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seisai_no_resonance:sce07_04_03_2
選抜の儀式は、模擬戦とは異なるルールで行われるらしい。
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まず大きく異なるのが立会人となる人間――
つまり、松籟会の人が数名その場にいる必要がある。
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次に、一人でも戦えた模擬戦とは異なり、
必ず一対の御魂を体現する必要があるということ。
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これは儀式に直結することだから必須事項だろう。
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この場に末来さんがいないのは、今回は一対としての相手に選ばれていないから……と、これは私の推測。
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戦闘を担当するのは変わらずに荒魂を体現する巫女で、
攻撃対象としていいのも荒魂の巫女だけになる。
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最後に和魂――じゃなくて、今は幸魂だった――を体現する巫女も戦闘行為に参加出来る。
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ただパートナーへの力の供給を中断するため、リスクは大きい。
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これは緊急時のみ、と考えた方が良さそう。
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以上のことを踏まえた上、総当たりの対戦を行うわけだけど、
全勝したからといって、巫女になれるわけではない――
というのは模擬戦と変わらず。
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あくまでも、穢れを祓うことが出来るか否かを見定める試合ということらしい。
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「さて――本日の組み合わせを発表します」
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一通りの説明を聞き終えた私達に学園長が声を上げる。
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「第一試合は、三輪・保科と高遠・向山の二組――
(BROKEN:8_20)
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「…………」
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いきなりの本番で、第一試合は……恵と?
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息を呑みながら、恵へ視線を向ける。
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同じく不安そうな恵が私へ振り返っていた。
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「それでは、<RB='みそぎはらえのぎ'>禊祓乃儀<RB>を始めさせて頂きます。
(BROKEN:8_20)
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学園長に言われ、恵から視線を逸らし、歩み出す。
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恵には悪いことをするかもしれないけど……
ここでの勝利は結果的に巫女を救うことになる。
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だから、今はどうしても負けられない。
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「鼎が荒魂を――切り札を使うべき相手じゃない。
(BROKEN:8_20)
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切り札……きっと例の星霊石のことだろう。
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鬼子の力に対応した特殊な星霊石……恵達には悪いけど、
使うべき相手は、きっとこの二人じゃない。
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「――分かった」
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私が奈岐に頷いた時、再び学園長の声が響く。
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「では、それぞれの巫女は御魂を体現なさい」
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荒魂となるべく、私は勾玉を片手に掴む。
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「――ッ!!」
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強く握り、燃え盛る炎を舞い上げていく。
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飛び交う火の粉が身を包み、私に穢れを祓う力を授けてくれた。
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呼び出した剣に纏う火の粉を振り払い、砂浜に突き立てる。
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「……奈岐、お願い。巫女装束を纏えなかったら、
(BROKEN:8_20)
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「連中に力の解放までは、見せてやる必要がある――
(BROKEN:8_20)
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「霧が出て騒ぎにならない程度でお願い」
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私は力の交信のため、奈岐の星霊石に触れた。
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「フッ、今なら……その処理も出来る」
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奈岐の周囲に冷気が吹き荒れ始める。
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私の炎と接触するには危険な力――そのはずだったのに。
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「…………!?」
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氷塊に炎が触れた途端、火の手が止んでいく。
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まさか奈岐の力に圧倒されている……?
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衝撃と共に冷気が駆け抜けていく。
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熱をはらむ私の装束までもが冷たくなる――今までに無い冷気。
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これでも、まだ切り札じゃないって……奈岐はいったいどこまで。
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「鼎、本気で暴れても問題無い。やってしまえ」
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「そう、みたいだね……」
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奈岐の力に驚きつつも、私の砂浜から剣を引き抜く。
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剣の柄も冷え切っていたけど、すぐに炎をイメージすると、
元の熱を取り戻してくれる。
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恵と三輪さんも力を解放し、それぞれの装束を纏っていた。
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ヒュッと風切り音を立てて、三輪さんの細剣が私に向かう。
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「向山先輩の発言、どんな意図があってのことでしょうか?」
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「聞き捨てならないって感じ?」
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どうやら荒魂を担当するのは恵じゃなくて三輪さんらしい。
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「当然です。許されるような発言ではありません」
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「あはは……そうだよね、私もそう思う」
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さすがにやりすぎ――でも、奈岐らしくもある。
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パフォーマンスとしては最高なんだけどね。
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「この織戸伏に生きる者として、許されないということの意味、
(BROKEN:8_20)
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「毎日が危険になるわけだよね。それは分かってる」
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絶対的な権力を持つ松籟会に対して、あの戦線布告だ。
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これからの毎日を穏やかに過ごせる方が不思議かもしれない。
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「分かっていながら……何故、向山先輩を止めなかったのですか」
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「…………」
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三輪さんに糾弾されているかと思ったけど、
その意図は僅かに異なる気がした。
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「もしかして、心配してくれてる?」
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「……寝覚めを悪くしたくないだけです」
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正直な答えは聞けないものの、三輪さんに心配されるぐらいのことをした――そう思うと、尋常でない気がしてならない。
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「私達なら平気だよ。ありがとう、心配してくれて」
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「ですから……はぁ、これ以上の問答は不要ですね」
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息を吐き出し、三輪さんが細剣を構える。
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それにならって、私も両手で剣を握り締めた。
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「さて――準備が出来たようですね。
(BROKEN:8_20)
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学園長の声に固唾を呑み込み、意識を集中させていく。
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奈岐の力がある御陰か、容易に炎を描くことが出来た。
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そういえば、私が御魂の力を借りるのは初めてだっけ。
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そう思っていた時、学園長が片腕をゆっくり挙げた。
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試合開始の合図が来る――剣を持つ手に力が籠もる。
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「第一試合、始めっ!!」
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腕が振り下ろされると同時に、私は全ての炎を解放した。
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そして、意志を貫くための巫女となる――
その最初の戦いが始まる。
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seisai_no_resonance/sce07_04_03_2.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)