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seisai_no_resonance:sce07_04_02_0
翌日の放課後――
巫女を選抜するため、本戦が行われることとなる。
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場所は姫渡り海岸、御花会のメンバー以外にも、
松籟会と思しき人達や学園の関係者の姿があった。
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砂浜で横並びになった私達と向かい合うようにして、
今まで島を取り仕切ってきた人達が集まっている。
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理事長と秘書の人、学園長の姿もその中にある。
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その三人を含めて、年配の人達があと四人並ぶ。
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ただ一つ気になること――
御花会のメンバーの中に末来さんの姿が無かった。
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「……皆さん、揃ったようですね。
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「今年の巫女候補は四組、その実力を競うことで、
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歩み出た学園長が巫女候補達に向かう。
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「名を呼ばれた一対の巫女はそれぞれ前へ出なさい」
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「遠山神住、風間由布」
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まず由布と遠山先輩の名前が呼ばれる。
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「遠山神住、覚悟は出来ております」
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「……大丈夫です、やれます」
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冷静な遠山先輩とは対照的に、由布の表情は緊張で強張っていた。
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「三輪縁子、保科恵」
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次に恵と三輪さんが名前を呼ばれ、歩み出る。
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「一対としての力、御覧に入れましょう」
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「よ、よろしくお願いしますっ」
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淡々とした三輪さんと、こちらも緊張で固まっている恵。
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「禰津八弥子、中村真琴」
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「――――」
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「よろしくー」
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無言で一礼する中村さんと緊張を全く感じさせない八弥子さん。
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そして、最後に学園長の視線が私達に向かった。
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「……高遠鼎、向山奈岐」
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「よろしくお願いします……って、な、奈岐?」
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「――フッ」
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一歩だけ歩み出た私とは別に、奈岐がすたすたと歩き出す。
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「向山奈岐、これも儀式の一環、礼式に則った行動を取りなさい」
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学園長の制止も聞かず、奈岐は理事長や松籟会の人達の前に立つ。
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「フッ、松籟会の老いぼれ共――その節穴だらけの目で見ろっ!
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「…………」
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開いた口が塞がらなくなった。
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あまりにも突飛な行動に、皆が皆、動揺を隠せずにいる。
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理事長だけは手を(BROKEN:8_20)
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「この髪を見ろ!(BROKEN:8_20)
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マントを脱ぎ捨て、陽の下に奈岐が色素の薄い髪と肌を晒した。
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「あえて付け加える――鬼子としてお前達が忌み嫌う力、
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何人かが息を呑み、何人かがどよめいた。
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見鬼のことを知る松籟会の人達が目を逸らしていく。
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知られるわけにはいかないことを考えないようにしている――
それぐらいは私にも分かった。
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「どうした?(BROKEN:8_20)
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「松籟会にもう一人の鬼を抱え、その危険性を知りながらも、
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「事実を知る候補がここにいることを――あえて伝えておく。
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奈岐の言葉に堪忍袋の緒が切れたのか、老女が一人声をあげる。
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「真琴、何をしていますか!(BROKEN:8_20)
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「っ!?(BROKEN:8_20)
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中村さんが砂を蹴り、奈岐へ向かって駆け出す。
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「ほう?(BROKEN:8_20)
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「なんだと……?」
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奈岐が中村さんへ振り返ると同時に声を上げていた。
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「今、お前の叔母が何を考えていたか――
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「…………」
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その問いかけに中村さんが躊躇してしまう。
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そんな僅かな隙が生じることを始めから示し合わせたかのように、黒い影が奈岐と中村さんの間を遮った。
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「しまっ――」
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「ここは儀式の場、無益な力を振るう場ではございません」
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「そういうことだよ、中村のオバサン?(BROKEN:8_20)
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理事長の声を聞いてようやく気がつく。
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鬼子が二人もいる以上……事前に示し合わせる必要も無いんだ。
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利害が一致しているのなら、意思の疎通は一瞬で出来る。
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「……真琴、下がりなさい」
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「っ……」
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中村さんが奈岐を睨み付けたまま、後ろ足で元の場へ戻っていく。
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「さて、どうする?(BROKEN:8_20)
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「……儀式の再開を。これ以上の弁論ならびに乱りな行動、
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着物姿の老人が威厳のある調子で警告を促す。
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「だってさ、その辺りにしておきなよ」
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「そのつもりだ。部下を借り、手間をかけたな」
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「いいよ、いいよ。最高に楽しかったから」
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そう言った理事長が思い出し笑いをしていた。
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奈岐は砂浜に脱ぎ捨てたマントを拾うと、
何事も無かったかのように私の隣に戻ってくる。
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「さて、これでチェックメイトも同然だ」
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「…………」
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何か言おうとしたところで、
口が開いたままだったことを思い出す。
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「な、奈岐……あんなことするなら、先に言っておいてよ……」
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「なぁに、サプライズも時にはいいものだ」
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不敵に笑った奈岐の顔が、なんと憎らしいことか。
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「こほんっ……んんっ、場が静まったようですね」
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あまりにも異例の事態に、学園長すら動揺しているように思えた。
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それでもすぐに平静を取り戻し、儀式の再開に移っていく。
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「それでは、これより巫女を選定する儀式――
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いよいよ……のはずだったんだけど。
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「フッ――これはもう茶番だな」
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奈岐の盛大なアピールの後だから、私までそう思えてしまった。
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seisai_no_resonance/sce07_04_02_0.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)