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seisai_no_resonance:sce06_04_02_0
物音がする。
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ドアを(BROKEN:8_20)
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「ナギっち、ここを開けてってば!(BROKEN:8_20)
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八弥子さん……?
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「ふざけるなっ!(BROKEN:8_20)
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「巫女候補はみんなして松籟会に尻尾を振ってばかりだ!
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「ナギっち……!」
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次第にドアを(BROKEN:8_20)
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「…………」
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目を開く。背中でドアを押さえる奈岐が見えた。
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しかめっ面で(BROKEN:8_20)
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「はぁ……やっと行ったか」
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苛立ちを隠せないため息の後、マントを引きずりながら、
ベッドの方へ歩いてきた。
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「……奈岐?」
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「気がついたか。朝まで起きないと思っていたぞ」
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奈岐がベッドの縁に腰をかける。
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「……中村真琴だが、部屋での謹慎処分に加え、
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「鼎、ここは奈岐の部屋だから安心してもいい」
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中村さん、か……。
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記憶を辿れば、これで命を狙われたのは二回目。
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どちらも助けがなければ、私は死んでいただろう。
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「奈岐……ごめん」
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「鼎は約束を守っただけ。謝る必要なんてない」
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でも、奈岐が駆けつけてくれなかったら、私はあのまま……。
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「奈岐が鼎に約束を守らせただけ。謝ることじゃない」
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「奈岐……?」
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奈岐の真剣な瞳が私を捉えて離さない。
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きっと考えを読んだ上での答えなんだろうけど……
いつもの奈岐とどこか違う雰囲気があった。
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「でも……ずっと隠してた奈岐の力も……
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「そんなの、どうでもいい」
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「奈岐……?」
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突き放すような奈岐の言葉にまばたきを繰り返す。
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「鼎が無事ならそれでいい」
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「…………」
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やっぱり様子が変だ。
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いつもなら中村さんを動けなくするような策を練ったり、
使ってしまった自分の力のことを考えたり……。
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奈岐は事態に対し、頭を働かせることを優先していた。
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感情的になったとしても、私には理解出来ない勢いで、
次々と論旨を展開させて、答えを出すのが奈岐だ。
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それが今は感情自体に起伏が無いような……。
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違う、状況に対して全く興味を持っていないように見える。
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「鼎……もう御花会には行かないで欲しい」
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「えっ……?」
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「今回は間に合ったけど、次は無理かもしれない」
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奈岐の細い指が私の手に絡み、強く握った。
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意識が状況ではなく、私に集中していることがようやく分かる。
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それだけ私は奈岐に心配をかけてしまったんだ。
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胸が締め付けられるように痛む。でも……。
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「奈岐……御花会に行かなかったら、巫女にはなれない」
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「――――」
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言葉と考えを同時に奈岐に伝える。
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驚き、目を見開いた奈岐が唇をわななかせた。
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その後、途端に奈岐の眼光が鋭くなる。
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「あの場には末来もいた。なのに、中村を止めていない。
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「でも、末来さんは……溺れた私を助けてくれたし、
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「そんな理由だけで……」
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「それだけじゃない」
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「末来さんって、私の記憶にあるお母さんにそっくりなんだ。
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違うのは髪色と仕草や口調ぐらいだと思う。
どこか優しげな双眸も……お母さんにそっくりだ。
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「…………」
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奈岐は僅かな間だけ考えるような素振りを見せる。
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その後、何を思ったのか、突然立ち上がると、
部屋の外へ向かって歩き出す。
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「片倉末来を連れてくる。この場で問いただして、嘘か真か、
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「ちょっ、ちょっと、奈岐!?」
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慌てて私が声を上げた時には、
もう奈岐は部屋から飛び出したところだった。
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ドアが閉まり、特殊な施錠音が響く。
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「……奈岐」
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暗い部屋の中、一人残された私は重い息を吐き出す。
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今、巫女のことを奈岐に言うべきじゃなかった。
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でも、言葉にしなくても奈岐には分かってしまう。
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奈岐が望む回答を心に持たない限り、
傷つけてしまう結果しか待っていない。
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私はうつ伏せになると、枕に顔を埋めた。
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自分の考えが――意固地になりそうな考えが、奈岐を傷つける。
そう思うと、心に恐怖が過ぎっていく。
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それは考えを見通される恐怖ではなく、自分の考えが奈岐を傷つけてしまうという恐れだ。
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奈岐を傷つけたくないという気持ち、末来さんを信じてお母さんに会いたいという気持ち――感情がせめぎ合う。
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勾玉を握り締め、落ち着くように自身に言い聞かせても、
気持ちは昂ぶったまま、私の胸を苛み続けた。
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きっと末来さんの真意を聞くまでおさまってくれない。
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自身の身体を抱くようにして、シーツの中に潜り込むと、
私は奈岐の帰りを待ち続けた。
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seisai_no_resonance/sce06_04_02_0.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)