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seisai_no_resonance:sce07_06_03_1
「お願い、ボクの光――未来を祓って!」
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末来さんの剣が穢れの棘を切り落とす。
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次いで、放たれる光が瘴気を焼き切り、
穢れの身体を剥き出しにしていく。
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その隙を逃さずに末来さんが床を蹴り、
穢れの身体に剣を突き立てた。
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血も瘴気も溢れ出すことなく、甲高い金属音が鳴り響く。
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「未来、このまま……ボク達が……!」
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末来さんが両手で持った剣に力を籠め、
穢れの身体を波打つ門へ押し込む。
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それと同時だった。
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末来さんが近づくのを待っていたかのように、
門から瘴気が溢れ出す。
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「末来さんっ!?」
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「穢れは祓われ、ボクと未来は礎となる――
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最初から分かっていたかのように、
末来さんは溢れ出す瘴気に身を任せていた。
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門に呑み込まれる、このまま礎としていなくなってしまう。
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「っ!?(BROKEN:8_20)
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「そんなの嫌だっ!(BROKEN:8_20)
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「私はこの島を救いに来たんじゃないっ!!」
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「私はお母さんを捜して、ここまで来たんだっ!!」
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私は両手に炎を集束させ、剣を呼び出すと門へ向かう。
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剣に炎を纏わせ、黄泉へ繋がるという門に迫る。
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「鼎っ!?(BROKEN:8_20)
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言葉が途切れ、末来さんの身体が門に取り込まれていく。
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だけど、その言葉の続きは私の後ろから聞こえた。
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「その門は人を取り込み、穢れへと変貌させるっ!」
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「片倉末来も姉さんも、望みを叶え、礎となったっ!
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血塗れの秘書の身体を抱きながら、理事長が声を荒げていた。
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その言葉を聞いても、私は剣の熱を緩めず、
ありったけの炎を宿していく。
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「止めるんだっ!(BROKEN:8_20)
(BROKEN:8_20)
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「そんな希望なんていらないっ……!
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剣を振り上げると、瘴気を祓うようにして門を斬りつける。
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私すら取り込もうとする瘴気を焼き払いながら、
門を作る岩を削るように幾度も剣を振るっていく。
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「バカな……姉さんと……同じことを……?」
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身体中に瘴気が纏わり付き、門へと身体が引き込まれる。
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「絶対に持って行かれるもんかっ!」
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「返せっ!(BROKEN:8_20)
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声を張り上げ、炎を纏った剣で瘴気を祓いのけ、
さらに門を斬りつけた。
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金属とも岩とも知れぬ門を削る攻防を続けていくと、
僅かな光が瘴気の中から溢れているのが見えた。
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「お母さんっ!(BROKEN:8_20)
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「私から末来さんを取らないでっ!!(BROKEN:8_20)
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「絶対に見つけるからっ!!(BROKEN:8_20)
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見えた光を目指して、瘴気を切り裂いていく。
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そして、その光が瘴気の中から溢れ出した時――。
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「まったく……その頑固さ、誰に似たんだろうね」
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「いいよ、お母さんがもう少し頑張ってみせるさ。
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「だから、鼎、それまでに必ず方(BROKEN:8_20)
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「これは親子の約束だ、いいね?」
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「分かってる、約束――」
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「なら、鼎、その手を伸ばすんだ。
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「待ってて、お母さん、絶対に方(BROKEN:8_20)
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「だから、末来さん……お願い」
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光の中、お母さんの気配を感じながら、私は手を伸ばす。
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その指先に確かな温もりを感じた。
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「キミ、平気かい?」
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「ボクが分かるかい?(BROKEN:8_20)
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「……ボクが……分かる……?」
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「お、返事があった?(BROKEN:8_20)
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「でも、魂だけの状態だとなぁ……
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「魂……だけ……?」
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「そそ、ボクがキミをあの門から切り離したんだ。
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「ボク……肉体……残ってない……」
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「ん?(BROKEN:8_20)
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「言葉……失ってる……」
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「うーん、勾玉……その辺りの星霊石を上手く使うかな?」
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「霊石使うなら、やっぱり頼継のやつ呼んでこないとダメか」
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「でも、これはやりすぎたしなぁ……
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「ふふっ――」
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「お?(BROKEN:8_20)
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「ゆっくり帰ってくればいい。キミの名前は?」
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「…………名前……」
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「そっか、言葉も無ければ、名前も無いか……うーん」
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「それじゃあ、キミにはボクの名前をあげよう。
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「でも、二つも読み方はいらない。
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「ミライ……ボクの名前……」
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「そうだ、その調子で戻って来るんだ」
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「さあ、ボクの手を取るんだ――」
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「そのまま手を掴んで下さい……末来さん……!」
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「…………かな、え?」
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「末来さんっ!(BROKEN:8_20)
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「っ……かなえ……かなえっ……!」
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そして、指先の感覚をそのまま引き上げていく。
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力を使い果たし、膝が砕けると、その場に倒れ込む。
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「はぁっ……はぁっ……」
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「はぁっ……ははっ……やった……やれたよ、お母さん……」
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掴んだ手の温もりは決して離さなかった。
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私の視界には確かに末来さんの姿がある。
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救えた、助けることが出来たんだ。
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膝をついた末来さんが私を覗き込む。
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「……未来の時と……同じだ」
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「またボクは……救われた……」
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「ふふんっ、そう簡単に末来さんをあげるもんですか」
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身体を起こすと、私は得意げに微笑んで見せた。
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すると、つられるようにして、末来さんも微笑んでくれる。
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「そっか、鼎がそう言うなら……ボクはまだあっちに行けない」
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「まだ、じゃないです。ずっとですよ」
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「末来さんと一緒にいる方(BROKEN:8_20)
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私の言葉を聞いた末来さんが吹き出すようにして笑う。
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「ふふっ、鼎は未来以上のことをしようとしているんだね」
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「ええ、お母さんを超えてみせますよ」
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私は立ち上がると、膝をついたままの末来さんに手を伸ばす。
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「……うん、鼎ならきっと出来る」
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そして、末来さんはその手を取ると優しく微笑んだ。
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seisai_no_resonance/sce07_06_03_1.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)