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seisai_no_resonance:sce08_03_10_1
白い穢れがヤヤの鉄球を受け、大きく揺らぐ。
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それでもすぐに体勢を立て直し、
金属の棘を左右から展開させていく。
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どれだけの攻撃を受けても怯まない。
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お母さんらしいけど、よくないところで性格が出ている。
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「はぁっ、はぁっ……さすがに強いね」
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「――それならっ!」
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片手で拳を作り、ヤヤが額の汗を(BROKEN:8_20)
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「ヤヤの意志で……この血の、この力を使ってみせるよ!」
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瘴気すら舞い上げながら、ヤヤの力が急激に膨らんでいく。
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ヤヤの意志で血の力を引き出していた。
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そして、禍々しさすら感じる嵐がヤヤを取り巻く。
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切り裂くような風を受け、ヤヤの武器が縦横無尽に振り回される。
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「この血が抑え込めないなら、好きなだけ暴れさせるっ!」
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「それがヤヤの意志で――ヤヤの守りたいものの為ならっ!」
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ガンッ――と金属音を立て、鉄球が穢れの身体に打ち込まれると、
その勢いのまま、背後の扉に(BROKEN:8_20)
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すぐに鉄球が引き戻され、再び風の勢いを受けていく。
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「もっと!(BROKEN:8_20)
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幾度も大きく円を描きながら、
ヤヤの鉄球が穢れに打ち込まれていく。
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攻撃を受け続けた穢れがまるで溶けるようにして、
扉の岩肌に還っていった。
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倒した……?
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でも、まだ穢れの気配は消えていない?
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「やった……?」
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「充分だよ、八弥子、鼎――ここからはボクの役目だ」
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星霊石を輝かせながら、末来さんが扉へ向かっていく。
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胸元の星霊石を煌めかせ、眩い光が溢れ出す。
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光が周囲の瘴気を祓い、末来さんの姿を変えていく。
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「未来、待たせたね。これで封印を完成させられる」
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眩い巫女服を纏った末来さんが告げ、手に宿った剣を捨てる。
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そして、その手で扉の表面に触れた。
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すると、末来さんの周りを取り囲むように瘴気が溢れ出す。
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「末来さんっ!?」
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「来ちゃダメだ、鼎っ!(BROKEN:8_20)
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「そう、最後にキミが仕上げをするんだ」
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末来さんに向けた私の腕を、理事長の白い手が掴んでいた。
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そして、私の勾玉を注連縄の巻かれた近くの岩へ向ける。
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最後の――仕上げ。
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「頼継……ここまでしてくれて礼を言うよ」
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「それが……望みなんだろう?」
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理事長が目を伏せながら呟き、私の背を(BROKEN:8_20)
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「高遠鼎、勾玉の力をあの岩にぶつけるんだ」
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理事長に頷き、私は岩に勾玉を近づける。
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「お母さん……末来さん……その願い、叶えるからね」
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これが最後の仕上げ。
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お母さんと末来さんを一対として――封印を完全なものとする。
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そのために残されたのは、私という力。
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勾玉を岩に押し当てると、私は全ての熱を解き放っていく。
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瘴気すら焼き払う激しい炎が門を覆う。
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「ありがとう、鼎」
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「未来、ボク達の望みを――」
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そして、末来さんが門の中へ溶けるようにして消え――。
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炎が弾け、門がゆっくりと閉ざされていく。
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これが封印。
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周囲を取り巻いていた穢れ達が一斉に崩れ落ち、
眩い光を放っていく。
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その光に目が眩み、私は反射的に目を閉じた。
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そして、溢れかえる光に全身が呑み込まれていく。
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身体の感覚が無くなっていた。
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最初は死んでしまったのかと思った。
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でも、こうして考えることが出来ている。
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じゃあ、まだ生きている?
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その時、瞼の裏に眩い光を感じた。
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どこか懐かしく、温かい光に私は無意識に手を伸ばす。
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「……おかあ、さん……?」
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「――よく頑張ったね、鼎」
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目を開くと、そこは見たことも無いような空間だった。
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色とりどりの光が煌めきながら流れていく。
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「……お母さん?」
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手を伸ばした先には、求め続けたお母さんの姿がある。
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ただ、身体の感覚が曖昧で、どうしてもそこまで届かない。
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「久しぶり――なんて言ったら、怒られるかな?」
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「それは……怒るよ」
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「あはは、大きくなって、立派に育ってくれたね」
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「まるで自分の若い頃を見ているようだよ」
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「……私はお母さんほどズルしてない」
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「最後の最後で、こんなことするなんて」
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拗ねたように言いながら、何とか身体を動かそうとする。
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でも、僅かに指先が動いただけで、お母さんに届かない。
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「それは末来の奴が悪い。もうちょっと空気を読めないとなぁ」
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「人のせいにしないの」
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「あっはははっ、鼎に怒られた」
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「そっか、そか、娘に怒られるぐらい時間が経ったんだねえ」
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「七年だよ、七年ぶりなんだよ、お母さん」
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指先の感覚がよく分からず、やっぱり手が動かない。
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私は痺れを切らして、お母さんに声をかける。
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「お母さん……そっちに行きたい」
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「鼎、今は魂が触れ合っている奇跡みたいな状態なんだ」
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「だから、言葉を伝えられるだけでも感謝してるんだよ」
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「お母さん、私は……そっちに……行きたいっ!」
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声が震え、堪えても涙がこみ上げてくる。
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「鼎は……お母さんの望みを叶えくれたね」
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「お母さん……っ!」
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微笑むお母さんの姿が所々薄くなっていることに気付く。
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それが光の波にさらわれそうに思えて、
私は何度も手を伸ばそうとする。
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「鼎には……いいお母さんじゃなかったかもね。
(BROKEN:8_20)
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「ありがとう、鼎」
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「お母さん……」
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ただをこねるような私にお母さんは微笑むだけだった。
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「もう時間かな。末来の分までお別れしたかったんだけどなぁ」
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「…………」
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「鼎、お母さんがいなくなったら、我慢せずに泣くんだよ」
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「鼎には頼りになるお姉さんがいるだろう?」
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「……うん、分かってる」
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お母さんの瞳に私が映り込む。
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その優しげな眼差しが瞼に覆われると、
最後にお母さんが微笑んだ。
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「――ばいばい、鼎」
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「さよなら、お母さん」
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光の波が押し寄せ、視界が眩く弾け飛ぶ。
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同時にお母さんを紡いでいた像が、無数の光に流されていく。
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そして、眩い世界が閉じていった。
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seisai_no_resonance/sce08_03_10_1.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)