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seisai_no_resonance:sce04_04_22_0
「りょ、寮が……く、暗い……!」
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寮まで戻ってきたはいいものの、電気が落とされ、
消灯時間はとうの昔に過ぎ去っただろう。
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この分だと入口の扉にも鍵がかかってそうだし。
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「困ったなぁ、葉子先生まだ起きてるかな……?」
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宿直の葉子先生の部屋に明かりがあれば、
窓越しにお願いするしかないかもしれない。
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「高遠……じゃなくて、その、鼎?(BROKEN:8_20)
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マントを羽織った先輩――奈岐が寮の裏手へ向かっていく。
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「えっ?(BROKEN:8_20)
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「一階の部屋が一つ空き部屋になっていて、
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「へぇ……奈岐が夜遅くまで出歩いて平気な理由が分かった」
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「そういうことだ。鼎、こっちだ」
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得意げに微笑んだ奈岐が私を連れて歩き出す。
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そして、一階にある窓ガラスの下に辿り着くと、
奈岐は少しだけ強く鍵の付いた部分を(BROKEN:8_20)
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カシャンッ――と奈岐の言葉通りに鍵が簡単に開いてしまう。
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「すごい、先生達も気付いてないんだ」
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「どうだろうな?(BROKEN:8_20)
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静かに窓ガラスを開き、奈岐が窓枠に手をかける。
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「届く?(BROKEN:8_20)
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「鼎、遠回しに私の身長のことを言うな……慣れている」
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トトッと奈岐は器用に壁を蹴ってのぼり、部屋に下りていく。
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「じゃあ、私も――よっと!」
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窓枠に手をかけると、一度壁を蹴って、そのまま屋内へ。
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暗い廊下を足音一つ立てずに奈岐が歩いて行く。
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話しかけようにも見回りの先生に声を聞かれれば、
色々とおしまいな気もする。
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このまま自分も部屋に戻るべきなのかもしれないけど、
何となくの流れで奈岐の後についてきていた。
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「――私の部屋だ」
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小声で言った後、ポケットから鍵を取り出す。
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鍵穴に差し込むと左に一回、右に一回……左に二回と鍵を傾ける。
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すると、ようやく鍵が開く音が聞こえた。
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「と、特殊だね……」
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「留守が多い上、人には見せられない物もあるからな」
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ドアをゆっくりと開くと、奈岐が中へ入っていく。
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「ん……鼎、どうした?」
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「えっと、入っていいの?」
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「ああ、鼎は……と、友達、だからな」
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「ふふっ、ありがと」
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奈岐に微笑んでから私も部屋の中へ続いた。
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八弥子さんと同じように奈岐も一人部屋になっているのか、
ルームメイトの姿は無かった。
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「ふぅ……さすがに二匹を相手取った後は疲労が抜けないな」
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マントをベッドの上に脱ぎつつ、ポケットからノートを取り出す。
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「何か飲み物もらってくれば良かったね」
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くつろぐとなった時、お茶の一杯ぐらいは欲しい気持ちになる。
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「それなら入口の冷蔵庫でミネラルウォーターが冷やしてある」
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「もらってもいい?」
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「ああ、私の分も頼む」
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私は奈岐に頷いてから、冷蔵庫を開けて、
近くに並べられていたコップに水を注いでいく。
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「今日は事故があったとはいえ……久々の三匹か」
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ベッドに腰をかけた奈岐を見ると、
ノートにメモを取っているところだった。
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「海辺に誘い、海水をかけてやったが効果は無かった」
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「二匹相手にそんなことしてたの?」
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奈岐は私からコップを受け取り、水を口に含む。
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「古事記の話になるが、黄泉の国から帰ったイザナギは、
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「こ、古事記……?(BROKEN:8_20)
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「普通はそうだろうな。ただ穢れやらを相手にする以上、
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奈岐はノートを閉じると、ベッドの上に脱いであるマントの
ポケットに押し込んだ。
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「今回は海水に浸けたところで効果が無かった、ということだ」
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「じゃあ、塩も効果無いのかな?」
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「効果が無いとは言い切れない。神官達が正しい過程を経て
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「ただし、そういった物は手に入れる方が難しいな」
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やれやれとため息を漏らした奈岐が天井を仰ぐ。
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「もし穢れが霊的なものであれば、多少の効果は見込めると思った
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「霊的なもの……幽霊みたいな?」
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「そうだ。実体を残さない上、奴らは――い、いや、何も残さない
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何故か奈岐がしどろもどろになっている。
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きっとまだ慣れていないんだろう、ということにしておく。
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「うん、でも、幽霊でもないなら……穢れって何なんだろう?」
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「海水に対しての耐性があるなら、妖怪という線も考えるべきかも
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「妖怪には海水は通じないの?」
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「よく考えてみろ、海水が通じるのならば、
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「あー……あはは、それもそうだよね」
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効果あるなら、海坊主とか伝説ごと綺麗さっぱり浄化されてそう。
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「幽霊か妖怪かは、実体を持つか否かで論じられるところだが……
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「その理由は?」
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「何も残らないからだ。それに――いや、それだけだ」
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奈岐は言葉を途中で切って、ベッドから離れる。
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「鼎は部屋に戻るのか?(BROKEN:8_20)
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「うーん。もしかしたら、ルームメイトが心配してくれてるかも
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「……そうか。風間の奴と一緒の部屋だったな」
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「あ、でも、シャワーだけ貸してもらえると助かるかも。
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「ああ、好きに使ってくれ」
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「うん、ありがと」
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奈岐に礼を言ってから、早速シャワー室に向かう。
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「ね、奈岐も一緒にシャワー浴びる?」
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「わ、私もっ!?(BROKEN:8_20)
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と、全力で拒否されてしまったけど……
こういう時、白い肌って分かりやすくていいなって思う。
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真っ赤になってて、ちょっと可愛い。
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「むぅ、くすくす笑うな……」
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「ふふっ、ごめん。それじゃあ、シャワー借りるね」
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その後、シャワーを浴びて、奈岐におやすみを言ってから、
私は自分の部屋に戻った。
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由布はもうぐっすり眠っていて……私が着替えたりしても、
起きてくる様子は無い。
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模擬戦での疲れが出ているのかも?
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そういえば、今日は模擬戦もあったなあ……と思い出すだけで、
ずっしりと疲労が蘇ってきてくれる。
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疲れたぁ……とベッドに倒れ込むや否や、意識はすぐに途切れ、
そのまま眠りに就いてしまった。
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seisai_no_resonance/sce04_04_22_0.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)