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seisai_no_resonance:sce06_03_17_2
キッと静かにブレーキ音を響かせ、バスが停車する。
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私とヤヤは座席に座ったまま、首を傾げた。
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近くにバス亭は無いのに停車した……?
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そんなことを思っていると、バスを止めた運転手さんが
私達の方へ歩いてくるのが見えた。
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「すまないけど、お嬢さん達、ここで降りてもらえるかな」
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「どういうことですか?」
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嫌な予感がした。
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いや、予感というよりもう確信に近い。
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「外で松籟会のお嬢さんがお待ちになっている。
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松籟会のお嬢さん――それだけで相手が誰か分かった。
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バスを止めるほどの用事だなんて、ろくなものじゃないだろう。
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「カナカナ、降りよう。学園と関係ない人に迷惑がかかる」
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それだけ松籟会の影響が強いということ。
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あれだけのリゾート地を見てきた帰りに、
やっぱり島を仕切る存在を感じることになるなんて。
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あんまり良い気分はしなかった。
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私達が降りると、停車していたバスがすぐに走り出していく。
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まるで逃げるみたい、そう思えてしまう。
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そして、私は道路脇に佇む人影を睨む。
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「言わずとも用件は分かるな?」
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「こんなところで捕まえるなんて、急ぎの用件なんだろうね」
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「時間が無いのは事実だ。それに聞きたいことが出来た」
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中村さんの腰には、いつか見た日本刀がぶら下がっている。
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何から何まで物騒だった。
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「理事長と秘書、向山奈岐はどこへ消えた?」
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「そんなこと知ってると思う?」
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「向山奈岐はお前が一対として選ばれた相手だ。
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私じゃなくても、と中村さんがヤヤを見る。
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「知ってても答えないけどねー」
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「禰津先輩、それは松籟会への反抗と見なされますよ」
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「理事長も松籟会の人なのに。行方を知らないなんて変なの」
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松籟会の内側から食い破る――そう言っていた鬼子の人。
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奈岐の言った通り、鬼子が二人も突然姿を消し、
松籟会は慌てて行動に出ていた。
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「……やはり聞いて答える人達ではない。
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そう呟いた中村さんが懐から星霊石を取り出す。
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「勝ち目なんてないのに?」
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「勝算がなければ、引き下がる許可は出ているでしょう」
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「ほうほう?」
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「禰津先輩、今回は勝算があるのです」
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中村さんが道路から見える海岸に視線を向ける。
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「場所を変えましょう。それともここでやりますか?」
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「ここじゃまずいよ。それはマコが一番分かってると思うけど」
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「二択です」
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中村さんが空いた手で刀の柄に手をかけた。
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巫女の力を使わずにやるか、それとも場所を変えて力を使うか。
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「カナカナ、先に寮へ戻ってて……と思ったけど、
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「先に帰るつもりも無いから。帰るまでがなんとやら、だよ」
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「あはは、そうだったね。じゃ、マコ、下で」
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ヤヤが防波堤に手をかけ、ひょいっと飛び乗る。
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「高遠鼎、勾玉をこちらへ渡せば、すぐに戦いを止める。
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中村さんは刀から手を離し、防波堤を乗り越えていく。
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「……物騒だなぁ」
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でも、中村さんが言ってる勝算って……?
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ヤヤに対して、昨日も一昨日も勝ち目なんて無いことを
思い知っているのに?
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どういうつもりなんだろう?
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「…………」
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ヤヤ達に遅れまいと私も海岸へ向かう。
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浜辺に出たところで中村さんが私達へ振り返る。
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「さて、これ以上は語るより力を使った方が早いでしょう」
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「うん、それは同意だけど、いいの?」
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「フッ、愚問ですよ。手ぶらで戻っていい指示は出ていません」
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中村さんが星霊石を輝かせ、炎の力を発現させていく。
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引くつもりもなく、脅しでもなく、本気だった。
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「ま、いいけど、怪我しても知らないからね」
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ヤヤが荷物とガジを下ろすと、星霊石を輝かせる。
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砂を舞い上げる風が吹きつけ、ヤヤの力が解放されていく。
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中村さんに何かなければ、ヤヤに勝てる要因が無いはず。
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でも、今のところは……いつもとの違いが分からない。
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ヤヤの力もいつも通りで、中村さんの炎も同じだ。
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ヤヤを中心に風が走り抜け、巫女装束と得物が出現する。
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「さて、マコマコ、どういうつもりかなー?」
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未だに読めない中村さんを挑発するようにヤヤが訊く。
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「それは私の刃を受ければ分かることでしょう」
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強くなった風を巨大な剣で切り、中村さんが構えを取る。
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「やれやれ、荒っぽいねー」
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「フッ――いきますよ」
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中村さんの炎が強まった瞬間、大剣を手にした彼女が駆け込む。
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ヤヤは鎖を振るい、その突撃を迎え撃った。
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seisai_no_resonance/sce06_03_17_2.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)