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seisai_no_resonance:sce06_03_14_2
時間は流れて、放課後が訪れる。
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結局、ヤヤからは何も聞き出せないまま。
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ただ一つ違うところで動きがあった。
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巫女候補達は授業終了と同時に、学園長室へ呼び出されている。
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おそらく模擬戦中止、巫女の内定の旨が告げられるのだろう。
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さて。
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みんなが呼び出しを受けているにも関わらず、
私がこんなところにいるのは理由あってのこと。
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「禰津さん、お待たせいたしました。あら、高遠さん……?」
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「やっほー、だいたい理由は分かってるから、
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階段に座っていたヤヤが立ち上がり、遠山先輩に手をあげる。
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放課後になって、ヤヤが遠山先輩から呼び出しを受けた。
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その事を知った私は知らぬ振りをして寮に戻ることが出来ず、
ヤヤについてやってきたわけ。
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「この件、くれぐれも内密に、と指示を受けているのですが?」
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「んー?(BROKEN:8_20)
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ヤヤが廊下へと視線を移す。
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その先では腕を組んだまま、柱にもたれている人影があった。
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「――否定はしません。勾玉を奪う指示は継続中です」
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「はぁ、中村さん、今は儀式に関しての指示を優先する時ですわ。
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「当然、優先するべきことは分かっています。
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そう語った後、中村さんが一瞬だけ私を睨み付けていく。
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隙あらば――そんな雰囲気が嫌な緊張感を呼び起こす。
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「……とにかく、既に存じているものとしてお話ししますが、
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「ただ元よりこの組み合わせは予定されておらず、
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「そこで松籟会から受けた指示は、禰津さんを相手にして、
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遠山先輩の話に私は眉をひそめる。
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「そちらは一対なのに、ヤヤは一人なんですか?
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ヤヤを疲労させた隙に私を狙うんじゃないか、そんな疑念を抱く。
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「カナカナ、心配いらないよー。ヤヤの家ってこういう時のために
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「……ヤヤ?」
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「いい意味でも悪い意味でも、力が他の血筋より強いんだよね」
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「そういうことです、高遠さん。禰津さんの家系は
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巫女候補……?
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それって、ただの練習相手って意味にしか聞こえない。
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「思うところはあるでしょうが、これも島のルールです。
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「……もう巫女候補じゃないからですか?」
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「そうです。それに残された時間は少ないのです」
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「時間?(BROKEN:8_20)
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「……今のあなたにそれを教えると思いますか?」
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ばっさりと切り捨てられた気がするけど、最もな言葉だった。
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今の私は問題視されて然るべき。
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無闇に情報を渡すことは出来ないだろう。
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「遠山先輩、学園長の話が終わる前に移動する必要があります。
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「そうですわね。禰津さん、ついてきてください」
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「ついてくる気満々のカナカナの名前は呼ばないんだ?」
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「……言うだけ無駄でしょうが、高遠さんは寮へ戻って下さい。
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遠山先輩が歩き出し、階段を下っていく。
その後ろを中村さんが続いていった。
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「だってさー、どうする?(BROKEN:8_20)
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「言うだけ無駄って言ってましたよ」
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私が戯けてみせると、ヤヤがクスクスッと笑みを浮かべる。
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「だよねー。じゃ、行こっかー」
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「うん」
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ヤヤに頷き、並んで遠山先輩達を追いかけていく。
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辿り着いた場所は立ち入り禁止の森だった。
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振り返った遠山先輩はわざとらしいため息をつき、
中村さんは腕を組み直して目を伏せる。
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「高遠さん、巻き込まれて怪我をしても責任は負えませんわよ」
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「今はそれ、警告じゃなくて脅しに聞こえますよ?」
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「私はあなたの身を案じて言っているのです」
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遠山先輩が心外だと抗議をするが、
隣にいる中村さんが失笑していた。
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「フッ、私達は松籟会に縁ある者、そう思われて当然でしょう。
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これは……脅しだろう。
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そんなあからさまな中村さんの態度に、遠山先輩が顔を顰める。
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「中村さん、いい加減になさい。それ以上はお爺様を通して、
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「ご自由に。聡明な遠山家なら、事故の一つや二つ――
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「…………」
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反論が出来ないのか、遠山先輩は唇を噛む。
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そんな二人の様子を見ていたヤヤが私の肩をつつく。
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「カナカナ、平気平気。むしろ事故が起きるのは、
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「ヤヤ……?」
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驚く私を余所に、ヤヤが一歩前へ歩み出る。
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「間違ってないよね?(BROKEN:8_20)
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「そうですね。その事故もあり得る話です」
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「…………」
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目を伏せた後、遠山先輩が重いため息をつく。
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「どちらもあってはならない事故だと、私個人は思いますわ。
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しかし、遠山先輩の鋭い言葉に返事をする者はいなかった。
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その代わりとばかりに、中村さんが星霊石を取り出し、
左手に握り締める。
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「時間が惜しい。始めましょう」
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「……中村さんは支援を。私が荒魂を務めます」
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「分かりました」
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遠山先輩が星霊石を手に力を解き放ち始める。
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「カナカナ、大丈夫だから。ガジと一緒に下がってて」
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ヤヤが頭に噛み付いていたガジを引き離して、
私の腕に抱かせた。
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「ヤヤ、ホントに一人で?」
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「ふふんっ、ちょっといいところ見せてあげるよ」
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笑顔を見せた後、ヤヤは手に巻いた数珠を輝かせていく。
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すぐさまヤヤが操る風が吹き始めた。
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「…………」
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私はガジを抱いたまま、後ろへ下がっていく。
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「さーて、久々に本気、出させてくれるかな?」
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ヤヤの右手で星霊石が眩い光を放つ。
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その輝きが増すにつれ、風がヤヤの周りで踊るように吹きすさぶ。
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ヤヤの風の力、何度か目にしてきたものと変わりない。
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本当に一対と一人で渡り合えるのだろうか?
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ゴッと一際鋭い風が吹き、星霊石の光が弾け飛んだ。
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突風とともにヤヤの姿が変貌する。
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鎖の付いた巨大な得物を両手に宿し、さらに風の力を強めていく。
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ザザッと周囲の木々が枝葉を揺らしてはさざめいた。
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「さて、こっちはいつでもいいよー」
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ヤヤが鎖を腕に巻き付け、遠山先輩達を呼んだ。
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「くれぐれも事故が無いように」
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既に姿を変えた遠山先輩が大鎌を振るう。
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その後ろでは支援に回っている中村さんの姿もあった。
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「ヤヤとカスミがやる分には問題無いじゃん」
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「そうあって欲しいものですわ」
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遠山先輩が大鎌を構え、戦闘開始の合図を口にする。
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「それでは、禰津家を相手に一対の訓練を開始します」
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「オーケー、かかっておいでよ」
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笑顔のまま、八弥子さんが鉄球を振るい上げた。
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そして、風の力が遠山先輩へ集中していき、
二人の戦いが始まる――。
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seisai_no_resonance/sce06_03_14_2.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)