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seisai_no_resonance:sce06_03_11_0
一息ついて冷静さを取り戻した後、
奈岐を交えて話の続きを再開した。
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八弥子さんはベッドの上であぐらをかき、
奈岐は椅子に腰をかけている。
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私は色々あって床で正座していようかと思ったけど、
真面目な話になるので、椅子をもう一つ借りておいた。
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「良くない知らせが二つと、普通の知らせが一つある」
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「いい知らせは無いんだ……」
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「だから、どれから聞きたいとは聞かない。順番に話す」
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奈岐は足を組みなおし、すらすらと言葉を続けていく。
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「明日の模擬戦が中止になり、今年の巫女は既に内定している」
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「わお……随分と早いね。カナカナが言ってた封印の関係かな?」
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八弥子さんが驚きを口にし、同じく私も目を瞬かせていた。
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「理由はそれで間違いない。即戦力となる巫女候補が少ないが故、
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「松籟会に縁のあり、実力もある候補がちょうど二人もいる。
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巫女は遠山先輩と中村さん……?
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奈岐の言葉を聞いて、僅かに疑問が生まれる。
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消去(BROKEN:8_20)
どうして八弥子さんじゃなくて中村さんを選んだんだろう?
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八弥子さんの方が実力では中村さんより上なのは確実……。
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「順当だね。選ぶとしたら、あの二人しかいないだろうし」
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「禰津、鼎が何故お前を選ばないのか、と不思議がっている」
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私の考えを見ていたのか、それとも表情が顔に出てしまったのか、奈岐がそんなことを言い出す。
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「……だって、八弥子さんは二年生ですし。あと、そうだ、
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「末来の奴は別件で動く必要があるから候補から外された」
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別件で動く……?
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別件ってまだ何かあるの……?
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「じゃあ、八弥子さんはどうして?」
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「んー、トップシークレットなんだけどねー。ナギっちには
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あっけらかんとした様子で八弥子さんが私に振り向く。
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「ヤヤの家はね、巫女候補にはなれても巫女にはなれないんだよ。
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「……?」
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巫女候補にはなれても、巫女になれない?
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松籟会に遠ざけられているとか、そんな理由だろうか?
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「巫女って、島のために選ばれて儀式を行うって意識が無いと
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「ほら、家のためとか、名誉のためとか、そんなのでも
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「問題なのが、自分の力に溺れちゃうタイプ。
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「だから、ヤヤはアウト。ヤヤのお家がそういうとこだから」
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重い話のはずなのに、八弥子さんはいつもの調子で語っていた。
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既に知っていたのか、奈岐は表情一つ変えずに腕を組んでいる。
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ぽかんと口を開いては呆気に取られているのは私だけ。
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「……八弥子さん、私からはそんな風に見えないです」
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まず最初に浮かんだ疑問がそれだった。
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「んー、人に見せるようなものじゃないしさ」
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ここで初めて八弥子さんが少しばつが悪そうに頬を掻く。
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この先はあまり踏み込んで欲しくないのかもしれない。
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「それって血の話……ですか?」
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以前に奈岐が言葉にしたことを思い出す。
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巫女の力に特化しすぎた血――今までに何人殺した、と。
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「そーゆー呪縛みたいなのってあるんだよね」
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八弥子さんが諦めたように息をつく。
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「禰津という家に生まれた限り、巫女には選ばれない。
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その力というものは気になるけれど……
それ以上は踏み込めなかった。
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「……だから、中村さんが選ばれたわけ?」
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話を元に戻して、奈岐に訊ねる。
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「異例の事態だけに松籟会の関係者というのも大きいだろう。
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「マコもカスミもお堅いしね。適任だと思うよ」
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確かに松籟会の意図通り、二人は動いてくれそう。
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特に中村さんは……私情もあるけれど、私の命を狙うぐらいだし。
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「で、ナギっち、今のが一つ目の悪い知らせ?」
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「ああ、それで二つ目は今年の巫女にはなれないという話だ」
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「もう選ばれちゃってる上に……私、学園長から巫女候補を
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それでも諦めずに方(BROKEN:8_20)
ここまで話が進んでいる以上、どうやって食い付いていくか。
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「うーん、カナカナの目は全然諦めていないねー。
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「そういう反応をしてくれると思っていた。
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奈岐が少し改まった様子で私を見た。
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「儀式までの間、私は理事長と行動する」
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「えっ?(BROKEN:8_20)
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「鬼が二匹集まって知恵を絞らねばならないほど、
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「それに……お前達へ情報を出来る限り流し、
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「……ありがたいけどさ、ナギっちはそれでいいの?」
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「いいも悪いも、鼎と禰津に私は酷いことをした。
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「奈岐……」
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奈岐は話を終えると、椅子から立ち上がる。
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「何か動きがあれば、すぐに連絡をする。明日から私と理事長は
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「まさか悪巧みしてるぞーってアピール?」
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「フッ、そういうことだ。もう奴らとの戦いは始まっている。
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「それは当然。奈岐も気を付けて」
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奈岐は私に一度頷くと、部屋の外へ向かって歩き出す。
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「そろそろ時間だ。禰津、後は頼んだぞ」
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「それはカナカナのことでいいのかな?」
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八弥子さんが茶化すように言うけれど、
奈岐の様子は真面目なままだった。
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「……ああ、そうだ」
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そして、そんな返事だけを残して部屋から出て行ってしまう。
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奈岐の背中が廊下に消え、部屋のドアが閉じられる。
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「ナギっち、ホントにいいのかなぁ……」
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僅かな沈黙の後、八弥子さんがそんなことを呟いていた。
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その言葉の意味するところが分からず、私は首を傾げる。
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「どういう意味ですか?」
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「んー……」
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八弥子さんが眉間に皺を寄せて考え込む。
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その結果、いい言葉が思いつかなかったのか、
誤魔化すようにニコッと笑ってみせた。
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「ここは秘密ってことで」
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珍しく秘密と言った八弥子さんに追及することは出来ず、
私は苦笑いを浮かべる。
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その後は何事も起きず、無事に夜を迎え、
食事を取り、ベッドに入ることが出来た。
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巫女候補のみんなは、まだ内定の話を知らされていないのか、
いつも通りで――。
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少し変わったことと言えば、明日の模擬戦が中止になったという
話題が出たことぐらいだった。
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seisai_no_resonance/sce06_03_11_0.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)