User Tools

Site Tools


seisai_no_resonance:sce08_03_05_1
夜の社は真っ暗だからか、月明かりが際立っていた。
>

浅い眠りから覚め、私は目を擦る。
>

「ヤヤ……?(BROKEN:8_20)
>

隣で一緒に休んでいたヤヤの姿が無かった。
>

社内で視線を左右させると、僅かに開いた外の扉から、
月明かりが漏れていた。
>

ヤヤは外にいるのだろうか?
>

何となく足音を立てないようにしながら、私は社を出た。
>

外も暗く、当然のように灯り一つ無い。
>

理事長や末来さんは外にいると思っていたけど、
どこかに行っているのか、三人の姿も無かった。
>

一人でいることに不安を覚えながら、
ヤヤの姿を求め、私は鳥居の下をくぐって歩いて行く。
>

そして、階段の近くまで来ると、
見慣れたヤヤの背中が目に映った。
>

そのすぐ側には銀色の長い髪が横たわっていて――。
>

「奈岐……」
>

「カナカナ、そーっとね。ナギっち、寝ちゃってるから」
>

静かな寝息を立てながら奈岐はヤヤの膝を枕にしていた。
>

相当疲れているのか、
髪をガジに遊ばれていても起きる気配すらない。
>

見たところ怪我も無く、無事に辿り着いてくれたようだ。
>

「いつ戻ってきたの?」
>

奈岐の姿に安堵しつつ、私は小声でヤヤに訊ねる。
>

「ついさっきだよ。目が覚めて、ちょっと外に出たら、
(BROKEN:8_20)
>

「で、危ないから捕獲したの」
>

クスッと笑いながらヤヤが奈岐の頭を撫でた。
>

それを真似るようにして、ガジが奈岐の髪でまた遊んでいる。
>

「んっ……ん…………」
>

再び奈岐が寝息を立て、僅かに頭を揺すった。
>

そんな奈岐からヤヤの視線が私に戻って来る。
>

「カスミ達も来てないし、ナギっち上手くやってくれたみたい」
>

「末来さんと理事長達は?(BROKEN:8_20)
>

「理事長達は周囲の警戒に行ったらしいよ。
(BROKEN:8_20)
>

この近くに池なんてあったんだ……。
>

今日は随分と走ったし、良かったら後で案内してもらおう。
>

「あとで私達も水浴びしよっか。この時間なら冷たくて
(BROKEN:8_20)
>

「ふふっ、いいねー。ナギっちに水かけて遊ぼっかー」
>

それはそれで楽しそうと思ってしまう。
>

「んんっ……んぅ……うぅ…………」
>

そんな悪巧みに気付いたのか、奈岐がうなされている。
>

私とヤヤは顔を見合わせ、クスクスッと笑った。
>

「あとナギっちが起きたらご飯も食べないと。
(BROKEN:8_20)
>

「あはは、私もだ。お昼食べ損ねちゃったからね」
>

でも、こんなところにご飯なんてあるんだろうか?
>

奈岐はここに隠れていたみたいだし、
あとで聞けば出てくるかな?
>

そんなことを考えた後、私はヤヤと奈岐の隣に腰をかけた。
>

「ね、ヤヤ、絶対無事に帰ってこよう」
>

「どうしたの?(BROKEN:8_20)
>

「今、こうしてる瞬間、凄く幸せだなって思えたから」
>

「もっとこんな時間が続いて欲しいって思うから。
(BROKEN:8_20)
>

「ふふっ、そうだね」
>

「それに無事に帰らないと、葉子先生が怖いよー?」
>

「うっ……」
>

「あははっ」
>

葉子先生の名前にすくみあがったヤヤがおかしくて吹き出す。
>

こうしていられる時間が続ばいい。
>

続かなきゃいけないと切に思う。
>

この島でお母さんがやろうとしたことを……
私達が終わらせることが出来たなら、きっと。
>

今よりも楽しい時間が待ってくれているはず。
>

そう思いながら、私は夜空を見上げる。
>

星の数は多く、都会とは比べものにならない。
>

でも、この島に来てしばらく経った今は――
少しだけ見慣れてしまった。
>
seisai_no_resonance/sce08_03_05_1.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)