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seisai_no_resonance:sce08_04_17_4
穢れ達の包囲を突破すると、祠の奥が見え始める。
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「あれは……門……?」
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目に映ったのは巨大な石の門だった。
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僅かな隙間から黒い瘴気が溢れ出し、
周囲にある光る鉱石がくすんでいる。
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その門を見上げるようにして、理事長と秘書の人が佇んでいた。
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「高遠っ!(BROKEN:8_20)
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「こ、これって……」
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「――ッ!?(BROKEN:8_20)
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奈岐が声を荒げた次の瞬間、
足下から突き上げられる衝撃が走った。
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「この地震……あの時と同じっ!?」
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封印がほころんだ時に、この現象が起きるということは……。
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激しく上下に視界が揺れる中、私は再び門へ顔を向ける。
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門が開き始めている……!?
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学園長の言葉、理事長の言葉、奈岐の言葉が通りならば――。
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あの門が通じているのは、この世なんかじゃない。
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黄泉の世界、<RB='とこよ'>常世<RB>の国だ。
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魂の在り方と密接に繋がる場所――
でも、そんな場所が<RB='うつしよ'>現世<RB>と通じてしまえば、どうなるか。
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素人考えでも分かる。
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生と死の境界が曖昧になって、現世に死者の魂が溢れ出す。
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特にこの場所は贄として、命を絶たれた巫女達の絶望が形を成し、
それが――。
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「オオオオオオオオォォォォ――ッ!!」
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耳をつんざくような絶叫が響き、無数の穢れが溢れ出す。
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瘴気が集束し、形を成し、穢れという存在を生み出していく。
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「穢れの数が!(BROKEN:8_20)
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「儀式が封じていたもの、それがこんなものだというのかっ」
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急速に増える穢れに、中村さんと遠山先輩が押され始めた。
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「くっ……」
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先を行く私の視界にも無数の穢れが飛び込んでくる。
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門に辿り着くどころか、このまま圧殺されてしまう。
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「辿り着く必要なんてないさ」
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「なっ!?」
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理事長の声が響いた途端、何故か周囲の穢れ達が静止する。
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巨大な石像のように無数の穢れ達が動きを止めていた。
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ただ流れ込んでくる瘴気は止まらず、視界を僅かに霞ませる。
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「僕の目的は果たされ、ようやく封印は解かれた――
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穢れ達の間から、理事長とその秘書が姿を見せる。
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「お母さんを……?」
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「姉さんはね、一度あの封印を見て、礎となっているモノに
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「封印の礎、それが片倉末来というモノだ」
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理事長が末来さんの星霊石を私の足下へ投げ捨てる。
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「…………」
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「彼女は数百年以上も昔に礎となり、封印されていたんだよ。
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「だけど、その魂は自分が人であった頃の姿形も、
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「だから、目の前に現れた者の姿を真似し、形作った。
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「末来……さん?」
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地面に転がった末来さんの星霊石に輝きは無い。
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もうこの世に末来さんはいない、と語りかけられるようで、
思わず目を逸らしてしまう。
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「……一度解かれた封印に対し、贄を捧げ続けることだけでは、
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「その<RB='かこん'>禍根<RB>を断つ為、僕達は完全な封印を行おうとした。
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「だから、今度は僕が姉さんを解放してあげたわけだよ」
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そう言った理事長の唇が不気味な三日月型に歪む。
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「そして片倉末来と……姉さんと片倉末来の間に生まれた忌み子、
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「…………」
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薄々勘付いていたけど、
やっぱり私はお母さんと末来さんの……。
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どうやって私を作ったのかは分からないけれど、
その事実として、私はここにいる。
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「それが……あなたの目的だったんですか?」
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「そうだね。悲劇を繰り返したくないという意味においては、
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「ただキミの犠牲が必要とは、告げていなかったけどね」
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そう言った理事長が私に向けて片手を差し出す。
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「さあ――片倉末来はもう礎となった。
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「ほら、救ってみせてよ?(BROKEN:8_20)
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「…………」
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あと私一人の犠牲だけで、みんなが救われる?
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この場にいるみんなだけじゃなくて、この島に住む人達も?
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途端に身体の力が抜けていく。
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握り締めていたはずの剣が元の勾玉へ姿を変える。
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「僕は片倉末来とキミが憎かった。姉さんという存在を奪い、
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「でも、この時のために用意されていたと思えば……
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理事長が数歩だけ横に歩むと、その奥に門が見えた。
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そして、その門の前に佇むモノに私は目を疑う。
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瘴気の中、浮かび上がる白い彫像のような物体――。
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鎧のようなものを纏い、四方へ金属の長物を伸ばす。
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その中心に、はっきりと見覚えのある顔があった。
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「お母さん……?」
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見間違うはずもないお母さんの顔がそこにある。
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「今は門の瘴気に取り込まれ、穢れた姿になってしまった。
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「穢れは全て門の中へ封じられるわけだからね」
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理事長がお母さんへ視線を向けながらそう語った。
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「さて、高遠鼎……姉さんを、キミの母親を助ける時だ」
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「…………」
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「キミがその信念に誓った通り、キミの意志で、この島の因習を
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勾玉を手にしたまま、私の足先がお母さんへ向く。
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これで終わりになって、それで救われるというなら――。
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「わわっ!?」
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その時、パンッと耳元で手が(BROKEN:8_20)
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「――茶番は終わりか?(BROKEN:8_20)
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「えっ?(BROKEN:8_20)
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「この瘴気は判断を鈍らせる成分が含まれているらしい。
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「気付かぬ内に催眠状態に陥る。ただし、浅い催眠なら、
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だから私の耳元で手を(BROKEN:8_20)
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周りを見ると、遠山先輩も八弥子さんも中村さんも、
星霊石に力を戻し、焦点の合わない瞳を彷徨わせていた。
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「そうして、自身は瘴気を吸わないようにしながら、
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「やっぱり、杞憂に終わってくれなかったか……。
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奈岐がゆっくりと歩き出しながら、
みんなの耳元で手を(BROKEN:8_20)
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「……っ!?(BROKEN:8_20)
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「えっ……?」
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「わっ、ナギっち……?(BROKEN:8_20)
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奈岐はそれぞれの目を覚ますと、歩む足を止める。
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「おはよう、諸君。次は瘴気を吸い込むなよ」
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「これで交渉は決裂した。だが、お前は『やっぱり』と言った。
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「多勢に無勢、意味は分かるよね?(BROKEN:8_20)
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「穢れは巫女の魂を狙う。その駒を動かし、鼎を取るか」
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「さて、僕の予測通りだ。そろそろ霊石の効果も切れる。
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「チェックの宣言を出さなかったな。つまり、まだ勝ちを見込んで
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「だけど、それを取れば――チェック宣言だ」
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笑みを浮かべた理事長に秘書が耳打ちをする。
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「さ、時間だ。始めようか」
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理事長と秘書が門へ向かって駆け出していく。
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同時に周囲の穢れ達が硬直を解かれ、活動を再開する。
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「――鼎、お前に力があることが証明された。
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「奈岐……」
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奈岐はマントの中心に手を添え、星霊石に触れる。
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冷気が溢れ出し、舞台を凍てつかせていく。
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「最後の道は私が切り開く――」
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奈岐に頷き、私はみんなに振り返る。
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seisai_no_resonance/sce08_04_17_4.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)