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seisai_no_resonance:sce07_04_16_2
夕方の森を奈岐と二人で急ぐ。
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この辺りはまだ学園付近だから油断出来ない。
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早足で――だけど、なるべく静かに森の中を進む。
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しばらく歩いて、ようやく学園の敷地から遠ざかった時、
一人の人物が立ち塞がる。
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まるで私達がここを通ることを知っていたかのように、
彼女は鋭い視線を向けてきた。
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「<RB='のが'>逃<RB>れられると思ってか?」
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「中村さん……」
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「お前達には、松籟会から呼び出しがかかっている。
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「禰津に救われた命を捨てるつもりか」
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「私は命令に従うだけだ」
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中村さんが自分の星霊石を握り締める。
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僅かに散った火の粉が再び戦闘を予感させた。
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「中村真琴、一つだけ問おう――
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奈岐の言葉に私と中村さんが同時に息を呑んだ。
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「以前に浜辺で……私は我を忘れるほど怒りを顕わにした。
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「それを知った上で、お前は危険をかえりみず、私を誘った。
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奈岐を激昂させ、枷の外れた力を存分に振るわせる。
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そして、八弥子さんの犠牲まで誘った……?
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でも、中村さんの個人の考えにしては、出来すぎている気がする。
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「私は『死を恐れずに高遠鼎の命を狙え』と命令されたのみ――」
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「ただ、松籟会の考えは……向山奈岐、あなたの言う通りだろう」
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「上手く事が運んだ、と叔母様も口にしていた」
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「予想通りか……だが、読むべき相手を違えたな」
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奈岐はわざとらしく肩をすくめると、私へ振り返った。
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「鼎、ここは私が処理する。猫を連れていってくれ」
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奈岐がガジを地面に下ろした時、蒼い火の粉が周囲へ弾ける。
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「そうはさせない、二人とも連行させてもらう」
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中村さんが巫女装束を纏い、巨大な剣を片手で握り締めていた。
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「ならば、押し通るだけだ」
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「奈岐……」
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まさか今度こそ中村さんを手にかけるつもりでは、と声をあげる。
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「禰津の意志もある。今は道を開くことだけに集中する」
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そう言った奈岐が星霊石の力を解放していく。
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「っ……またこの力……!」
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圧倒的な冷気にたじろぎ、鞄をその場に落とす。
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こんな力、何度も使えるようなものじゃ――。
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「まさか、中村さんは……」
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「ぐっ……」
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顔をしかめた奈岐が僅かに呻く。
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枷が外された星霊石は、
奈岐の思考に追いつくほどの力を見せている。
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でも、いくら鬼子として優れた知性を授かっていても、それに対応出来るほど、強靱な身体を持ち合わせているわけではない。
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中村さんはそれに気付いている?
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だとしたら、この戦い……止めないと。
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「一瞬でけりをつける……!」
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「これは――予想通りか」
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奈岐の身体がかき消えるようにして、中村さんに飛びかかった。
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目を疑うような速度だけど、その分だけ身体に負荷が来る。
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肌を切るような冷気の中、私は勾玉の力を解放させていく。
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しかし、この冷気の中では思うようにイメージが作れず、
僅かな炎しか作り出せない。
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「くっ……お願い、間に合って」
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その間にも奈岐と中村さんが衝突を始めていた。
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seisai_no_resonance/sce07_04_16_2.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)