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seisai_no_resonance:sce07_04_13_0
炎が弾け飛び、正面から中村さんと切り結ぶ。
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重なった刃が赤く燃え、中村さんの大剣を徐々に切り裂いていく。
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「力負けしてしているっ……!」
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武器を失うわけにはいかないと、中村さんが大きく踏み込み、
私の懐を拳で狙う。
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身をひねって一撃をかわしたところで、
仕切り直しを余儀なくされてしまった。
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「ようやく把握した……それが鬼と呼ばれる力か」
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中村さんが刃こぼれした大剣を構え直す。
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「分かっていても続けるつもり?」
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「私には引けない理由がある」
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「それが……私の命を狙う理由?」
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「お前は私の信じる現実が嘘ばかりだと言った」
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「私はそれでも構わない。私にある希望はただ一つだけだ。
(BROKEN:8_20)
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中村さんが大剣を地面に突き立て、片手に炎を集束させ始める。
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その行動は攻撃ではなくて――。
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敗北を意味する力の解除だった。
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「えっ……?」
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誰もが中村さんの右手に宿った星霊石に視線を集中させる。
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こんなにあっさりと負けを認めた……?
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その疑問は次の瞬間に打ち砕かれる。
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「まだ力を解除するなっ!(BROKEN:8_20)
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奈岐の声を聞き、中村さんの左手に視線を移した瞬間だった。
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「この一刀で終わりにする!」
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踏み込む中村さんの手には、いつか見た刀が握られている。
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力を解除しての攻撃なんて、捨て身の一撃に等しい。
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私が剣を振るえば、生身の中村さんは間違いなく――。
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「鼎っ、何を躊躇しているっ!(BROKEN:8_20)
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僅かに冷気を感じたかと思えば、目の前に奈岐が滑り込んでくる。
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片手に氷の刀を作り出し、中村さんの一撃を受け止めた。
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「くっ、鬼が邪魔するなっ!」
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「邪魔をするのが鬼の役目だっ!」
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生身と巫女の力では圧倒的な差があり、
中村さんの刀は、氷に両断されていく。
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「くっ……化け物めっ!」
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諦めずに中村さんが星霊石を輝かせる。
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「マコ、もうダメだって!(BROKEN:8_20)
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八弥子さんの言う通り、一度でも力を解除すれば、
その時点で負けが確定するはずだ。
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「中村さん、お止めなさいっ!(BROKEN:8_20)
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「私の戦いはまだ終わっていないっ!」
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蒼い炎が吹き荒れ、再び巫女装束を纏い、大剣を構え直す。
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「利用されていることも知らぬ<RB='でく'>木偶<RB>が戦いを望むかっ!」
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奈岐が片手に握った氷の刀を振るう。
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「奈岐っ!(BROKEN:8_20)
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「マコ!(BROKEN:8_20)
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私達の制止も聞かず、二人は同時に地を蹴る。
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「お前の信じた唯一も嘘だっ!(BROKEN:8_20)
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「鬼に何が分かるっ!(BROKEN:8_20)
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中村さんの目の前で銀色の光が舞った。
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弧を描いた奈岐の刀が、炎ごと中村さん大剣を真っ二つに
切り落とす。
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轟音を響かせて落ちる巨大な剣が地面に揺らした。
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「馬鹿な……幸魂の状態で私の剣を!?」
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紡ぎ出す蒼い炎も次々と氷に固められ、中村さんの退路を塞ぐ。
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「奈岐、もう充分だよっ!(BROKEN:8_20)
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「ナギっち、もうダメっ!!」
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私と八弥子さんが止めに入ろうとした時、
冷気を伴った衝撃が走り、身体ごと吹き飛ばされる。
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「邪魔をするなっ!!」
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「ナギっち!?(BROKEN:8_20)
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無力にも草むらに転がった私とは違い、
八弥子さんが鎖を奈岐の足に放っていた。
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「二度も私の道を阻むかっ!(BROKEN:8_20)
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「その気持ちで誰かを傷つけたら、心が麻痺しちゃう!」
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「ナギっちには、そんな風になって欲しくないっ!」
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「お前の感覚を押しつけるなっ!(BROKEN:8_20)
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「ナギっち!!」
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氷の刀が奈岐を繋ぎ止めていた鎖を断ち切った。
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そして、奈岐が体勢を崩している中村さんへ向かう。
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「中村真琴っ!!(BROKEN:8_20)
(BROKEN:8_20)
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「くっ……母さんっ……!」
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刃の切っ先が中村さんを捉えた。
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震え上がるほど殺気が膨れあがり、憎しみを籠めた刀が、
真っ直ぐに突き出されていく。
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奈岐を止めるために私が声をあげ、誰かは中村さんの名前を呼び、
誰かは悲鳴をあげていた。
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全てが一瞬のことのはずなのに、
時間の流れが止まったかのように思える。
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中村さんを庇うように走り込んだ影に気付いて、
私は声にならない声をあげるけど――それは届かなくて。
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「なっ……!?」
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氷の刃が容易く身体を貫いていく。
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「そんな……」
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刃から滴り落ちた血が、奈岐の周囲に出来た氷を赤く染める。
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「……ね、禰津?」
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八弥子さんが身体に刺さった刀に手をかけ、引き抜くと、
さらに大量の血が零れ落ちていく。
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「ナギっち……ダメだよ……こんなこと……しちゃ……」
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八弥子さんは血で赤く染まった腹部を押さえながら、
数歩、ふらふらと奈岐へ歩み寄る
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「な、何をしている……?(BROKEN:8_20)
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「それでも……ナギッちが、こんなことしちゃ……ダメ……」
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八弥子さんの膝が折れ、その場に倒れ込みそうになったところを
駆け寄った奈岐が支える。
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巫女の力の維持なんて出来るはずもなく、
八弥子さんが制服姿に戻ってしまう。
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傷が塞がるはずもなく、腹部から溢れる血は制服を赤く染める。
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「ナギっち、優しいから……気持ちが穢れに持って行かれる……」
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「禰津……?」
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「ヤヤなら……平気だから……大丈夫……だから……」
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奈岐の頬に伸ばそうとした八弥子さんの手が
力無く垂れ下がっていく。
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「…………」
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カランッと乾いた音を立てて、奈岐が刀を地面に落とす。
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そして、動かなくなった八弥子さんの身体を支えたまま、
ただ無言で佇んでいる。
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「誰か……誰か手当てを!(BROKEN:8_20)
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慌てて声をあげると、止まっていた時間が突然動き出していく。
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学園長がすぐに救急車の手配をし、動ける人は八弥子さんの止血に回り、車が来られるところまで運ぼうとする。
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そんな中、奈岐はただ呆然と佇み、
血に染まった自身の両手を見つめていた。
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seisai_no_resonance/sce07_04_13_0.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)