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seisai_no_resonance:sce07_04_06_2
第二戦目の場所は、学園近くの森の中だった。
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立ち入り禁止の札を越えて少し行ったところである。
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前回と変わらずに松籟会の人が立会人として姿を見せていた。
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「それでは、本日の儀式を執り行わせて頂きます」
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「第三試合は、遠山・風間と高遠・向山の二組――
(BROKEN:8_20)
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「由布達が相手に……」
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いずれ戦うことになるのは分かっていたけど、
いざ本番となると、やっぱり緊張感がある。
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由布は雑念を払おうと集中しているのか、
目を閉じたまま、深呼吸を繰り返していた。
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「準備はよろしいですか?(BROKEN:8_20)
(BROKEN:8_20)
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学園長の言葉に従って歩み出す。
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たぶん、由布と遠山先輩は本気で来る。
中途半端な気持ちで挑んで勝てる相手じゃない。
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でも、私達にはどうしても勝たないといけない理由がある。
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「遠山が荒魂を務めるはずだ――風間ではまだ力不足」
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「遠山先輩が……」
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遠山先輩が使う鎌には一度敗北した記憶があった。
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今の私でも正面から挑んで敵う相手かどうかは……。
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「いや、今の鼎なら対応出来る」
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「奈岐?」
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「遠山が守りに入れば、必ず勝てる」
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奈岐の言葉から確信めいたものを感じる。
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何か策がある――そう考えた方が良さそうだ。
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御魂の担当を決め終えた時、再び学園長の声が響く。
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「では、それぞれの巫女は御魂を体現なさい」
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今日も荒魂となるべく、私は勾玉を握り締めた。
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「――ッ!!」
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炎を意識し、周囲に火の粉を散らしていく。
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私に穢れを祓う力を授けてくれるように炎を舞い上げる。
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無事に巫女装束を纏うと、剣を地面に突き立てた。
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「……奈岐、お願い」
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力の交信のため、奈岐の星霊石にそっと触れる。
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「鼎、自身の力を信じろ――それが勝利へ繋がる」
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力の解放が始まり、奈岐の周囲に冷気が湧き起こる。
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火の手を完全に抑え込み、奈岐の身体が氷の塵に覆われていく。
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そして、今回も危なげなく奈岐が力を解放し終える。
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もし私が支援に回れば、巫女装束を纏うことすら困難なのに……
やっぱり、あの石と鬼子の力は想像以上のものらしい。
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奈岐の力を確認すると、私は再び剣を手に取る。
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剣に熱を宿しながら、戦うべき相手と向かう合う。
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やはり由布ではなく、遠山先輩が荒魂を務めていた。
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大きな鎌が目に映ると――以前、敗北した時の恐怖が僅かに蘇る。
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そんな恐れを振り払う為、私は炎の力を増幅させた。
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「御魂の力もあるでしょうが、あの時に比べて成長しましたね」
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「素直に褒め言葉として受け止めます。ありがとうございます」
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「ただ――私と由布も、あの時とは違いますわ」
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余裕のある笑みを遠山先輩が口元に宿す。
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それは強がりなどではなく、私の力を見越した上の笑みだ。
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「遠山先輩、正直に答えて下さい。お爺さんから巫女について、
(BROKEN:8_20)
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「お爺様から……?(BROKEN:8_20)
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「そのままの意味です。何か隠しているなら、答えて下さい」
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「私と奈岐はもう全部知っています」
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「…………」
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遠山先輩は驚くように片眉をあげた後、細い顎を横へ振る。
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「私が知ることは、あなた方に伝えたことが全てです。
(BROKEN:8_20)
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遠山先輩が嘘をついている様子は無い。
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それに何より……巫女の事実を知っていれば、
由布の身が危険に晒されることも分かっているはず。
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遠山先輩なら――それを避ける。
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誰かを想うことの強さを知った今なら、その確信が持てた。
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「答えてくれて、ありがとうございます――」
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そう言った時、学園長が片腕をゆっくり挙げる。
間も無く試合開始の合図だ。
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「遠山先輩、今は何が何でも勝たせてもらいます」
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それは由布と先輩の気持ちを守るためにもなる。
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「こちらも負けることは許されない身――本気で行きますわ」
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遠山先輩が大鎌を構え、
私は剣の切っ先を先輩へ向ける。
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「第三試合、始めっ!!」
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学園長の腕が振り下ろされると共に、私はさらなる炎を解き放つ。
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由布と先輩の関係が、穢れの前で散った巫女達のように、
引き裂かれることなんて――もうあってはいけないっ!
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seisai_no_resonance/sce07_04_06_2.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)