User Tools

Site Tools


seisai_no_resonance:sce04_04_17_0
先輩を追いかけて寮の外に出ると、既に陽が沈んでいた。
>

時計が無いので、門限の時間かどうかは分からないけれど、
今から外出していたら門限破りは確実だろう。
>

先に出た先輩の姿を探すと、
森の入口で私を待っている様子だった。
>

陽が沈んだからか、既にフードは下ろし、
吹き付ける強い風に長い髪を揺らしている。
>

「先輩……さすがに、さっきのは……」
>

「…………」
>

私の顔を見た途端、先輩は細い眉をあからさまに顰めた。
>

「お前は遠山のパフォーマンスに何故付き合う?」
>

「パフォーマンスって……遠山先輩は御花会をまとめてる人
(BROKEN:8_20)
>

「本当にそう見えるか?」
>

先輩が大股で私に詰め寄ってくる。
>

「高遠、まず遠山という女が御花会をまとめている人間である、
(BROKEN:8_20)
>

「そんなものを取り払って、遠山個人を見てみろ。しがらみの中、
(BROKEN:8_20)
>

「特に今年の一年生に対し、異常なまでの拘りを示している。
(BROKEN:8_20)
>

早口で、意識しなければ聞き逃してしまいそうな勢いで、
先輩は畳み掛けるようにして言葉を続けている。
>

息継ぎの暇があったのかすら分からないの言葉の嵐を受けて、
私はまばたきが止まらなかった。
>

遠山先輩が異常な拘りを持っている……
というのは、由布相手なんだろうか?
>

でも、偏愛って……。
>

「先輩……もしかして怒ってます?」
>

「(BROKEN:8_20)
>

「……遠山先輩が嫌いなんですか?」
>

眉を顰めたまま先輩が視線を私に向ける。
>

色素が薄く青い瞳が私の目と合った。
>

「高遠、お前は本当に真っ直ぐな奴だな……」
>

「答えはノーだ。だが、回答を教えるつもりは無い」
>

先輩が視線を逸らし、森へ向かってすたすたと歩き始める。
>

「わっ、ちょっと待って下さいっ」
>

マントを引きずる背中を慌てて追いかけていく。
>

「これじゃ……怒った自分が恥ずかしくなる……」
>

「えっ?」
>

先輩に追いついた時、何か聞こえたような気がした。
>

「高遠、何か言ったか?」
>

「それ……私の台詞ですよ」
>

言おうと思っていたことを言われてしまい、次の言葉に迷う。
>

そうしていると、この話題はもう終わりだと言いたげに、
先輩は静かに笑っていた。
>

「――さて、森に入るぞ。息を鎮めろ、気配を殺せ、いいな?」
>

「は、はいっ」
>

再び私を見た先輩の顔は真剣なものだった。
>

そうか、これからあの穢れと戦うことになるんだ。
>

遠山先輩に怒られたことを引きずっている場合じゃない。
>

命に関わるような……そんな出来事がこの先に待っているんだ。
>

指先が腰に下げた勾玉に自然と触れていた。
>

お母さん……。
>

心の中で母に呼びかけながら、私は夜の森へ入っていく。
>
seisai_no_resonance/sce04_04_17_0.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)