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seisai_no_resonance:sce05_03_07_0
森を抜け、寮前まで戻ってくる。
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寮には静けさが漂っており、
学生がまだ戻ってきていない様子だった。
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「さて、高遠さん、繰り返すことになりますが、
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「えっと……もちろん、ですっ」
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無理矢理にでも笑顔に作って頷いておく。
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結局、ここに帰ってくるまでの間、私の質問という質問は
全てお小言で返されてしまった。
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末来さんと祠にいた理由も聞けずじまい……。
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「私は学園へ戻りますが、高遠さんはくれぐれも
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「も、もちろんですっ」
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「目が泳いでいますよ?」
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「あはは……」
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その指摘には苦笑しか出来ない。
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学園長は腕時計を見やった後、足先を校舎へ向けた。
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「さて、もうすぐ授業も終わる時間です。
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「はいっ……失礼しますっ」
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学園長の言葉を聞くや否や私は寮内へ急ぐ。
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長居すればするだけ、まだまだお小言が待ってたことだろう。
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部屋に戻ってしばらくすると、
窓の外から学生達の話し声が聞こえ始めた。
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授業が終わって寮へ戻ってきたところなのだろう。
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窓の外を見てみたが、御花会のメンバーが見当たらないことから、今日も練習に行ったのかもしれない。
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当然ながら目立つ奈岐の姿は学生の中に無かった。
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「末来さんから連絡が来るまで……部屋で待(BROKEN:8_20)
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学園長のお小言を思い出しながら、机の上にある謹慎処分の書類を手に取る。
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すると、書類の下からプリントが一枚ひらりと床に落ちた。
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朝は気付かなかったけど、何か連絡事項がまだあるらしい。
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「うっ……」
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手に取った瞬間、その内容に思わず呻いてしまう。
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ずらりと箇条書きにされているのは、謹慎中の課題リストだった。
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しかも、多い……。
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「これ、三日間で終わるのかな……?」
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ちゃんと謹慎していれば終わる量かもしれないけれど、
これには頭を抱えてしまう。
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とにかく、末来さんから連絡があるまで、
今日の分だけでも片付けておかないと。
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いそいそと机に向かい、課題の教科書と睨めっこを開始した。
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「ぐふっ……」
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数時間が経過した頃、部屋に夕陽の赤が零れ始める。
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私は、といえば……本土よりも進んでいる問題集に呻いて、
机に突っ伏したところ。
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真面目にやっても、あと二日で終わる気がしないから、
いっそ言い訳でも考えた方がいいのだろうか。
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いやいや、下手な言い訳をするぐらいなら、潔く……。
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そんなことを考えていると、部屋のドアがノック無しに開かれる。
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「あれ、意外。ちゃんと謹慎してる」
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「おかえりー……意外も何も課題があるんだよ」
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御花会から帰ってきた由布に対して、課題のプリントをひらひらと振るってみた。
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「授業が無い分だけ課題が出るのは当然ね」
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「ごもっともです……」
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制服から私服に着替え始めた由布を眺めつつ、再び机に突っ伏す。
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「何……じろじろ見ないでよ」
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「じゃあ、課題手伝ってくれたら見ないっ」
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「却下。この後、神住姉様に呼ばれてるから」
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由布も由布で勉強熱心というか何というか……。
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神住先輩には嬉しい話なんだろうけど。
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「何か言いたそうね?」
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着替えを終えた由布が半眼で睨み付けてくる。
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「んー、由布って鈍感な方だよね?」
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「何の話よ……」
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「ふふんっ、秘密」
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「そういう言い方されると気になるじゃない――って時間。
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「課題手伝ってくれたらねー」
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「まったく調子いいんだから……はいはい、考えておいてあげる」
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由布は手をひらひらとさせ、急ぎ足で部屋を出て行ってしまう。
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色々と事情があるとはいえ、忙しないルームメイトである。
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「はぁ……末来さん、まだかなあ」
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机に頬をひっつけたまま、窓を見やった。
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夕陽を受けて赤く染まった雲が緩やかに流れていく。
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もうすぐ夜が来るだろう。
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それまでに末来さんも奈岐も戻ってきてくれるといいんだけど。
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そんなことを考えながら、私は疲労感から目を閉じてしまう。
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瞼の裏に感じる僅かな赤が心地良くて、気付いた時には――。
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seisai_no_resonance/sce05_03_07_0.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)