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seisai_no_resonance:sce08_04_01_0
辿り着いた先は、神社に近い池だった。
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奈岐は水辺に近づくと、ぱしゃぱしゃと顔を洗う。
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「……鼎、織戸伏の地が魂に拘りを持つ理由が分かった」
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「理事長から聞いたの?」
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ハンカチで顔を(BROKEN:8_20)
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「それは<RB='まがごと'>禍言<RB>として言葉にすることは禁じられている。
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「ただ魂の存在と直結する場所が、この織戸伏にはある。
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「……穢れとは上手く言ったものだ」
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意味深に笑った奈岐が水辺に視線を向けた。
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「清めの塩の由来を覚えているか?(BROKEN:8_20)
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「古事記の話だっけ……?」
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「ああ、イザナギが黄泉の国から戻った時の話だ。
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「えっと……?(BROKEN:8_20)
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「鼎、明確に禍言を発するな。穢れが言霊に引き寄せられる」
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「…………」
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息を呑み、頭の中で奈岐の言葉を整理する。
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魂の存在と直結する場所が、この織戸伏にはあり――
その後、奈岐は黄泉について言及した。
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黄泉って……魂の力が密接に関わってくるのは分かるけれど、
本当にそんな場所がここに?
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いや……そんな場所が織戸伏にあるからこそ、
ずっと悲惨な因習が繰り返されているんだ。
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「それは……あの祠から繋がっているの?」
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「そうらしいな。だから、封じている」
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「でも……どうして織戸伏にそんな場所が?」
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歴史のある島かもしれないけれど、何も知らない私から見れば、
ただの南の島だった。少なくとも、ここに来るまでは。
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「織戸伏に伝わる伝承を知っているか?(BROKEN:8_20)
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「うん、それは聞いたことがある」
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「その火の玉というのは、おそらく隕石か何かの類だ。
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「島を焼いた火の玉を鎮めるための封印かぁ……
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「でも、その封印は完全じゃなくて……毎年、贄が必要になる」
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私の言葉に奈岐が深く頷いた。
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「ああ、それを終わりにさせるには、今まで以上の力が必要だ。
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「霊石を扱う諏訪家に鬼子が生まれ、巫女候補にも鬼子がいる。
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「間引きされる男の鬼子が生き残り、諏訪家にいること自体が
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その方(BROKEN:8_20)
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成功すれば、どんな巫女よりも強い力を発揮出来ると思う。
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でも、奈岐は……。
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「奈岐、独りにしないって約束……覚えてるよね?」
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「――ああ、<RB='・・・・・'>鼎は奈岐を<RB>独りにしない」
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「…………」
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思わず言葉を失ってしまう。
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私は奈岐を独りにしない。
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そう、私は奈岐を独りにしないだけで、
その逆は……約束されていない?
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奈岐は私を独りにしてもいいの?
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この約束は、こうなった時のことも考えていた?
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「鼎は奈岐にとっての唯一だ。死なせはしない。
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「待って、そこに奈岐がいないと意味なんてないよ」
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「私が奈岐を独りにしてしまう。約束が守れない」
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「奈岐はもう独りじゃない。だから、大丈夫だ」
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奈岐が微笑むのに対して、
私の唇は得体の知れない恐怖に震えていた。
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「そんなの……約束を守れてないよ……屁理屈だよ」
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「そうかもしれないな……」
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そう呟いた奈岐は、水面に視線を逸らしてしまう。
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「奈岐、私は奈岐を独りにしないから。約束したから」
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手の甲で僅かに濡れた目尻を(BROKEN:8_20)
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「…………」
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だけど、奈岐は何も答えずに目を伏せていた。
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その後、私達は言葉を交わすことなく、無言の時間を過ごす。
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どちらともなく、神社への帰路を歩み出した頃には、
陽がもう頭の上まで昇りきっていた。
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seisai_no_resonance/sce08_04_01_0.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)