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seisai_no_resonance:sce06_03_07_0
理事長室に行くと、秘書の人が待っていて、
こうして食堂にまで案内されてしまう。
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「こちらで頼継様がお待ちです」
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「ど、どうも」
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日当たりのいいテーブル席で、
銀髪の青年が優雅に紅茶を傾けていた。
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どう見ても朝食後のティータイムといった様子。
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「やあ、おはよう。時間通りだね」
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「……おはようございます」
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ティーカップを置くと、理事長が私に顔を向ける。
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すると、私の手に抱かれたガジに気付いたのか、
少し驚いたように眉をあげた。
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「その猫はキミの猫だったかな?」
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「八弥子さん――禰津先輩の子です。えっと、私の護衛に」
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「あっははっ、そうかい、護衛か。優秀な護衛がいるから、
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楽しげに言った後、理事長は向かいの席に手の平を向ける。
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「ま、座りなよ。立ち話もなんだしさ」
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「どうも……」
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返事をしてから理事長と向かいの席に腰をかけ、
何となくガジを前にして盾代わりにしておく。
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私が着席するのを見てから、理事長は早速と話を始める。
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「わざわざ朝一でキミに来てもらった理由は二つだ」
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理事長はまず一つと人差し指を立てた。
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「一つ目は、キミが持つ勾玉の危険性だ。
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「学園長と……あと向山先輩からも」
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「うん、伝言が行ってくれたようで何よりだ。ま、危険なんだよ。
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「で、松籟会も学園もその力を使わせたくない。当然の反応だね。
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「そこで僕からも一言。あまりその力を使わないで欲しい。
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理事長が指を二本立てて、二つ目をアピールする。
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「松籟会がさ、これ以上の勾玉の使用を怖がっててね。
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「松籟会の人が……私に何かするんですか?
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「ご明(BROKEN:8_20)
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「勾玉を今ここで僕に渡すか、自分で守り抜くか――」
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「…………」
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理事長は小皿においてあった飴玉を指先で摘み、
もぐっと口の中にくわえこむ。
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「ただキミとしては勾玉を手放したくないだろうし、
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「……?」
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勾玉を渡すように言われると思っていたら、
そんな言葉が聞けて、若干拍子抜けする。
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「だったら、どうするか。答えは一つだ。
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「ただし、キミ一人の力じゃ松籟会の人間には敵わない。
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「相手は実に狡猾だ。そこにいる猫が狩りをする時と同じさ。
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理事長が手先をぱくぱくと動かして、
何かを囓る仕草を真似してみせた。
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「…………」
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でも、私の反応が今一つなのを見ると、
やれやれと肩をすくめてしまう。
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「話はそんなところさ。ちなみに松籟会が動きだしたって話は
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「奴らはもう動いている。キミがその勾玉を守りたいなら、
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「ただし、あまり力は使わないでおくれよ?」
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話は終わり、と理事長が手を広げた後、ティーカップを掴む。
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「……どうして私にそんなことを教えてくれるんですか?」
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「最もな質問だ。だから、最もな回答を返そう」
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理事長が唇の端をつり上げ、
どこか不敵に思える笑みを浮かべた。
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「僕は松籟会が大嫌いだからさ」
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「えっ……」
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「おっと、今の発言は秘密にしておいておくれよ。
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理事長自身も確か松籟会に属しているはずなのに……。
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でも、嫌いだから松籟会の考えに背く行動を取ることに疑問は……無いような、あるような?
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「内部から食い破るために僕は松籟会にいる。
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「えっと、私にそんな秘密を教えてもいいんですか?」
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「んー、いいんじゃないかな。今のキミが松籟会と仲良くする
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随分とアバウトな考えを披露されてしまい、
再び呆気に取られてしまう。
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「だから、僕は味方だ、なんて胡散臭いことは言わないよ。
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「まあ、確かに……わざわざ言う必要は無いですね」
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「そういうこと。さて、質問は終わりかな?」
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「あ、はい……ええと、ありがとうございました」
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席を立って、一応頭を下げておくと、理事長が笑い声をあげる。
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「あっははっ、律義だね。いいよ、気にしない。
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「……分かってます。それでは、失礼します」
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「それじゃあね」
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軽く手を振った理事長に再び頭を下げて、
食堂の出口に向かっていく。
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秘書の人がすぐに出口の扉を開いてくれたので、
こちらにも頭を下げて食堂を出て行った。
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「んー、行ったか。昌次郎、中村家がもう動いているはずだ。
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「もう気付いているかもしれないけどね。
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「かしこまりました」
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seisai_no_resonance/sce06_03_07_0.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)