User Tools

Site Tools


seisai_no_resonance:sce08_03_04_0
社内は外観から想像したより綺麗にされていた。
>

ところどころ朽ちてしまっているが、
今にも崩れそうというわけでは無いらしい。
>

奈岐が隠れていたから、ちゃんと掃除していたのかな……?
>

「――鼎は祠を知っているね?」
>

祠、以前に奈岐を捜して訪れたあの場所のことを末来さんが言う。
>

私が頷くのを見てから、末来さんは話を続けていく。
>

「一対の巫女は奥の広間で儀式と称した戦闘を行う。
(BROKEN:8_20)
>

「その戦いの末、生き残った巫女はいない」
>

「えっ……」
>

「待って、ミライっち……それって、死んじゃうってこと?」
>

目を見張った私達に対し、冷静に末来さんは続ける。
>

「そう、一対の巫女を贄として穢れに捧げること。
(BROKEN:8_20)
>

「お母さんが……」
>

お母さんは巫女の掟を破ったと中村さんが言っていた。
>

その理由は単純明快すぎるもので……巫女が儀式を壊そうとした?
>

でも、儀式が生贄を捧げるものだと知ったら、
お母さんなら行動してしまうのも分かる気がする。
>

「ボク達の目的も同じ。呪われた因習からこの島を解放すること」
>

「儀式が失敗するって分かっていながら、
(BROKEN:8_20)
>

「鼎、さっき言ったように一対の巫女を贄とすることが儀式。
(BROKEN:8_20)
>

「そんなことって……」
>

「あってはならない。ボクもそう思う。だから、未来の……
(BROKEN:8_20)
>

「鼎がいる今なら因習を終わらせることが出来る」
>

「ミライっち、どうしてカナカナなの?(BROKEN:8_20)
(BROKEN:8_20)
>

眉を顰めたヤヤが末来さんを見る。
>

「平気、鼎と鼎の勾玉の力をボクが借りるだけ」
>

「私と……私の勾玉の……?」
>

「それで終わりにしてみせるから」
>

そう言った末来さんの眼差しには、何かの決意を感じた。
>

そんなことを感じてしまったからか、
不思議と私は何も言うことが出来なくなる。
>

「じゃあ、ヤヤ達は祠にいる穢れと戦えばいいの?」
>

「そう。ボクが封印を行う間、穢れ達を引き付けて欲しい」
>

「んー、相手に出来る数だといいんだけど」
>

「八弥子なら大丈夫。ただあの場所は穢れの気が充満している。
(BROKEN:8_20)
>

「…………」
>

末来さんはヤヤに流れる血のことを指摘した。
>

穢れに似た禍々しい力を引き出すことが出来るヤヤ。
>

祠にその気が充満しているとしたら……?
>

またヤヤが正気を失ったかのような行動を取ってしまうかも
しれない――そんな心配だろう。
>

「ヤヤには私がついてるよ。何があっても正気に戻してあげる」
>

「引っぱたくかもだけど」
>

「あはは、カナカナ、その時は優しくしてね」
>

ニッと笑って見せると、ヤヤが楽しげに微笑んだ。
>

「今は八弥子の力を回復したい。明日、陽が昇り次第、
(BROKEN:8_20)
>

「ボクは理事長と少し話をしてくるから」
>

末来さんはそう言うと、社の外へ出て行ってしまう。
>

残された私達は後を追うことも出来ず、
言われた通りに休むため、その場に腰を下ろした。
>

「奈岐、大丈夫かな……」
>

「んー……ナギっち、賢いからきっと平気だよ」
>

ヤヤがいつの間にか這い上がっていたガジを抱きかかえ、
膝の上に乗せた。
>

ここから動けない以上は奈岐を信じて待つしかない。
>

下手な行動は……きっと奈岐自身に迷惑をかけてしまう。
>

私達が思っている以上に彼女は賢いのだから。
>

それでも、奈岐は一人で……。
>

言い様の無い不安が胸を苛み、私はヤヤの肩に頭を預けていた。
>

不安なのはヤヤも同じだったのか、
抱きしめるようにして身を寄せ合ってくれる。
>

ヤヤの温もりを感じながら、目を閉じ、不安が過ぎ去る時を待つ。
>

ただそれは奈岐の無事を知るまで続くだろうと、
心のどこかでは思っていた。
>
seisai_no_resonance/sce08_03_04_0.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)