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seisai_no_resonance:sce08_04_27_1
固い金属を切り裂いた感触――手応えがあった。
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振り下ろされる棘が当てずっぽうな方向へそれていく。
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「まだっ!!」
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身を捻り、両手で持った剣で袈裟懸けに斬る。
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ギギッと火花が散り、瘴気をはらんだ金属が裂けていく。
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そして、返す刃で胴体を焼き切ると穢れの身体が大きく揺らいだ。
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「鼎っ!(BROKEN:8_20)
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地面に突き刺さった棘を蹴り、私は宙へ飛ぶ。
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「たあああああああぁぁ――ッ!!」
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剣の切っ先を真下へ向け、穢れの頭部に突き立てる。
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ガンッと金属音が響き、頭に剣がめり込んでいく。
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体重を乗せ、剣を押し込むと同時に内部から発火させる。
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燃え盛る炎が瘴気に包まれた穢れを焼き払う。
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頭部に燃える剣を残したまま、私は穢れから飛び退いた。
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「やった……?」
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次々と棘が地面に落ち、穢れの動きが鎮まっていく。
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「まだだっ!」
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「いや――違う!」
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振り上げようとした穢れの腕が止まる。
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まるで何かに腕を掴まれているかのように、
中空でがくがくと震えていた。
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「……そういうことか、その言葉を代弁する」
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「穢れの力が弱まった今、理事長達の意志が奴を止めている。
(BROKEN:8_20)
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「…………」
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並ぶ穢れの三つの顔――
その中にある理事長の顔が僅かに動いた気がした。
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「うん、分かったよ。これで終わりにさせるから、待ってて」
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すぐに私は踵を返し、門へと向かう。
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手の中に勾玉を戻し、みんなから預かった星霊石を取り出す。
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目の前には門へ通じる岩、そして門は不気味に波打ちながら、
瘴気を吐き出し続けている。
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まるで最後の足掻きのように、穢れを生みだそうとしていた。
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「……みんなの力、借りるよ」
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あと一歩、最後の一押し――それは私だけの力では足りない。
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だから、みんなから託された希望を繋いでいく。
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「――由布」
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「私の大切な友達――いつも怒らせてばかりいたね」
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「でも、私は知ってる。由布がとても優しい子だって」
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「風間家の子として、巫女になることをずっと求められてきた。
(BROKEN:8_20)
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「由布、もっと素直になってもいいんだよ」
(BROKEN:8_20)
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「私は由布の友達だから、その背中を押してあげるから。
(BROKEN:8_20)
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「――――ッ!!」
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握り締めると、由布の星霊石は力を解き放ち、星屑が散っていく。
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周囲に流れ出す力は由布の存在を感じさせる。
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星屑が岩に近づく瘴気を撃ち抜き、次々と祓っていく。
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まるで由布の銃弾が撃ち込まれているかのように、
星屑が煌めき、穢れを祓ってくれる。
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「――恵」
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「恵も私の大切な友達だよ――」
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「恵は優しすぎるぐらいだよ。だから、言えないことを
(BROKEN:8_20)
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「でも、口を閉じることと優しさは違う。自分を苦しめるのが、
(BROKEN:8_20)
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「だから、もっと色んなことを話そう。
(BROKEN:8_20)
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「一緒に、一つずつ話していこう。
(BROKEN:8_20)
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「――――ッ!!」
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恵の星霊石を解き放つと、さらに星屑が散っていく。
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周囲に流れ出す力は恵の存在を感じさせる。
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星屑が岩を取り巻くように煌めき、瘴気を遠ざけていく。
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きっと恵の優しさが私達を守ろうとしてくれている。
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「――遠山先輩」
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「いっぱい迷惑をかけてしまいましたね、ごめんなさい」
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「私は……先輩が被っている仮面を知ってます。
(BROKEN:8_20)
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「先輩が御花会をまとめる立派な人でいてくれるから、
(BROKEN:8_20)
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「先輩、そんな自分を嫌わないでいて下さい。
(BROKEN:8_20)
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「それに、そんな先輩のことが由布は大好きなんですよ。
(BROKEN:8_20)
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「――――ッ!!」
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遠山先輩の星霊石を解き放つと、さらに星屑が散っていく。
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周囲に流れ出す力は遠山先輩の存在を感じさせる。
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星屑が煌めき、瘴気を吸い込み、砕け散っていく。
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きっと遠山先輩がこんな時でも私達を庇ってくれている。
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「――三輪さん」
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「私、最初に聞いたよね?(BROKEN:8_20)
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「……それがちょっと分かった気がするんだ。
(BROKEN:8_20)
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「それを誰にも打ち明けられないから、自分を守るために
(BROKEN:8_20)
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「私ね、打たれ強いからさ、<RB='かたくな'>頑<RB>なにされちゃうと、
(BROKEN:8_20)
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「取って食べられたくなかったら、今度一緒に話をしよう。
(BROKEN:8_20)
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「――――ッ!!」
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三輪さんの星霊石を解き放つと、さらに星屑が散っていく。
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周囲に流れ出す力は三輪さんの存在を感じさせる。
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星屑が煌めき、門に向かうための道を切り開いてくれる。
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どこか渋々やってくれているのが三輪さんらしくて、
少しだけ可笑しく思えてしまう。
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「――中村さん」
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「やっと分かり合えたね。私達ってホントはそっくりなのにさ。
(BROKEN:8_20)
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「でも、真実を前にして、お互いを知ることが出来た」
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「私より真面目で、真っ直ぐな人だから……
(BROKEN:8_20)
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「これからが中村さんにとってのスタートラインになると思う。
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「色んなことを話して、私達と一緒に歩んでいこう。
(BROKEN:8_20)
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「――――ッ!!」
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中村さんの星霊石を解き放つと、さらに星屑が散っていく。
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周囲に流れ出す力は中村さんの存在を感じさせる。
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星屑が蒼い炎を舞い上げ、不気味に蠢く門を焼き払っていく。
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真っ直ぐな中村さんの力が一番槍として門を押し込んでくれる。
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「――八弥子さん」
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「いつも私達を見守ってくれてありがとうございます」
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「その身体に流れてる血は、今も八弥子さんの中で
(BROKEN:8_20)
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「でも、八弥子さんはもう気付いているんですよね。
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「もう強がって戦う必要なんてどこにも無いんですよ。
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「これからも一緒に。もちろん、ガジも一緒に。
(BROKEN:8_20)
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「――――ッ!!」
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八弥子さんの星霊石を解き放つと、さらに星屑が散っていく。
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周囲に流れ出す力は八弥子さんの存在を感じさせる。
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星屑が煌めき、門を動かす突風と化していく。
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いつも助けに来てくれる八弥子さんが門を押し進める。
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「――末来さん」
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「本当はお母さんって呼ぶべきなんですよね。
(BROKEN:8_20)
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「末来さんはお母さんとの約束通り、私を導いてくれました。
(BROKEN:8_20)
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「その温かい気持ち、全部私の胸に届いています」
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「末来さん……ううん、今はお母さんって呼びます。
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「だから、言わせて下さい。私を生んでくれてありがとう。
(BROKEN:8_20)
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「――――ッ!!」
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末来さんの星霊石を解き放つと、星屑が舞い上がっていく。
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「――そっか、鼎にはもう全部分かっているんだね」
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末来さんの声が溢れ出す光と共に響いた。
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「鼎、もうボクの魂は人の形を作ることが出来ない。
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「でも、ボクは嬉しく思う。一人の母として、
(BROKEN:8_20)
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「ボクは未来と一緒に封印の礎となる――
(BROKEN:8_20)
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「――鼎、お母さんと呼んでくれて嬉しかったよ」
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「大好きな鼎、大切なボクの娘……
(BROKEN:8_20)
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周囲に流れ出す力は末来さんの存在を感じさせる。
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「……うん、私は振り返らない。前だけ見て進むよ」
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「だから、最後まで見てて」
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星屑が煌めき、末来さんの温かい光が門を包み込んでいく。
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そこで待っているお母さんと一緒に最後の光を見せてくれる。
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そして――。
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「――鼎、終わりにしよう」
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「この先にある<RB='みらい'>未来<RB>を奈岐に見せて欲しい」
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奈岐が投げた星霊石を私はしっかりと受け止める。
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「――奈岐」
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「私は奈岐を独りにしないと約束を交わした。
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「でも、後悔なんてない。私は奈岐を愛しているから。
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「今は奈岐が踏み出すことが出来なくても、私は待つよ。
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「私は奈岐を独りになんてさせないから。ずっと側にいるから。
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「そのために――私が終わらせてみせるから」
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「――――ッ!!」
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奈岐の星霊石を解き放つと、星屑が私の身を包んでいく。
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私に流れ込んでくる力は奈岐の存在を感じさせる。
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星屑が煌めき、私に一対としての魂を振るわせてくれた。
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共鳴する魂が一つになり、奇跡を起こせるだけの力が宿る。
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「お母さん――これで最後だよ」
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「このお守りの力、全部使い切るから。
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「この勾玉はお母さんが残した魂だったんだよね。
(BROKEN:8_20)
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「ずっと感じてたよ。お母さんの温かさ、熱い気持ち――。
(BROKEN:8_20)
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「お母さんの意志と私の意志、それが重なってる今、
(BROKEN:8_20)
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「――私、やり遂げて見せるから。だから、見てて」
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「燃えろ――ッ!!」
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勾玉から炎が溢れ出し、私にお母さんと同じ力を与えてくれる。
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流れる炎の力を集束させ、最後に片手を突き上げた。
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繋いできた絆の力が一つになり、私の手に宿っていく。
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織戸伏島で続いた連鎖を終わらせることが出来るだけの力。
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これで一つの歴史が終わる。
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でも、そこで終わりなんかじゃない。
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一度流れた涙や血を救うことは出来ないけど、
繰り返させないことは出来る。
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これが終わりで、これが始まりになる。
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「これが私達の想いの全て、絆の力だっ!!」
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両手に握った剣を岩に突き立て、集まった力の全てを流し込む。
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紅(BROKEN:8_20)
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紅に染まった世界に押し込まれ、僅かに開いた門が動き出す。
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ゴゴッと地鳴りを響かせ、門が閉じていく。
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生と死を分かつ境界が封印の力によって閉じられる。
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穢れは浄化され、現世の光が溢れ出す
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動きを止めていた穢れも光の粒へ変わり、
囚われていた魂は全て門の向こうに消えていく。
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肌を突き刺すような空気は温かなものへと変わる。
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私を包んでいた熱も勾玉へ戻り、そこに宿っていた力も――
お母さんの魂も光の中へ溶けていく。
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足が動き、私はその光を追いかける。
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届かない光に手を伸ばして、それでも届かなくて、
だから、私は飛びつくようにして光の中へ飛び込んだ。
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seisai_no_resonance/sce08_04_27_1.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)