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seisai_no_resonance:sce08_03_11_1
誰かが呼ぶ声が聞こえる。
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優しく肩を揺すられると、意識がゆっくり持ち上がっていった。
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「…………あれ、私?」
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岩に勾玉を押しつけたまま、私は意識を失ってた……?
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隣にいるヤヤがそんな私を支えるようにして、
抱きとめてくれていた。
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「カナ、気がついた?」
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「ヤヤ……?」
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「ほら、見て、ちゃんと門は閉じたよ。
(BROKEN:8_20)
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見上げると、門はしっかり閉じられていた。
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これがお母さんと末来さんの望んだ結果――。
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終わった。
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途端に身体から力が抜け、頬に涙が伝っていた。
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緊張から解放された……?
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違う、いっぱい泣くようにとお母さんに言われたから。
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「ヤヤ、しばらく泣いててもいい?」
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抱きとめてくれているヤヤに身を預けたまま、
その肩に顔を埋めた。
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「うん、いいよー。ぎゅーっとしててあげる」
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「ありがと……」
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ヤヤが私の頭を抱いてくれると、自然と嗚咽が漏れ出す。
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気付くと大声をあげて泣いていた。
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戦いが終わり、落ち着いていたみんなも私の様子に驚いて、
まばたきを繰り返す。
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遠山先輩が気遣ってくれたのか、私とヤヤだけを残し、
舞台の方へみんなを誘導していった。
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そんなところへ学園長と葉子先生の二人が姿を見せ、
巫女候補達と無事に落ち合う。
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ただその中に理事長達と奈岐の姿だけが無かった。
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「――おっと、まさか先回りされるなんてね。これは驚いた」
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「どこへ行くつもりだ、と言いたいところだが……
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「そうさせてもらうさ、それでキミは何を聞きたい?」
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「……高遠未来の件、お前は満足なのか?」
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「満足だよ、言葉を一つでも交わせた」
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「あれは間違いなく姉さんの声だった……満足だ」
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「そうか。鼎にその事を言わなくていいのか?」
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「必要無い情報さ。何なら、キミが教えてやればいい」
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「必要の無い情報だな――
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「協力感謝する!(BROKEN:8_20)
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「うるさい、さっさと行け」
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「あっはははっ!(BROKEN:8_20)
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「フッ……頼継様がお望みであれば、この安部昌次郎、
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「まったく……騒々しい奴らだ」
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「カナ、そのままでいいから聞いてね」
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「ヤヤ……?」
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腕の中で私はヤヤの名前を呼ぶ。
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「ヤヤね、初めて自分のことが怖くなかった。
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「カナが背中を押してくれたからだよ」
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ヤヤの優しい声に私は頭を振るう。
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「ううん……最後の最後で踏み出すのは自分の意志だよ」
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「私が背中を押したとしても、踏み出せたのは
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「カナ……」
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「だから、胸を張って――胸」
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「カナカナ、何でそこで止まるの」
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「だって、こうしてると……
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私の言葉を聞いたヤヤが声を上げて笑い出す。
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「あははっ、今日は特別だー!(BROKEN:8_20)
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「ヤヤにぎゅってしてもらいながら、いただきますっ」
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ヤヤに抱きつきながら、今という幸せを噛み締めていく。
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何もかもがお母さん達の計算通りだったのかもしれないけど、
その御陰で……私もヤヤ達も救われた。
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それだけじゃない。
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この織戸伏に続いていた因習が終わったんだ。
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もう巫女という贄の存在は必要無くなった。
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これから……島も、私達も在り方を変えていくだろう。
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ヤヤと抱き合いながら、
最後の巫女となったお母さんと末来さんに私は約束をする。
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お母さん、末来さん――
私、ちゃんと幸せになるからね。
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seisai_no_resonance/sce08_03_11_1.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)