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seisai_no_resonance:sce06_04_05_0
約一年ぶりに奈岐の部屋に電気の明かりが灯っていた。
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久々の照明に落ち着かないと言った奈岐はシャワーを浴びに行き、私は一人で夕飯のサンドイッチを囓っているところ。
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ちなみにサンドイッチは奈岐が調達してくれたものだ。
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お腹が空いたから食堂に行こうと伝えたけれど、
鼎は部屋から出ない方がいい、と言われて――結局、言う通りに。
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私が思っている以上に、奈岐は過敏になっている。
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「……落ち着いてくれるといいんだけど」
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巫女の件に関われば関わるほど、危険性は増していく。
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でも、危険を避ければ、私の目的を果たすことは出来ない。
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末来さんは巫女にならないとお母さんに会えない、
そう繰り返していた。
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もし奈岐が訊いたことに全部答えてくれていれば、
こじれることも無かったのだろうか?
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そんなことは末来さんも分かった上で話している、か。
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「……ん?」
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そんなことを考えていた時、机の上にある書籍に気付く。
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照明の御陰で題字を読み取ることが出来る。
どれもが神道や古事記を示唆するものばかりだ。
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その文字を見た時、一つだけ状況を打開出来る方(BROKEN:8_20)
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「そっか、穢れと巫女の関連性……ずっと奈岐が追っている」
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巫女の力でしか祓うことの出来ない霊体のような存在。
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もしかしたら、そこに末来さんが語れなかった子細も含まれている可能性もあるだろう。
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「…………」
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末来さんのことを考えた時、頭の中で符合が繋がっていく。
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奈岐を助けられるのは私だけ……。
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助ける――その意味が奈岐の心だけじゃなくて、
今の状況を含める全てのことを指しているなら。
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まるで私を他の人から守る盾のようになっている奈岐、
この状態は巫女と御魂の関係に酷似しているような気がした。
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荒魂に幸魂、織戸伏では一対としての存在として扱われている。
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すぐさま私は机の上にある書物に手を伸ばす。
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巫女を守る盾……他者から遠ざける術……。
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ページをめくりながら、島に来て間も無い頃に聞いた御魂の授業を思い出す。
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荒魂、和魂、幸魂、奇魂――それらが書かれている項目をいくつかの書籍から探し出していく。
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「助けるって……その意味、繋がったかもしれない」
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きっと私達の間に必要なのは愛情だけじゃない。
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助けること、それが示すことのは、
私達に今まで足りていなかったこと、気付いていなかったこと。
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「やっぱり……」
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ページをめくる指が御魂について書かれたページで止まる。
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やるべきことが見えると、目の前が明るく開けてきた。
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よし、奈岐がシャワーから戻ったら伝えよう。
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私は意気込みつつ、もう一つサンドイッチに齧り付いた。
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――と意気込んでいたのは数刻前のことで、
思わぬ形で出(BROKEN:8_20)
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「えーと……」
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着ぐるみ……?
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以前、寝ぼけ眼で一度見た記憶はあるけれど、
あらためて明かりの下で見ると……感じるものが違う。
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「うぅ……真面目な話しづらい」
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「何のことだ?」
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視界に入るだけで気が抜ける。
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可愛いと思うけれど……和みすぎて、やっぱり気が抜けてしまう。
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「ああ、これは神狼の加護を溜め込むための寝巻きだ」
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「あー……うん、すごいね」
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今日はもう無理かもしれない。
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「それで真面目な話とは何だ?」
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「あー、うん……明日にしておく」
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私は苦笑しつつ立ち上がると、シャワールームを指さす。
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「シャワー借りるね」
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「それはいいが……」
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へんてこな寝巻きのまま、奈岐が腕を組んで考える。
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「鼎から見れば、この衣服は……変わっているのか?」
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「うん、かなり」
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どうせ嘘はつけないので素直に答えてから、
シャワールームに向かう。
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背後で何やら奈岐の考える声が聞こえてくるが、
今は気に留めないでおく。
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「見た目以上の通気性と肌触り、一般的に必要とされる条件は
(BROKEN:8_20)
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一番最初のところで躓いているのは……黙っておこう。
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シャワーを浴びた後、しばらくお世話になるであろうベッドで寝ることになる。
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何度か借りたベッドだからか、それとも疲れているのか、
眠りにつくまでさほど時間はかからなかった。
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seisai_no_resonance/sce06_04_05_0.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)