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seisai_no_resonance:sce05_04_16_0
部屋に戻り、しばらくすると謹慎処分の連絡が来た。
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三日間の謹慎後、延期されていた模擬戦で御花会に合流すること、という旨――。
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謹慎が解かれるタイミングを模擬戦に合わせてきたのかもしれないけど、奈岐は参加してくれないんだろうな……。
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そうして、ため息をつくのは私も遠山先輩も同じこと、か。
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あとは謹慎中にこなしておく課題が大量に押しつけられる。
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これはこれで難敵だ。
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「さて……どこまで有意義に時間を使えるかな」
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先に課題をこなすか、奈岐から預かったノートに目を通すか。
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悩みながらの謹慎生活がスタートした。
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数時間後――
結局、私は課題に手を付けず、奈岐のノートに目を通していた。
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「特徴に形態に……出現時期……うーん」
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穢れについての知識を奈岐のノートから再確認していく。
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穢れを祓えるのは巫女の力のみであり、海水で清めることや、
直接的な攻撃――岩で押し潰すなど――は効果が無い。
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ただし、穢れの身体に大きな損傷を与えることが出来れば、
その再生に時間がかかるため、隙が生じる。
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肉体再生中、黒い霧のようなものが穢れの身体を構築していく様子を確認した。
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霧の正体は分からないが、穢れは肉体を持つ化け物というより、
霊的な存在に近いものだと断定出来る。
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その理由として、穢れを祓った時に痕跡一つ残さないというものが一つ――完全に奴らは実体を残さず浄化されてしまう。
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二つ目、実体は無いが見鬼の業をもって、奴らを観(BROKEN:8_20)
はっきりと魂のようなものが確認出来る。
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「これって……」
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「幽霊か妖怪かは、実体を持つか否かで論じられるところだが……
(BROKEN:8_20)
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「その理由は?」
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「何も残らないからだ。それに――いや、それだけだ」
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「あの時……奈岐が言いかけたこと」
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私はノートに再び目を落とす。
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その魂は淀んだ空気のようであり、言葉にするのは非常に難しい。
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そして、そこから聞き取れる声は叫び――悲鳴だ。
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頭が割れるような絶叫をあげるため、長時間にわたって、
見鬼の業で観(BROKEN:8_20)
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もし一対の御魂を体現し、巫女の力で奴らの悲鳴による意識への
被害を緩和できるなら……《声》を聞けるかもしれない。
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「巫女の力……もし私が奈岐の力になることが出来れば……」
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そこまでノートに目を通した時だった。
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コンコンッと、ドアが控えめにノックされる。
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「はい?」
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「私だ。今、平気か?」
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「あ、うん、大丈夫だよ」
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開いていたノートを閉じて、部屋の入口へ向かう。
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ドアを開くと、いつものマントを羽織った奈岐がいた。
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「鼎、暇で死にそうだ……」
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「あはは……でも、謹慎中だよ?」
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誰かに見られるのはまずいと思い、奈岐を部屋の中へ招く。
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「寮から出なければ問題ないだろう」
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それはそうかもしれないけど、と考えていると、
奈岐が私の机に置かれた課題の山に手をかける。
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「では、出された課題を二人で処理するという名目でどうだ?」
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「む……奈岐、ずるい。それは断れないよ」
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「フッ、今日一日で課題を終わらせて、
(BROKEN:8_20)
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不敵な笑みを浮かべた奈岐が課題の参考書を開く。
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「奈岐の分は?」
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「私?(BROKEN:8_20)
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「それって、ズルしたの?」
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「いいや、三日分の課題程度では私を半日も拘束出来ないからだ」
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もしかして、奈岐ってもの凄く成績とか良かったり……?
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「――私は<RB='はた'>端<RB>から見ても特別だからな」
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そう言った奈岐が特別の証拠である髪を掻き上げる。
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「はぁ……神狼様は頭もいいんだね、うらやましい」
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やれやれと苦笑しながら、由布の椅子を借りて、
奈岐と一緒に机に向かう。
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そして、言葉通り――奈岐は半日とかからずに、
私の課題まで片付けてしまった。
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seisai_no_resonance/sce05_04_16_0.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)