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seisai_no_resonance:sce08_04_22_2
繰り出す氷の刃が次々と砕かれていく。
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あれだけ星霊石の力を使っても、戦いは互角――。
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いや、違う。奈岐の身体に限界が来ている。
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「ぐっ……!」
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棘を受け止め切れずに短刀が砕け散った。
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そのまま薙ぎ払われ、土埃あげて奈岐の身体が地面を転がる。
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「奈岐っ!?」
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「だから、言ったじゃないか。星霊石の意味に気付いていない
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嘲る理事長がやれやれと肩をすくめていた。
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「どういうことですか……?」
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「星霊石はね、その門から削りだして作るんだよね。
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「簡単に言っちゃうとさ、穢れと巫女の力って同じなんだよ。
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「穢れを祓ってもいなくならないのは、そのせいだし……
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瘴気を吐き出している門へ視線を向ける。
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「死者が生者を門へ引き寄せている――
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「祓った穢れの魂は……まさか、また門に……?」
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「そそ、この門に還ってきて、また穢れとなる。死んだ巫女は
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「その悲しみや怒りや恨みが、門の封印を保つ力になる。
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話を聞けば聞くほど、自身の呼吸が乱れていく。
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巫女の嘆きや苦しみによって、この門は守られている。
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それは終わることのない地獄でしかない。
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穢れとなり、声にならない声をあげ、祓われ、痛み苦しみ、
そしてまた新たな穢れとして、門によって生成される。
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死んでなお、巫女達は殺され続けていた。
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次の贄となる巫女達の手によって、命を絶たれ続ける。
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その苦しみが門を封印する力となり、今日まで保たれてきた。
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「……奈岐が勝てないのは、どれだけあの白い穢れを傷つけても、
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「そそ。でも、それを終わらせる方(BROKEN:8_20)
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理事長が笑みを浮かべたまま、私へ振り返る。
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「キミが門を支える礎になればいい。完全な封印を行うんだ」
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「片倉末来というモノと、その<RB='わけみたま'>分御魂<RB>でもあるキミが贄となれば、
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「それは見鬼の業で見れば分かることなんだ。門を鎮める魂に
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「力を持った巫女、複数の星霊石を扱える稀代の巫女……
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理事長の言葉に息を呑む。
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瘴気を吸い込みすぎたわけではなく、
自分の意志が揺らぎ始めていた。
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私の決断だけで、数え切れないほどの巫女の魂が救われる。
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それが目の前にあるんだ。
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「……でも」
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「でも、私は約束したんだ。生きて帰るって奈岐と約束した」
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「それがどれほどのエゴか分かっているかい?」
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「分かってる。数え切れないほどの苦しみの上に、私がいて、
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手の中にあった勾玉を中空へ解き放つ。
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「それがどれだけ自分勝手なことであったとしても、
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「死者の声に引かれたりはしない。最後に選ぶのは、
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手の平に浮かんだ勾玉が火の粉を散らし始める。
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「キミは本当に姉さんとそっくりだ。でも、この状況を覆すことが
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「なら、聞きます――」
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「その岩にどうして勾玉を使ったんですか?」
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予想通り、理事長の視線が険しくなった。
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手前の岩に秘書が勾玉を押し当て、
それから理事長は『鬼退治』と言った。
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「まだ話していないことがありますよね」
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「そうだね……じゃあ、当ててごらん?」
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あの岩が門に通じていて、その門から穢れに力が流れ込む。
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そうであるならば、手前の岩に勾玉を使う理由は一つしかない。
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「お母さんの……穢れの力を、その勾玉で増幅させている」
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「正解だ。でも、もう遅い」
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理事長の視線が穢れの方へ向かう。
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「ぐうぅっ……!」
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息切れした奈岐が穢れの棘に追い詰められる。
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地面を転がった彼女に無数の刃が降り注ぐ。
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「ああああああぁああぁ――ッ!!」
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回避しきれない棘が奈岐の身体を抉り、鮮血が零れ落ちていく。
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獲物を逃すまいと、次の刃が足首を切り裂いた。
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「――――――ッ!!!」
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声にならない悲鳴があがり、奈岐の身体が痛みに仰け反る。
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あっという間に舞台が真っ赤な血で染まっていく。
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激痛に痙攣を起こしたように震えながらも、
奈岐はまだ動く両手を振り上げる。
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「はぁっ、はぁっ……まだ……まだだっ!!(BROKEN:8_20)
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紡ぎ出される奈岐の氷が穢れに突き刺さり、
次の攻撃を止めていく。
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「奈岐っ……!」
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もう時間が無かった。
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これが確実な方(BROKEN:8_20)
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でも、やらなければ、ここで終わってしまう。
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「……お母さん」
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「鼎……これはね、お守りだよ」
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「困った時、どうしようも無いって時、
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「だから、どんな時も最後まで諦めちゃいけない。
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「そう、自分のことを決めていいのは自分だけだよ。
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「本当に鼎が諦めたくないなら、お守りを手にして、
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「お守りが鼎の魂に応えてくれるまで祈るんだ――いいね?」
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「お守りに祈る……!」
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溢れ出す炎は、私とお母さんの魂――。
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「どんな時も最後まで諦めちゃいけない。
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「最後に選ぶのは自分の意志だって教えてくれた」
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「今は……その言葉を私がお母さんに伝えるよ」
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「お母さん、それから……末来さん」
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「どんな時でも、最後まで諦めないで」
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「諦めることを選ぶのも、諦めないことを選ぶのも、
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「二人が貫こうとした意志を見せて――お願い」
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「お母さんっ!!(BROKEN:8_20)
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二人に呼びかけ、燃え盛る勾玉を突き上げる。
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「いけないっ!(BROKEN:8_20)
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「なっ!?」
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岩に押し当てた勾玉から光がほとばしり、秘書を吹き飛ばす。
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同時に勾玉が激しい炎に包まれ、熱に焼かれ砕け散っていく。
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「姉さん……片倉末来……そんな……
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火の粉を払い、生み出された剣を両手で握り締める。
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感じた光と炎は、お母さんと末来さんのものだった。
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やっぱり二人はこんな終わり方を望んじゃいないんだ。
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「お母さん、その姿がお母さんの意志じゃないのは分かってる。
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門と勾玉による供給が絶たれた今、自分の力を信じれば、
勝(BROKEN:8_20)
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剣の切っ先を白い穢れ――お母さんに向けた。
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「っ……かな、え…………」
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傷だらけになりながらも、奈岐が私の名前を呼んでくれる。
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「大丈夫だよ、奈岐。私は自分を信じる。
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お母さんが私の力に反応して、無数の棘を向かわせてきた。
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「お母さん、末来さん、見てて――これがあなた達の娘だよ」
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私は床を蹴って、白い穢れへ突き進んでいく。
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全ての力を炎に変え、穢れと化したお母さんを祓う――!
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seisai_no_resonance/sce08_04_22_2.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)