋に集合!」

[048]【かおり】

[049]「はぁい」

[050]【なぎさ】

[051]「よぉし、今日は飲むぞ〜っ!」

[052]【かおり】

[053]「今日『も』でしょ」

[054]【なぎさ】

[055]「よーしっ、飲むぞー!」

[056]なぎさ先輩がどんどんビールの缶を積む。

[057]テーブルだけでなく、床にまで……。

[058]こ、これって……?

[059]【かおり】

[060]「な、なぎさ先輩……。

[061] まさかこれ全部、

[062] 今日、飲んじゃうつもりじゃあ……?」

[063]なぎさ先輩はニヤッと笑う。

[064]否定も肯定もしないのが怖いよー!

[065]【なぎさ】

[066]「まぁまぁ、堅いこと言わない。

[067] ささ、乾杯乾杯!」

[068]テーブルについて

[069]先輩の差し出すビールを手に取る。

[070]【なぎさ】

[071]「かんぱーい!」

[072]【かおり】

[073]「お疲れ様でしたー、乾杯!」

[074]【なぎさ】

[075]「プハー!

[076] やっぱこれだね!」

[077]【かおり】

[078]「それはいいですけど、飲みすぎには注意ですよ。

[079] 遅刻したら主任さんが怖いんですから」

[080]【なぎさ】

[081]「えー?

[082] 大丈夫だよ〜。

[083] だってあたし、明日休みだしぃ〜」

[084]【かおり】

[085]「なっ!?

[086] ずるいです、なぎさ先輩

[087] わたしは勤務なのに……っ!」

[088]【なぎさ】

[089]「うん、知ってる〜」

[090]【かおり】

[091]「はうあっ!?

[092] なぎさ先輩、自分がお休みだからってヒドイ〜」

[093]【なぎさ】

[094]「ふっふっふっー、今日は飲むわよー!

[095] 沢井も付き合ってくれるわよね!」

[096]【かおり】

[097]「ダメですよ。

[098] 明日が怖いから程ほどに……って、

[099] 先輩もう二本目ですか!?」

[100]【なぎさ】

[101]「いや〜、明日が休みだと思うと

[102] いつものお酒も格別に美味しく感じるわよね〜」

[103]カラカラと笑うなぎさ先輩。

[104]【かおり】

[105]「わたしにはいつもと同じですっ!」

[106]【なぎさ】

[107]「あーら、そうなの?

[108] 飲みが足りないんじゃないかしら〜?

[109] ほらほら、飲んで、飲んで、飲んで〜〜?」

[110]【かおり】

[111]「ひょわっ!?

[112] なぎさ先輩ってば、わたしのはまだ入ってます〜!」

[113]【なぎさ】

[114]「やーねぇ、沢井ったら、だったら早く言いなさいよー!

[115] 開けちゃったじゃないのー!」

[116]【なぎさ】

[117]「もぉ、仕方ないなー、

[118] もったいないからあたしが飲む!」

[119]【かおり】

[120]「へっ!?

[121] 先輩、それもう三本目……」

[122]【なぎさ】

[123]「くはーっ!

[124] 染み渡るねぇ〜!」

[125]【かおり】

[126]「なぎさ先輩、ピッチ早いですよ!

[127] ヤバイです、二日酔いへの道

[128] まっしぐらですよっ!!」

[129]【なぎさ】

[130]「ん?

[131] 気のせい気のせい、ヤバくないよー?

[132] ほらどんどんいこう!」

[133]【かおり】

[134]「そんなどんどんいったら、

[135] 本当に二日酔いになっちゃいますよっ!?」

[136]【なぎさ】

[137]「二日酔いが怖くて酒が飲めるかー!」

[138]【かおり】

[139]「いやいやいや!

[140] 怖いですよね、普通に、二日酔い、怖いですよね!」

[141]【なぎさ】

[142]「あんなの、しじみの味噌汁飲んで寝りゃ治る!」

[143]【かおり】

[144]「う……っ、もう酔っ払ってる……」

[145]【なぎさ】

[146]「あたしは酔ってなぁい!」

[147]【かおり】

[148]「酔っ払いはみんなそう言うんです」

[149]【なぎさ】

[150]「でもあたしは酔ってないんだもーん」

[151]【かおり】

[152]「はいはい」

[153]酔っ払い相手に反論しても無駄なので、

[154]ここは素直にうなずいておこう。

[155]でも……。

[156]たしかに、ちょっと呆れはするんだけど、

[157]こういう無防備ななぎさ先輩も可愛いかも、なーんて

[158]思っちゃった。

[159]【かおり】

[160]「うふっ」

[161]高校の時だって、

[162]洒落っ気のある人だったし、

[163]リーダーシップもあって、

[164]カッコイイなって思う部分が大きかったんだけど。

[165]今は、頼りになる先輩看護師で、

[166]今でも憧れのひと。

[167]そんななぎさ先輩が、こういう風に

[168]無防備に酔っ払ってるところ見せられちゃうと、

[169]ちょっとグッと来ちゃう。

[170]これって

[171]『ギャップ萌え』っていうのかな。

[172]それとも、そう感じるのは

[173]わたしが長女体質だから?

[174]【なぎさ】

[175]「沢井〜!

[176] 飲んでる〜?」

[177]【かおり】

[178]「んもう、先輩ったら飲みすぎですよー?」

[179]【なぎさ】

[180]「全然だいじょーぶー!

[181] ほらね、ほらほら。

[182] 例えば……そうね、ぴよぴよ、なのよ」

[183]【かおり】

[184]「は!?」

[185]い、いきなり何を言い出すの!?

[186]なぎさ先輩は不満そうな顔でわたしを見る。

[187]【なぎさ】

[188]「ぴよぴよだよ〜?

[189] わかんないの、ぴよぴよ……」

[190]【かおり】

[191]「ぴ、ピヨピヨって何ですか?」

[192]上機嫌ななぎさ先輩が

[193]両手を脇に付けて、

[194]ヒラヒラと手のひらを羽のように動かした。

[195]【なぎさ】

[196]「ぴよぴよはぴよぴよだよ〜。

[197] びよびよでもなく、ぱよぱよでもなく、ぴよぴよ。

[198] わかったかにゃ〜?」

[199]【かおり】

[200]「…………」

[201]【なぎさ】

[202]「はっはっはー、ぴよぴよ。

[203] はい、ご一緒に!

[204] ぴよぴよ〜っとね!」

[205]【かおり】

[206]「ああ、もう……っ!」

[207]わたしの様子を知ってか知らずか、

[208]なぎさ先輩はご機嫌モードで手をヒラヒラさせ続けてる。

[209]【なぎさ】

[210]「んー、今日のところはあたしが奢っちゃう!

[211] だから沢井も一緒にぴよぴよしてぇ〜」

[212]えぇーっと……!

[213]意味わかんないんですけど!!

[214]……ああんもう、どうすりゃいいの!?

[215]一緒にピヨピヨやる

[216]もう、お水持ってきます

[217]……でも、ま、仕方がないか。

[218]【なぎさ】

[219]「ねーえぇ、沢井ー?

[220] ぴよぴよはー?」

[221]可愛くおねだりするなぎさ先輩に勝てる人なんて、

[222]きっとこの世のどこを探してもいない。よね。

[223]【かおり】

[224]「ぴ、ピヨピヨ……?」

[225]【なぎさ】

[226]「あぁん、もっと可愛く〜。

[227] 手もつけて〜?

[228] はい、ぴよぴよ〜」

[229]なぎさ先輩の真似をして、

[230]手をパタパタさせてみた。

[231]【かおり】

[232]「ピ、ピヨピヨ……」

[233]【なぎさ】

[234]「そうそう!

[235] もっと、ぴよぴよ〜?」

[236]【かおり】

[237]「ピヨピヨ……」

[238]【なぎさ】

[239]「もっともっと!

[240] ほら、ぴよぴよ〜!」

[241]【かおり】

[242]「ピ、ピヨピヨー!」

[243]【なぎさ】

[244]「いやーん、沢井ってば可愛いっ!

[245] なんってピヨピヨが似合うのっ!」

[246]【かおり】

[247]「褒め言葉……なんでしょうか、それ」

[248]【なぎさ】

[249]「うんうん、心からの褒め言葉だよ〜?

[250] ぴよぴよ〜?」

[251]【かおり】

[252]「ピヨ、ピヨ……」

[253]【なぎさ】

[254]「ダメダメ、もっと沢井らしく元気よく!

[255] ぴよぴよ〜!」

[256]【かおり】

[257]「ピヨピヨー!」

[258]あぁん、もう誰か助けて〜!

[259]ひたすらピヨピヨと言い続けるなぎさ先輩に、

[260]わたしは思わずため息をついた。

[261]【かおり】

[262]「もう。

[263] ……お水もってきますね」

[264]【なぎさ】

[265]「やぁん、かおりちゃんのいけず〜!」

[266]【かおり】

[267]「なぎさ先輩、ちょっと飲みすぎです。

[268] これ以上は身体に悪いです」

[269]わたしは冷蔵庫から出したミネラルウォーターを

[270]コップに注いで持ってくると、

[271]ピトッとなぎさ先輩の頬にくっつけた。

[272]【なぎさ】

[273]「つ、つめた……っ!?」

[274]【かおり】

[275]「酔いが醒めました?」

[276]【なぎさ】

[277]「ふわー、醒めた醒めた!

[278] 沢井ってば意外と乱暴なんだから〜」

[279]【かおり】

[280]「なぎさ先輩が困らせるからです」

[281]【なぎさ】

[282]「えー?

[283] あたし、困らせてないよー?」

[284]【かおり】

[285]「わけのわからないこと言って、

[286] わたしの反応楽しんでたくせに」

[287]なぎさ先輩はクスクスと笑っている。

[288]く……っ、確信犯め!!

[289]【なぎさ】

[290]「可愛い後輩との楽しいスキンシップじゃない、

[291] レクリエーションのひとつですー」

[292]【かおり】

[293]「楽しくありません!」

[294]【なぎさ】

[295]「一緒にやってみれば楽しいのにー」

[296]【かおり】

[297]「なぎさ先輩は明日お休みだから良いけど、

[298] わたし、明日も勤務なんですよ?

[299] わかってます?」

[300]【なぎさ】

[301]「あぁん、叱られちゃったー!

[302] 反省します、すみません」

[303]【かおり】

[304]「わかったら今日はそろそろ解散!」

[305]なぎさ先輩はめいっぱいショックを受けた顔をした。

[306]【なぎさ】

[307]「ガガン!」

[308]わたしはひたすら冷たく先輩を見る。

[309]【かおり】

[310]「……わたしがもし遅刻でもしたら、

[311] なぎさ先輩が責任を取って

[312] 主任さんに叱られてくれるんですか?」

[313]シュンとなる先輩。

[314]【なぎさ】

[315]「……できません」

[316]【かおり】

[317]「よろしい!」

[318]両腕を組んで頷いてみせたわたしに

[319]なぎさ先輩はガバッとしがみついてきた。

[320]【なぎさ】

[321]「沢井のくせに生意気だぞー!

[322] 四の五の言わずに、飲め呑め〜ぇっ!」

[323]【かおり】

[324]「きゃー!?

[325] もう無理ですってば〜!」

[326]無理やり缶ビールを押し付けてくるなぎさ先輩は

[327]もはや完全なる酔っ払い、大トラだった。

[328]【かおり】

[329]「く……、このっ、強制退室です!」

[330]【なぎさ】

[331]「沢井、横暴ー!」

[332]【かおり】

[333]「はーいはいはい。

[334] 酔っ払いのなぎさ先輩は

[335] お部屋に戻ってゆっくり休んでくださいねー」

[336]うがうがと何事かわめいている

[337]なぎさ先輩を立たせて、

[338]無理やりドアの外に出そうとする。

[339]それでなぎさ先輩も諦めたのか、

[340]おとなしく自分からドアの向こうに出て行った。

[341]【なぎさ】

[342]「うー、おやすみぃ〜」

[343]【かおり】

[344]「はい、おやすみなさい〜」

[345]よたつきながらも、

[346]自分の部屋に帰っていく

[347]なぎさ先輩の後姿を確認して、

[348]わたしは大きくため息をついた。

[349]ちょっと酔っ払ったなぎさ先輩は可愛いけど、

[350]大トラになったなぎさ先輩の相手は大変すぎる……。

[351]でも……。

[352]ぴよぴよと言いながら

[353]腕をパタパタさせてたなぎさ先輩は

[354]すっごく可愛かったかも〜。

[355]写メ撮っとけばよかったなー、なーんてね。

[356]ちょっと後悔しながら、

[357]わたしは散らかったビールの空き缶を

[358]片付けることにした。

white_robe_love_syndrome/scr00212.txt · Last modified: 2013/06/01 22:49 (external edit)