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seisai_no_resonance:sce05_04_10_0
夕食後――人目を盗むようにして、奈岐と待ち合わせている玄関へ向かう。
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門限はとうに過ぎているので、玄関付近に他の学生の姿は無い。
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靴音を鳴らさないようにして、壁沿いに歩いていると、
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「鼎はおでかけ?」
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「――ッ!?」
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首筋を突かれて、変な声が出そうになったのを必死に堪える。
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「み、末来さんっ……声をかけるのはいいにしても、
(BROKEN:8_20)
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「変な声出る?」
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「出そうでしたっ」
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素で言ってるのか、天然なのか――あまり考えないようにして、
ため息をついておく。
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「外に出るなら気を付けて。昨晩のことでみんな過敏になってる」
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「昨日の……はい、分かりました」
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連日の靄、火事に落石……注意が行って当然だと思う。
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「あの、末来さん、昨日はありがとうございました」
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ちょうど周りに人がいないので、今のうちにお礼を伝えておく。
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あの大惨事の後、私を寮まで運んでくれたのは末来さんだ。
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「当たり前のことをしただけ。きっと鼎達だって分かってたし」
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「鋭いですね」
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「氷と炎、相性は良くないからね」
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末来さんの言葉に僅かな違和感を覚えて首を傾げる。
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氷って……?
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「末来さん……奈岐の力のことを知っていたんですか?」
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話をした八弥子さんは別として、奈岐の力のこと、私以外に知っている人はいないはず。
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「力は人の本質を現す。見ていればすぐに分かるよ」
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「あはは……末来さんには敵いませんね」
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さらりと奈岐の力を見抜いていたなんて、
本当にこの人は凄いところにいる気がする。
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「そんな末来さんに一つアドバイスをもらってもいいですか?」
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「何かな?」
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微笑む末来さんに対し、私は開きかけた唇を閉じて首を振るう。
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「んー……すみません、やっぱり止めておきます」
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「きっと自分達で何とかしないといけないことなんで」
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奈岐の氷と上手くやれる方(BROKEN:8_20)
ここで正解をもらってしまうのも違う気がした。
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「……うん、分かった。鼎、気を付けて」
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「はいっ」
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小さく手を振ってくれた末来さんに頭を下げて、
私はこそこそと寮の玄関へ向かっていった。
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寮の外に出て、奈岐の姿を探すと、木の陰から長いマントが覗いているのが見えた。
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「お待たせ」
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声をかけると、奈岐がすぐに顔を見せ、私と並んで歩き出す。
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「……鼎、無理していないか?」
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「ん、無理?」
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寮から少し離れたところで奈岐が立ち止まった。
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「疲れていると顔に書いてある」
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「うーん……今日も御花会の練習がきつくてね。
(BROKEN:8_20)
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腕まくりの仕草でやる気をアピールしてみたけれど、
奈岐の表情は晴れない。
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「嘘だな……いいや、真実ではあるが、疲労は御花会だけの
(BROKEN:8_20)
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「あはは……やっぱり、私、嘘もはったりも苦手かも」
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「ここで話してると先生に怒られそうだし、
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「……分かった」
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今日は私が率先して歩き出すと、その後ろにマントをずるずると
引きずる奈岐が続いた。
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「――――」
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seisai_no_resonance/sce05_04_10_0.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)