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seisai_no_resonance:sce05_03_10_0
「八弥子さん、末来さんって部屋に戻ってます?」
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「んー?(BROKEN:8_20)
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八弥子さんが階下に広がるロビーを見た。
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「ミライっち、寮長だしさ、夕飯時に学生が揃ってるか、
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「でも、どうして急にミライっちの話?」
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振り返った八弥子さんが顔を傾ける。
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「末来さんが奈岐を連れて帰ってきたわけですし、
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「おー、いい案かもね。どうやってナギっちを捕まえたのかも
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「分かりました。それじゃあ、また後で、ですね」
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「うん、また後でねー」
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八弥子さんはもうしばらく粘ってみるつもりなのか、
奈岐の部屋のドアへ向かった。
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夕食の時間が近いからか、食堂は喧噪に包まれていた。
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私服姿の学生達が行き来し、グループごとに分かれては
談笑を繰り返す。
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私のことに気付いている学生も少なく、
気楽に末来さんを探すことができる。
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「ん、鼎?(BROKEN:8_20)
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末来さんは入口から少し離れた場所でノートを手に、
点呼の準備を行っていた。
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「その奈岐のことで相談があって……今、大丈夫ですか?」
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「うん、鼎の相談なら大丈夫」
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少しだけ微笑んで、いつものごとく特別待遇にしてくれる。
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でも、忙しそうな雰囲気は伝わってくるので手短に……。
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「ありがとうございます。それで……奈岐なんですけど、
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「――奈岐らしいね。こうなるのは分かってた気がする」
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「末来さん?」
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末来さんは目を伏せた後、僅かに息を漏らす。
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「奈岐はね、独りでいるのが怖いんだよ。友達を失いたくない。
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「……でも、閉じこもっていたら、独りと変わりないですよ」
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「鼎と友達でいる事が揺らいでしまう現実から、
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「…………」
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私が怒ったから……友達じゃなくなると思っている?
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「……奈岐と友達だから私は怒ってるんです」
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「それでいいんだよ。その事を奈岐に伝えてあげるんだ」
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「また逃げ出したりしませんか……?」
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「もう逃げないよ、きっとね」
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不安げに末来さんを見上げた途端、頭を撫でてくれる。
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私がそうすることが分かっていたようなタイミングで、
驚きでまばたきを繰り返してしまう。
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「鼎、そろそろ夕食の時間。奈岐のところに行くのは、
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「……夕食の時間」
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些細な言葉でも、周りの喧噪が聞こえなくなる。
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末来さんとの会話が日常的であればあるほど、
その影がお母さんと重なっていく。
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だからだろうか、自分でも不思議に思うようなことを、
末来さんに訊ねていた。
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「あの……末来さんって料理得意な方です?」
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「ん?(BROKEN:8_20)
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「えっと……ぜひ、(BROKEN:8_20)
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「うん、分かった。楽しみにしてて」
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お母さんの料理はお世辞にも上手とは言えなかった記憶がある。
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末来さんの料理はどうなのだろう?
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無意識でそんな比較して、また影を重ねようとしてしまう。
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「あ、その、変なこと聞いてすみませんでした……」
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「ううん、楽しみが一つ増えた」
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そう言って末来さんは微笑んでくれるけれど、
これ以上、作業を邪魔してしまうのも問題だ。
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「それじゃあ……ありがとうございましたっ」
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「うん、またね」
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私は頭を下げると、落ち着けと自分に繰り返しながら、
空いているテーブル席を探し始めた。
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seisai_no_resonance/sce05_03_10_0.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)