User Tools

Site Tools


seisai_no_resonance:sce05_04_17_0
時間は進んで、夕食後――。
>

由布に一言断ってから、こそこそと奈岐の部屋にやってきていた。
>

謹慎といっても、それほど厳しいわけではなく、
思いの外、自由に動いてもいいらしい。
>

その理由として、巫女候補が謹慎中なんて他の学生に知られたら、御花会の尊厳に関わる――というものがある。
>

「謹慎中、本当に外へ出ないつもりか?」
>

「巫女の力を使って、また事故でも起こしたら、
(BROKEN:8_20)
>

「……でも、何もしないのは暇だ」
>

少し拗ねたように言った奈岐がベッドで横になる。
>

その時、部屋のドアが元気よくノックされた。
>

「やっほー、ナギっち、カナカナー」
>

と、こちらも元気な八弥子さんの声が聞こえてくる。
>

「禰津の奴か……入れてもいいぞ」
>

部屋の主の許可が出たので、私は複雑な構造になっている鍵を
一つずつ外して、ドアを開ける。
>

「二人とも元気してるー?(BROKEN:8_20)
>

「耳が早いな、御花会で話があったか?」
>

奈岐が身を起こし、八弥子さんに顔を向けた。
>

「うん、今日の御花会でね。例の火事と落石の件も含めて、
(BROKEN:8_20)
>

「私と奈岐の行動、全部明るみにされたわけですね」
>

八弥子さんの頭についていたガジが飛び降りて、
奈岐のところへ駆けていく。
>

「その情報は学園と松籟会の耳にも入るだろう。
(BROKEN:8_20)
>

ベッドの上に来たガジを抱きかかえながら奈岐がため息をついた。
>

「んー、穢れを独自に祓ってるって聞いたけどさ、
(BROKEN:8_20)
>

「それは私と鼎だけの秘密になっている」
>

「えぇ~……ナギっち、つれない」
>

「前にも言ったが、危険なことだ。禰津は関わらない方がいい」
>

「また、それ?(BROKEN:8_20)
>

頬を膨らませた八弥子さんが空いているベッドで横になる。
>

分かりやすく拗ねた様子に少しだけ苦笑してしまう。
>

でも……危険なこと、か。
>

以前に奈岐が八弥子さんは戦うべきじゃない、と言っていた。
>

その理由は聞き損ねていたけれど……と考えていた時、
奈岐が視線で私を呼ぶ。
>

「……?」
>

私が歩み寄ると、小声で耳打ちしてきた。
>

「――鼎、それは禰津と私の秘密だ」
>

八弥子さんのため、触れない方がいい話なのかな?
>

そういうこと、と奈岐が頷いていた。
>

でも、気になってしまう……という考えを強引に振り払い、
奈岐のところにいたガジの喉を撫でる。
>

「ね、カナカナ、次の模擬戦も一人で参加するつもり?」
>

「うーん、奈岐を説得出来たとしても……
(BROKEN:8_20)
>

「んー?(BROKEN:8_20)
>

起き上がった八弥子さんが不思議そうな瞳で私を見る。
>

「もし本気出して炎と氷でぶつかっちゃうと、
(BROKEN:8_20)
>

「あー、そういうことかぁ……どーんっ、だよね?」
>

「どーん、ですね。霧も出て、問題になるかもしれません」
>

私と奈岐が謹慎中は静かだろうけど、また霧が出て、
騒ぎになるのは大問題だろう。
>

「ナギっち、何かいい方(BROKEN:8_20)
>

「まだ一度失敗しただけだ。二度目は時間をかけすぎて、
(BROKEN:8_20)
>

「でも、どっちが助けるにしても相性悪いよね?」
>

眉を顰めた奈岐が腕を組んで考え込む。
>

「……お互いに衝突しない範囲を見極めるしかない」
>

実戦……やっぱり経験が必要、かぁ。
>

「どこかで練習出来たらいいんだろうけど……うーん?」
>

「どこか、か……」
>

何かを思いついたのか、奈岐が立ち上がると、机の上にある本を
片付けて、地図を広げた。
>

「昼は論外として――夜、寮から死角になる場所を探す」
>

私と八弥子さんが顔を見合わせ、奈岐のいる机に向かう。
>

「ねえねえ、ナギっち、夜ってまた出歩くつもりなの?」
>

「それしか試す方(BROKEN:8_20)
(BROKEN:8_20)
>

奈岐が細い指を広げて、寮との距離を測っていく。
>

「うーん……前に行った海岸は?」
>

「森を抜けたところか。そうだな、あそこなら人目につかない
(BROKEN:8_20)
>

奈岐の力を初めて見た海岸を思い出す。
>

北に向かって起伏になっているなら、森の木々があの海岸を隠してくれるはず。
>

奈岐がマーカーを取り出すと、地図に印を入れる。
>

「鼎、明日にでも行ってみよう」
>

「明日って……奈岐、謹慎は?」
>

「処分より、私は鼎との関係を優先する」
>

「関係を優先って……それ、ちょっと違う意味に聞こえたり」
>

「そ、そんな意味じゃ……!」
>

言ってから自分の言葉の恥ずかしさに気付き、
奈岐の顔が赤くなっていく。
>

「ガジ、聞いた?(BROKEN:8_20)
>

「ち、違うっ!(BROKEN:8_20)
>

「えっ、言葉のあやなんだ……ちょっと寂しいな」
>

心の中で、ちょっと寂しいのは本当、と繰り返しておく。
>

「っ……か、鼎っ!(BROKEN:8_20)
>

「お、修羅場の予感。こうなったらヤヤはお邪魔かなー?」
>

「禰津、悪乗りするなっ!(BROKEN:8_20)
>

奈岐はマーカーを放り出し、ベッドでシーツにくるまってしまう。
>

私と八弥子さんはそんな奈岐を見て、吹き出すように微笑む。
>

《ごめんごめん、ちょっと私も悪乗りしちゃった》
>

と心の中で謝っておく。
>

「……ん?」
>

しかし、奈岐からの反応は無く、シーツにくるまったまま。
>

「あーあ、ナギっち、拗ねちゃってる」
>

「す、拗ねてないっ……!」
>

シーツから顔だけ突き出して、八弥子さんに抗議する。
>

あれ、さっきの聞こえてなかった……?
>

「さっきの……?(BROKEN:8_20)
>

「あ、ううん、何でもないっ」
>

さっきの心の声が届いてない……?
>

もしかして、シーツに隠れていたから?
>

私が考えを巡らせていると、奈岐はどこか納得したように
口元を緩ませる。
>

「ああ、そういうことか――」
>

「この目で見ないと分からない仕組みだ」
>

なるほど。そういえば……理事長は考えを読むことを、
覗き見る、と繰り返していた。
>

そっか、テレパシーみたいな感覚で考えていたけど、
目で見て、ようやく知ることが出来るんだ。
>

「ん~?(BROKEN:8_20)
>

「ふふんっ、そんなところです」
>

もう一つ奈岐のことが分かった気持ちが嬉しくて微笑んでしまう。
>

「へぇ~、ヤヤが知らない間に二人ともラブラブだ」
>

「ね、禰津っ……それは……その……なんでもないっ!」
>

口籠もった奈岐が再びシーツの中に隠れてしまった。
>

「あ、否定しなかった」
>

「否定しなかったねー」
>

「ううぅぅー……二人とも、覚えておけよっ……」
>

一度照れ出すとなかなか戻って来られない奈岐を眺めながら、
私と八弥子さんは再び吹き出して微笑む。
>

そんな楽しい時間を過ごしている間にも、
謹慎一日目の夜が更けていく――。
>
seisai_no_resonance/sce05_04_17_0.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)