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tenshitachi_no_harukoi:s001
;//S001
#savetitle 「桜の精」


;**寮ロビー
#bg bg06a
#wipe fade



;♂MP18
#bgm 0 bgm18


;//SE:ざわざわ
;♀SE001
#se 0 SE001


#mes on
#system on


#voice RYOKAN0000
【寮 監】「新入寮生のみなさーん! 間違って他人の荷物は持って行っちゃダメですよー?」
#voice RYOSEI0000
【寮 生】「はーい!」
#voice RYOKAN0001
【寮 監】「大きい荷物は既に部屋に運んでありますよー。部屋割りは『入寮のしおり』に書いてますからねー? 良く読んで、規則正しい生活を送ってくださいねー」
#voice RYOSEI0001
【寮 生】「はーい!」


;**暗転
#mes off
#mes clear
#system off
#bg black
#cg all clear
#wipe fade



;//SE:ノック音
;♀SE002
#se 0 SE002
#se 0 wait


;//SE:ドアの開閉
;♀SE03
#se 0 SE003


;**優乃の部屋・昼
#bg bg03a
#wipe fade



#mes on
#system on


#cg 1 tyu03f 400 0
#wipe fade


#voice YUUNO_0000
【Yuuno】「し……失礼いたします」
初めての寮生活、緊張しながらドアを開けた。
部屋の中には誰もいない。
既に荷物が運ばれてるということは、わたしよりも先に入寮手続きを済ませた方のようだ。
運んでもらっていた段ボールを開封して、手早く荷物を出していく。
ふと、既に整えられている同室者のベッドを見た。
#voice YUUNO_0001
【Yuuno】「どんな方なのかしら……、ご挨拶したかったですわ」
ベッドにかけられた、シンプルなシーツ。


#cg 1 tyu01f 400 0
#wipe fade


#voice YUUNO_0002
【Yuuno】「慌てなくても、後でお会いできますわよね」
こうして、荷物もあるんだし。
このふたり部屋をひとりで使うことはなさそうだと思うと、ちょっとホッとした。


#cg 1 tyu03f 400 0
#wipe fade


#voice YUUNO_0003
【Yuuno】「これは……?」
ふと、段ボールを畳もうとし、ひらりと封筒のようなものが落ちてきた。
『優乃へ』と書かれた手紙を開封する。


#mes off
#mes clear
#mes novel


;**青空
#cg all clear
#bg bg17a
#wipe fade


#mes on fade
#system on


\n\n\n優乃へ\n
 看護学校、入学おめでとうございます。
 お母さんやお父さんのことで、あなたには色々と心配や苦労をかけたと思います。
 でも、あなたも高校を卒業した身。
 これからは、家のことなぞ気にせず、あなたの思うように生きてほしいと思っています。
 本当は寮に入れずに、私の手元から通わせたかったけれど、親も子離れしないといけませんものね。
 ただ、これだけは覚えていてほしいの。[p]
\n\n\n お母さんは、どんなことがあっても、あなたの味方です。
 将来、あなたがどんな道を選んでも、お母さんはあなたを否定しません。
 辛いことがあったら、いつでも家に帰っていらっしゃい。
 この家は、あなたの家でもあるのですから、遠慮することはありません。
 お母さんも久しぶりの一人暮らしになってしまうので、今から少し寂しいです。
 たまには元気な顔を見せてくださいね。
 あなたが、ずっと健やかにいられることを祈っています。


#mes off
#mes clear
#system off
#bg black
#cg all clear
#wipe fade


#mes window


;**優乃の部屋・昼
#bg bg03a
#wipe fade



#mes on
#system on


#cg 1 tyu01f 400 0
#wipe fade


#voice YUUNO_0004
【Yuuno】「お母さんったら……まったくもう」
何だかんだで子離れできていない母を思う。
母の気持ちは嬉しい。
母は母、わたしはわたしと思う気持ちはあるけれど、この世界のどこかに味方がいるというのは心強い。
その気持ちを胸に、今日からわたしはここで生きていくのだと、決意を新たにした。
手紙は元通りに折り畳んで封筒に入れてから、読みかけの本に挟んでおいた。
#voice YUUNO_0005
【Yuuno】「それにしても……」
同室者はまだ姿を現さない。


#cg 1 tyu03f 400 0
#wipe fade


#voice YUUNO_0006
【Yuuno】「少し早く着きすぎてしまったのかしら……」
夕食は十八時から二十二時の間、各自、自由に食堂で摂ることになっているらしい。 
それまでは特に何もすることがない。有り体に言えば、暇。


;//SE:紙をめくる
;♀SE004
#se 0 SE004


入寮のしおりをパラパラと流し読みをしていて、ふと、窓の外を見た。


#cg 1 tyu02f 400 0
#wipe fade


#voice YUUNO_0007
【Yuuno】「そうですわ! 学院を下見しておきましょう!」


;**暗転
#mes off
#mes clear
#system off
#bg black
#cg all clear
#wipe fade



;**学校中庭・昼
#bg bg11a
#wipe fade



#mes on
#system on


聖ミカエル女学院と同じ敷地にあるとはいえ、こっちの付属の看護学院に来たことはない。
せいぜい、具合が悪くなった時に、病院の外来に行く程度。
だったのだけれど……。


#cg 1 tyu01f 400 0
#wipe fade


#voice YUUNO_0008
【Yuuno】「こんなに綺麗な場所があるんですのね……」
いつものわたしなら、人の目を気にして、こんな大胆なことはしない。
なのに、咲き誇る花に誘われるように、見知らぬ場所に足を踏み入れてしまっている。
中庭らしき場所。
たくさん咲いている、春の花。
きっと夏には夏の、秋には秋の花が咲くのだろう。
ふと、花びらに触れてみたい衝動に駆られた。


;//SE:ザァッ(風の音)
;♀SE005
#se 0 SE005


#cg 1 tyu04f 400 0
#wipe fade


#voice YUUNO_0009
【Yuuno】「きゃっ!?」
いきなり突風が吹いた。
窓ガラスが揺れて、耳障りな音がした。


#cg 1 tyu03f 400 0
#wipe fade


……それだけのことなのに、ちょっとだけ怖くなってしまう。
怖がりはもう高校で卒業しようと思っていたのに。
#voice YUUNO_0010
【Yuuno】「……か、帰りましょう」
回れ右をして、来た道を戻る。
……ううん、戻ろうとした。
#voice YUUNO_0011
【Yuuno】「ど、どっちから来たんでしたっけ?」
ウロウロと歩き回る。


;**暗転
#mes off
#mes clear
#system off
#bg black
#cg all clear
#wipe fade



;**学校中庭・昼
#bg bg11a
#wipe fade



#mes on
#system on


#cg 1 tyu03f 400 0
#wipe fade


#voice YUUNO_0012
【Yuuno】「あ、あら……? ここ、さっきも通りましたわよね……」
足を止めて、周囲を見回す。
どうやらわたしは迷ってしまったらしい。
学院のある病院の敷地自体はそんなに広くはないはずなのに、寮への帰り道がわからない。

;//SE:走る
;♀SE006
#se 0 SE006


#voice YUUNO_0013
【Yuuno】「ど……どうしましょう?」
誰か通りかかってくれればいいけれど、誰も通りかからなかったら、寮に帰れない。
このまま、この庭から出られなかったら……。

;//SE:走る
;♀SE007
#se 0 SE007


もしかしたら、この庭はどこか異空間に繋がっていて――なんて、荒唐無稽な怖い想像をしてしまう。
そしたら、わたしの顔を知らないまま、同室者の方は、また別の新しい同室者を迎えるのかもしれない。
わたしという学生は、入寮手続きを済ませただけで、行方不明になってしまったという『学院七不思議』のひとつとして語り継がれてゆくのかも……。

;//SE:走る
;♀SE006
#se 0 SE006


この桜の花びらの中に、永遠に閉じこめられてしまったら……。

;//SE:走る
;♀SE007
#se 0 SE007


#voice YUUNO_0014b
【Yuuno】「ど、どうしましょうっ!?」
走り疲れて、すぐ傍にあった桜の木に手をついた。
わたし……どうしたらいいの……。
#voice SATUKI0012
【???】「おや、桜の精がお迎えに来たのかと思ったよ」


#cg 1 tyu04f 400 0
#wipe fade


!?
降ってきた声に、思わず頭上を見上げる。


;※EV01
#cg all clear
#bg EV01
#wipe fade



;//SE:ドキン
;♀SE008
#se 0 SE008


#mes on
#system on


ドキン!
まるで天女のように綺麗な女性が、桜の木の上にいた!
#voice YUUNO_0015
【Yuuno】「あ……の……?」
天女がわたしへと笑いかけてくれた。
#voice SATUKI0013
【???】「キミは……新入生かな?」
#voice YUUNO_0016
【Yuuno】「は、はい……今日、入寮してまいりましたの……」
#voice SATUKI0014
【???】「そう。ところで、さっきからこの周辺をグルグル回ってたけど、おまじないの儀式かい?」


;※EV01P1
#bg EV01P1
#wipe fade



#voice SATUKI0015
【???】「邪魔をしてはいけないかな、と思ったけれど、悲壮な顔をしていたから、つい声をかけてしまったよ」
#voice YUUNO_0017
【Yuuno】「それは、その……」
こんな素敵な人に、本当のことを言うのが恥ずかしい。
けれど、寮に帰れないのは困る。
#voice YUUNO_0018
【Yuuno】「は、恥ずかしいのですけれど……道に迷ってしまって……」
#voice SATUKI0016
【???】「ああ、この学院の庭は花が綺麗だから、ついそっちに気を取られてしまって、現在地がわからなくなってしまうこともあるようだね」
微笑みかけられて、わたしだけじゃないんだと思うと、ホッとしてしまった。
#voice YUUNO_0019
【Yuuno】「あ……そうかもしれませんわ」
#voice SATUKI0017
【???】「ボクもこれから寮に行くところだから、一緒に行こうか」

;//SE:着地
;♀SE009
#se 0 SE009


#bg bg11a
#cg 1 tsa01f 200 0
#cg 2 tyu01f 600 0
#wipe fade



ストン、と天女の方が、目の前に舞い降りてきた。
つい下着を見てしまって、慌てて目を逸らすと同時に、現代ものの下着をつけているということは、この方は天女ではなく、わたしと同じ学院生なのだと思い当たった。
#voice YUUNO_0020
【Yuuno】(それはそうですわよね……天女というのは空想上の生き物ですものね……)
#voice SATUKI0018
【???】「さ、行こう」
こちらに伸ばされた手を見る。
#voice YUUNO_0021
【Yuuno】(この慣れた様子、きっと上級生の方なのね。なんて優しいお方なんでしょう……)
#voice YUUNO_0022
【Yuuno】(こんな素敵な上級生のいらっしゃる学院なら、きっとわたしの三年間は素晴らしいものになるに違いありませんわ)
ドキドキしながら、その手をそっと握る。
あたたかくて、柔らかい、手のひら。


#cg 1 tsa02f 200 0
#wipe fade



#voice SATUKI0019
【???】「綺麗な手だね」


#cg 2 tyu05f 600 0
#wipe fade



#voice YUUNO_0023
【Yuuno】「そんなこと……」
#voice SATUKI0020
【???】「ふふ、謙虚だね」
#voice SATUKI0021
【???】「でも、褒められているのだから、ここは素直に『ありがとう』と言った方が、褒めた方としては気持ちがいいな」


#cg 2 tyu02f 600 0
#wipe fade



#voice YUUNO_0024
【Yuuno】「そうなんですね。ふふ、ありがとうございます」
#voice SATUKI0022
【???】「キミは素直な子で、気持ちがいいね」


#cg 2 tyu05f 600 0
#wipe fade



素敵な笑顔を向けられて、ポッと頬が熱くなった。


#cg 1 tsa01f 200 0
#wipe fade



#voice SATUKI0023
【???】「ボクは石上皐。キミは?」


#cg 2 tyu01f 600 0
#wipe fade



#voice YUUNO_0025
【Yuuno】「あ、わたしは片倉優乃と申します。あの、先輩は……」
途端に、石神先輩は手を繋いだまま、笑い声を上げた。


#cg 1 tsa02f 200 0
#wipe fade



#voice SATUKI0024
【Satsuki】「あははっ、先輩じゃないよ、ボクも新入生!」


#cg 2 tyu04f 600 0
#wipe fade



#voice YUUNO_0026
【Yuuno】「えっ!?」
落ち着いた物腰や、もの慣れた言動から、すっかり上級生だと思っていたわ!


#cg 2 tyu03f 600 0
#wipe fade



#voice YUUNO_0027
【Yuuno】「ごめんなさい、わたしったら、てっきり……!」
#voice SATUKI0025
【Satsuki】「ふふ、いつもボクは態度が大きいと言われるんだ」
#voice SATUKI0026
【Satsuki】「だからキミが間違えるのも無理はないのかもしれないね」
#voice YUUNO_0028
【Yuuno】「ご、ごめんなさい……」
#voice SATUKI0027
【Satsuki】「いや、気にしなくても良いよ。キミみたいな可愛い子に頼りにされて嬉しいな」


#cg 2 tyu05f 600 0
#wipe fade



#voice YUUNO_0029
【Yuuno】「………………」
か、『可愛い子』だなんて……照れてしまう……。
#voice YUUNO_0030
【Yuuno】「こ、この場合も、『ありがとうございます』って言った方が嬉しいですか?」
#voice SATUKI0028
【Satsuki】「もちろんだよ! 可愛い子はね、自分が可愛いと自覚したら、もっと可愛くなるんだよ?」
#voice SATUKI0029
【Satsuki】「片倉くんは今のままでも十分可愛いけれど、でも、もっと可愛くなったら、すごく素敵だと思わないかい?」
#voice YUUNO_0031
【Yuuno】「そ、それは……えっと、ありがとうございます……」
照れくさくて、恥ずかしい。
けれど、嫌な気分じゃない。
今までわたしの周囲にはいなかったタイプの方だけれど、気持ちがいいくらいの正直さがとても素敵……\001
#voice YUUNO_0032
【Yuuno】「あ、あの……石神さん……」


#cg 1 tsa01f 200 0
#wipe fade



#voice SATUKI0030
【Satsuki】「ボクのことは、フレンドリーに『皐』って呼んでほしいな。ボクもキミを『優乃』って呼んでもいいよね?」


#cg 2 tyu02f 600 0
#wipe fade



#voice YUUNO_0033
【Yuuno】「ええ、構いませんわ、皐さん」


;**寮 ロビー
#bg bg06a
#wipe fade



#cg 1 tsa01f 200 0
#cg 2 tyu01f 600 0
#wipe fade



皐さん……ううん、皐さまとお話ししながら、無事に寮に戻ってきた。
一時はもう戻れないかもしれないと思ってたので、ちょっと感無量。
#voice SATUKI0031
【Satsuki】「あ、ボクは寮監の先生に用事があるから、これで失礼するよ」
#voice SATUKI0032
【Satsuki】「じゃあ、また明日、入学式でね」
#voice YUUNO_0034
【Yuuno】「あっ、は、はい、では……ごきげんよう」


#cg 1 tsa02f 200 0
#wipe fade



#voice SATUKI0033
【Satsuki】「一緒のクラスになれればいいね ちゅっ\001」


#cg 1 clear
#wipe fade


立ち去り際、投げキッスをされてしまった……。
普通の人がやったら、きっと気障ったらしく見える仕草。
でも、皐さまがやると、とても素敵……\001
道すがら、気の利いたお話ができなかった自分に自己嫌悪してしまったけれど、会話術はおいおい学んでいけばいいのよね。
#voice YUUNO_0035
【Yuuno】(皐さまのような素敵な方と同級生なんですもの、落ち込んでいては勿体ないですわっ!)


;**暗転
#mes off
#mes clear
#system off
#bg black
#cg all clear
#wipe fade



;♂MS
#bgm 0 stop 1000


;//END
#next2 S002
tenshitachi_no_harukoi/s001.txt · Last modified: 2013/09/27 12:24 by axypb