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seisai_no_resonance:sce08_04_29_0
ゆらゆらと身体が揺すられる。
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誰かが呼ぶ声がして、戻ってきたことが分かる。
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「…………」
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ゆっくりと目を開けると、そこは祠の舞台の上だった。
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「どうした?(BROKEN:8_20)
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奈岐の膝を枕にしていた私は少し微笑む。
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「そうだね……だから、泣いているんだと思う」
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頬を伝うのが熱い涙だと分かる。
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止めようにも止まらずに溢れ続ける。
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「みんな、後処理で忙しい。誰も見ていない。
(BROKEN:8_20)
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「奈岐……お母さんみたいなこと、言うんだね」
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「忘れてもらっては困るが、二つも年上だぞ?
(BROKEN:8_20)
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「ふふっ、忘れてたよ……だから、その分だけ甘える」
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奈岐の細い腰に手を回してお腹に顔を埋めた。
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声を上げて泣き始めた時、彼女は優しく髪を撫でてくれる。
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喉が潰れるんじゃないかと思うぐらいにむせび泣いて、
奈岐の身体に何度もしがみついた。
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流せる涙は全部流してしまおう。
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ちゃんと前を向いて、これからも歩いて行けるように。
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私達がそうしている間にも、時は流れ、事態は変化していく。
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祠に現れた松籟会のお爺さんに遠山先輩が詰め寄り、
それはもう酷い抗議をしたらしい。
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遠山家の当主が先輩に変わってしまうほどの出来事が、
同じ空間で起きていただなんて……少し可笑しい。
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中村さんは真実を携えながらも、
叔母さんと冷静にやりとりを交わしたらしい。
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きっと中村さんに待っている現実は過酷だから、
その心づもりがあったのだろう。
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力尽きた八弥子さんは駆けつけた葉子先生に、
運ばれていったと聞いた。
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八弥子さんの傷口はかなり開いてしまっていたけど、
命に別状は無いらしく、私達は胸を撫で下ろす。
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学園長に連れられ、由布と恵、三輪さんも
この広間を訪れたらしい。
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学園長はその口で彼女達に事実を説明し、
伏せられていた歴史を語り聞かせた。
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変わっていく島の歴史を新しい世代へ語り継ぐために――。
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「なあ、鼎……」
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「ん……?」
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「奈岐のこと、気付いていたんだな」
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「……言わない方が良かった?」
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「いいや……御陰で自分と向かい合うことが出来そうだ」
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「だから、礼を言いたい」
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「ふふっ、じゃあ、お礼をして」
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「…………っ」
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「…………か、鼎……ありがとう……」
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唇が重なる感触。
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その幸せな時の流れに私は目を閉じる。
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歩み出すと、様々なものが変化していく。
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それはこれからも続いていくだろう。
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変わらないものなんて無い。
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きっと私達を繋いでくれた好きの意味も変わっていく。
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私が望んだ愛になってくれるのか、それはまだ分からない。
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でも、前向きに考えて良さそうなのは確か――。
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「鼎……その……なんだ……」
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「うん?」
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「…………今度、言う」
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「ふふっ、待ってるよ」
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少し時間はかかるだろうけど、でもその時を楽しみに。
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これからも私達は手を取り合って歩いて行く。
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seisai_no_resonance/sce08_04_29_0.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)