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seisai_no_resonance:sce05_04_06_1
左右から迫った穢れの爪に対し、剣を大きく振るって弾き飛ばす。
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「はぁっ、はぁっ……二匹同時は……なかなか……」
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一度倒したものの、まだ力が残っていたのか、
穢れ達は起き上がってきた。
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息が上がり、流れる汗の玉が顎を伝って地面で弾ける。
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二匹を相手に体力が全然追いついていない。
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戦い続けても追い詰められるだけなのは目に見えている。
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「どうすれば……」
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片手で額の汗を(BROKEN:8_20)
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「巫女の力はですね、誰にでもすぐ使えるものじゃないですから。
(BROKEN:8_20)
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「ほら、今まで運動してなかった人がいきなり長距離走に
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「巫女の力も同じようなものです。普通の学生だった高遠さんが、
(BROKEN:8_20)
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私って、もしかして力の使い方……間違ってる……?
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一つの行動に対して、割り振る力を間違えているから、
すぐに体力が無くなってしまうんじゃ?
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先生に言われた通り、力の使い方に慣れていない証拠だ。
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長距離走に対して、ずっと全力疾走していたら、
どうなるかぐらい想像出来るはずなのに。
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「今、気付いても……遅いよね」
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ずしりと剣の重さが両手にのし掛かってきた。
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まずい、昼間の疲れも含めて……身体が本格的に疲労している。
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左右から距離を詰めてくる穢れを睨みながら、
じりじりと後退していく。
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そうしていると、肌を突き刺すような気配がさらに強まった。
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「ま、まずい……」
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足止めをされていた穢れが二体同時に合流してくる。
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これで四対一……絶望的な状況に嫌な汗が頬を伝っていく。
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その時、肌に僅かな冷気を感じた。
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「鼎っ!(BROKEN:8_20)
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「奈岐っ……!」
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奈岐の声が背後から響き、私は最後の力を振り絞るようにして、
地面を蹴る。
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大きな岩を足場にして跳躍を繰り返し、
声が聞こえた方へ登っていく。
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穢れがすぐ後を追ってきているのが気配で分かる。
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「鼎、まだやれるか?」
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力を解放し、姿を変えた奈岐――
その周りの地面は昨晩と同じように凍り付いている。
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「け、結構……限界かも」
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何とか上まで登って来れたけど、ここから戦うのは……。
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肩で息をしながら、剣を杖代わりにして寄りかかる。
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「フッ、既にチェックメイトだ。あと一手で勝負は決まる」
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「既に、って……何をすれば?」
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奈岐は得意げな笑みを浮かべたまま、両手を少し広げた。
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「この付近、岩の下をくぐるようにして氷が展開してある。
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「そんなことしたら、また――あ、そうか」
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頭の中でぴたりと符合が繋がった。
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「鼎、合図を出す。やれるか?」
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「任せて……!」
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凍てついた地面に剣を突き立て、柄を握る手に集中する。
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炎、揺らめく火炎を頭の中で構築していく。
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「目視――来るぞ」
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奈岐が作った氷を全て溶かしてしまうほど……
ううん……違う、一瞬で気化させるほどの炎を解き放つんだ。
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事故じゃなくて、今度は<RB='・・・'>わざと<RB>。
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「鼎、今だっ!」
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穢れの影が岩場を這い上がってきたタイミングで、
私は剣に溜め込んだ全ての熱を解放させる。
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「全部――燃えろッ!!」
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湧き出るようにして火の粉が舞い、一呼吸置く間も無く、
剣を中心に業火が広がった。
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そして――ドンッと身体を揺さぶる衝撃が駆け抜ける。
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昨晩と同じ爆発が起こり、周囲を濃い霧が覆う。
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一瞬で気化した氷――そして、その衝撃があれば。
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「この距離なら、落石を回避することは出来ない」
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足場を構成していた大岩が衝撃で揺れ動き、
土煙と共に崩壊を始める。
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「鼎、掴まれ!」
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完全にガス欠状態だった私の手を奈岐が引き、
安全圏へ飛び移っていく。
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その間にもゴゴッと爆音を響かせ、無数の大岩が穢れ達へ迫る。
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崩れる岩は急斜面でさらに加速し、避けることも出来ない穢れ達を呑み込んでいった。
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岩に岩が積み重なり、穢れの存在をいとも簡単に押し潰していく。
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「見事だ。よくやってくれたな、鼎」
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「あはは……もう立ってられないかも」
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まだ続く落石を目で追いながら、私はその場で膝をついた。
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力の本流が集束、勾玉と化し、私を元の制服姿に戻す。
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「鼎、後は私がやる――そこで休んでてくれ」
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「後は……って、でも穢れはもう」
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「やはり巫女以外の力では奴らを倒せない――祓えない」
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鋭くなった奈岐の視線の先、崩壊した岩場に黒い影が揺らめく。
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羽虫が群れたような塊は、次第に見覚えのある姿を作り出す。
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「そんな……岩に押し潰されたのに……!?」
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「だが、再生しているとしても効果はあった。今が好(BROKEN:8_20)
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奈岐の両手に冷気が集まり、二振りの短刀が宿る。
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「――奴らが再び行動を開始する前に(BROKEN:8_20)
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トッと小さく岩を蹴る音が聞こえたかと思えば、
奈岐の姿がかき消え、穢れ達へ向かっていく。
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岩場が崩れた急斜面を奈岐が滑空する。
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「悲鳴を上げてくれるな……頭に響くっ!」
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同時に左右の短刀を交差させ、再生中だった穢れを切り裂く。
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すると、祓った時と同じように、穢れが光の粒に変化する。
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「一匹っ!」
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すぐさま短刀を連続で投げつけて、再生中だった穢れ二体を祓う。
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「三匹っ!」
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無数に湧き起こる光の中、奈岐は岩を蹴って跳躍し、
両手に生み出した氷の刃を最後の一匹に突き立てる。
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完全に再生しきっていない穢れは悲鳴もあげられず、
光となり、巫女の力で祓われていった。
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「これで四匹、全部仕留めたか……」
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短刀を虚空へ還した奈岐が長い息を吐く。
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「巫女の力でしか倒せない――断定こそ出来ないが、
(BROKEN:8_20)
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空へ還る光の粒を目で追いながら、奈岐が静かに呟いた。
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何とか終わった……これで終わったんだ。
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「あ、あれ……?」
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安心した途端、身体から力が抜ける。
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上半身からバランスを崩して、地面に身体が引き寄せられていく。
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「鼎っ!?」
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奈岐の表情が驚きに変わり――。
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倒れると思った瞬間、意識がブラックアウトする。
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だからだろうか、地面に身体をぶつけた衝撃は無かった。
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seisai_no_resonance/sce05_04_06_1.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)