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seisai_no_resonance:sce06_04_11_2
つむじ風が木々を大きく揺らし、どこかに潜む穢れを挑発するように、ガサガサとさざめく。
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風は自然と吹き付けてくるものではなく、巫女の力を中心として、発現させたものだった。
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「いやぁ、言ったその日に呼ばれるなんて思ってなかったよー」
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楽しげに笑いながら、八弥子さんが拳を作り、風の流れを変える。
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「――禰津はお人好しだな。詳細も聞かずに手を貸すとは」
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「お手伝いしてれば分かることじゃん。気にしなーい」
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奈岐は皮肉を言ったつもりなんだろうけど、八弥子さんに通じる
わけもなく、肩をすくめる結果に終わっていた。
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「これで穢れが来ても一匹に集中出来るね」
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穢れを一匹だけ相手取る方(BROKEN:8_20)
それは私達以外の力を借りればいい。
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ある程度の事情を知っている上、協力的かつ基本的に自由人、
適任という言葉がぴったりな人材が一人だけいた。
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八弥子さん――
巫女としての力も優秀だから、穢れに後れを取ることも無いはず。
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「禰津、穢れの数が多い場合は後退する。いいな?」
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「カナカナが心配?」
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「当然だ」
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「ナギっち、素直だ。ちょっと妬けちゃうなぁ」
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「うるさい」
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身を守る手段が私に無い以上、危険は少しでも避けたい。
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熱を放ち続ける勾玉を抱いたまま、周囲を警戒した。
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「この辺りにはいないのかも?(BROKEN:8_20)
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「奴らの索敵範囲が明確でない以上、移動するのは避けたい」
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私達は寮から距離を取り、海に近いところまで来ている。
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「じゃあ、その範囲に入っちゃえばいいわけ?」
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「何をする気だ?(BROKEN:8_20)
(BROKEN:8_20)
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「簡単簡単、ゆっくり範囲を広げればいいだけじゃん」
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八弥子さんが両手を突き出し、風の流れを操っていく。
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そして、木の葉の擦れる音が徐々に広がり始める。
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まるでセンサーみたい。これを八弥子さんは簡単と言ったけれど、かなり器用なことをしているように思えた。
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そんなことを考えている間にも、木々のざわめきが遠く離れ、
耳を澄まさなければ聞こえなくなっていく。
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やっぱりこの近くに穢れはいない?
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そう思った時、何とも表現しがたい悪寒が身体を駆け巡った。
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「――ッ!?」
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日付を置いても決して忘れられないこの感覚は間違いない。
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「来たっ!」
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「二匹、いや三匹だ――禰津、釣りすぎだ」
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すぐさま奈岐が両手を広げて氷の短刀を作り出す。
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まだ姿は見えていないが、嫌な気配がどんどん近づいてくる。
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「えー、来ないよりマシじゃん」
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「禰津は先行して二匹を対応。鼎は私の後ろから離れるな」
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「はーい、お任せあれ!」
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突風と共に地を蹴った八弥子さんが森の中を駆けていく。
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「二匹相手って……八弥子さん、大丈夫なのかな?」
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「心配するだけ損するぞ。今は自分達のことに集中しよう」
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穢れの気配が近づき、奈岐は腰を落として身構える。
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「よし、一匹だ……鼎は新手にだけ注意」
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夜の暗がりから穢れの黒い肉体が呻くような声をともなって現れ、私の瞳にも映っていく。
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その直後、勾玉が奈岐の冷気に呼応するように熱を放つ。
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「力を小出しにして足をすくわれるのは避けたい。
(BROKEN:8_20)
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「分かった」
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私の返事を聞いた奈岐は一度頷き、さらに冷気を強める。
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「――今日こそお前達の真意、確かめさせてもらうぞ!」
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氷の短刀を振るい、穢れに向かって奈岐が走り込んだ。
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そして、一対として初めての実戦が幕を開けた。
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seisai_no_resonance/sce06_04_11_2.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)