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seisai_no_resonance:sce06_04_00_2
翌日の放課後――。
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謹慎処分を解かれた私は御花会の活動で呼び出されることとなる。
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場所は姫渡り海岸、何度もランニングでお世話になったところだ。
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そして、今日ここで行われるのは三度目の模擬戦である。
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模擬戦だからだろうか、しばらく御花会に顔を出していなかった
中村さんの姿もあった。
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相変わらず他のメンバーとは距離を置いて一人で佇んでいる。
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「カナカナ、今日はすぐに降参した方がいいよ」
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中村さんを横目で見ていると、八弥子さんが耳打ちしてくれた。
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「……降参って通じます?」
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「たぶんね。ヤヤの支援が無くなったら、そこで終わりだから」
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八弥子さんの力が無くなれば、単独という意味では同じ土俵かな。
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最もそこまでして模擬戦でやり合う必要なんてないはずだけど。
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「揃っているようですね。そろそろ時間ですわ」
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遠山先輩がそれぞれに視線を向けていく。
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一年生――由布に恵、三輪さん、中村さん、それから私。
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二年生は遠山先輩と八弥子さん。
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三年生は末来さん一人で、いつものように奈岐はいない。
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「初戦はもう分かっていると思うけど、鼎達だよ」
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末来さんに頷き、私はみんなから距離を取るために砂浜を歩く。
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そして、充分に距離を取ったところで振り返ると、
八弥子さんと――中村さんが私に視線を向けていた。
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「逃げると踏んでいたが、こうも都合よくやってきてくれるとは」
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潮騒の合間を縫うようにして、中村さんが私に言い放つ。
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「それ、とても物騒な発言に聞こえる」
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「(BROKEN:8_20)
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私を睨んだまま、中村さんが星霊石を手に取った。
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「禰津先輩、今日は幸魂の振りだけでお願いしたい」
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「えっ……?」
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「高遠鼎は一人です。対等に戦う方が訓練にもなるでしょう」
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正論に聞こえるけれど、その言葉の意味を考えるだけでも、
嫌な予感しかしない。
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「マコ、変なこと考えてるなら……ヤヤが止めに入るよ?」
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「余計なことは考えていません。ただ戦うだけです」
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「真剣に――戦うだけです」
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中村さんが握り締めた星霊石から火の粉が溢れ出す。
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蒼い炎――私と同じ炎の力だ。
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「…………」
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物言いだけな表情のまま、八弥子さんが一歩後ろへ下がる。
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それを見て、私もお母さんの勾玉を手に取った。
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「――ッ!」
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舞い上がる火の粉は中村さんとは異なる紅(BROKEN:8_20)
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一対一なら表面上は対等だと思う。
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でも、今までに見てきた中村さんの身のこなしは、
とても素人のものじゃない。
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付け焼き刃の感覚だけでついていけるかどうか……。
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「臆さず戦うか――殊勝な心がけだな、高遠鼎」
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吹き荒れる炎が砂浜を焼き付けていく。
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正面から睨み合いながら、互いの炎を限界まで増幅させる。
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そして集束――。
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中村さんの左手に巨大な剣が宿り、火の粉を払いのける。
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同時に私も炎を解き放ち、彼女に対抗できるだけの力を呼び出す。
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熱気をはらんだ剣を握り、切っ先を中村さんへ向ける。
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「――本気で来い」
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そして《死にたくなければ》と唇の動きだけで私に伝えてきた。
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隙があれば、私を狙う……その考えは確かで間違いないらしい。
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こんなところでやられるつもりは無いし、奈岐との約束もある。
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「言われなくても」
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砂浜に着けた足先の感覚を確かめる。
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震えも無ければ、恐怖も無い。
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これなら冷静にやれる。
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僅かに息を吸い込み、私は砂浜を蹴った。
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そして、炎同士が正面からぶつかり合い、戦いが始まる。
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seisai_no_resonance/sce06_04_00_2.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)