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seisai_no_resonance:sce08_04_20_2
吹き荒れる冷気が周囲の穢れを遠ざけていく。
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肌を切るかと思うほどの氷塊が渦を巻き、
その中心で奈岐が力の集束を続ける。
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そして、舞台に張り巡らせた氷が弾けると、
細氷が眩く煌めいた。
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奈岐を覆っていた外套が消し飛び、
氷の塵となって大気中に舞い上がっていく。
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方向性を持った全ての冷気が奈岐へ集束し、
今まで誰も成し得なかった巫女の力を授ける。
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鬼子が鬼子の力を使うための星霊石――。
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それは人という肉体の枠を外れた力になる。
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でも、奈岐は選択した。
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必ず生き残り、共に帰ることを私と約束した。
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だから、私は彼女との約束を信じる。
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眩い光にともない、冷気が奈岐を中心に駆け抜けた。
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無数に氷の短刀を浮かび上がらせ、限界まで力を解放していく。
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そんな彼女の表情は険しく、歯を食いしばり、
身体に大きな負荷がかかっていることが見て取れる。
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「――鼎、こんな時だからこそ、神狼の話をしよう」
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「神狼は贄となる娘を助けたいという願いを聞き届け、
(BROKEN:8_20)
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「贄となる娘を助ける……この状況、よく似ていないか?」
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さらに力を展開させながら奈岐が不敵に笑った。
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確かに……私は贄となる娘だし、
お母さん達は私が贄となる解決策を望んでいない。
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既に時刻は神狼が戦ったと伝えられる夜だろう。
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そして、これから挑むべき相手は神に近いものだ。
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「そうだね……似てるかもしれない」
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真っ白な狼――織戸伏だけに生まれる鬼子と呼ばれる者。
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伝承そのままに出来事は進んでいる。
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でも――。
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「だけど、奈岐は独りじゃない。私が一緒にいる」
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「だから、絶対に……伝承と同じ結末にはさせない」
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伝承で神狼はたった一匹で戦い、最期を遂げる。
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そんなことは私が許さない。
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一緒に帰る約束を必ず果たしてみせる。
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「……そうだな。私は生きる」
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「そう約束した」
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奈岐が両手に短刀を取り、門へ向かって跳躍した。
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道を阻む穢れを切り裂き、さらに奈岐が加速していく。
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そして、無数の短刀が彼女の側を追従し、
周辺の敵を切り刻みながら進む。
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並行処理を行えるようになったことで、左右に浮かぶ短刀はまるでそれぞれが意志を持っているかのように動き回っていた。
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奈岐は一人でも、自在に動く短刀の数だけ戦える。
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だから立ち止まることなく、門へ続く道を真っ直ぐに目指す。
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「この手で切り開いてみせる――明日を!!」
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立ち塞がる穢れ達に、奈岐が両手の短刀を構えながら突き進む。
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seisai_no_resonance/sce08_04_20_2.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)