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seisai_no_resonance:sce04_04_14_0
今日も戦闘行為を担当するのは遠山先輩と中村さんの二人。
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由布と八弥子さんはそれぞれの力でパートナーを支援する。
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その支援を受けられることで、
ようやく発揮出来る巫女としての力。
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身をもって味わってきたけれど、自分が力を使うとなった時、
どれほどのものか想像することも出来なかった。
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きっとすごい――そんな曖昧な表現しか思い浮かばない。
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「あれ?(BROKEN:8_20)
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隣で一緒に見学している恵が不思議そうに声をあげる。
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その視線の先、模擬戦が行われている場所、私達とは対岸に位置
するようにして、見慣れない一団が姿を見せていた。
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身なりこそ様々だけど、誰もが年を取っており、
中には杖をついている人もいる。
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「恵、知ってる人達?」
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「ううん……でも、一般の人達はここに来ちゃいけないはずじゃ」
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首を振った恵が不安そうに呟く。
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じゃあ、あの人達は誰なんだろう?
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その疑問に対する回答は少し離れた場所から届く。
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「――松籟会の方々ですわ。ご存じなくて当然かもしれませんが」
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「松籟会の……!」
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慌てて視線を戻した時、その一団の中で見知った顔を見つける。
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あの二人……!
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鬼子と呼ばれる理事長と……
確か、以前に中村さんと話していた男性。
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「理事長と秘書の方までいらして、松籟会の皆様が勢揃いですね」
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どこか気に入らない様子で三輪さんがそう言っていた。
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「そっか……由布ちゃん達、すごく注目されてるから……」
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巫女の選抜は模擬戦であったとしても評価の対象になる。
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その為に……松籟会の人達がここに来た。
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でも、私達の戦いは一度も見ていないような?
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そこまで考えて、三輪さんが不(BROKEN:8_20)
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向山先輩が言った通り、松籟会の人達は(BROKEN:8_20)
興味が無いんだ。
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そして、二人とまともに渡り合える中村さんと八弥子さんの一戦を見学にやってきた。
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「…………」
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注目の戦いはもう始まっている。
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遠山先輩の大鎌を中村さんが無駄の無い動きで回避していく。
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誰もがその華麗な動きに視線を集中させている。
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これは――チャンスかもしれない。
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私は右手でお母さんの勾玉を握りしめた。
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私を島に入れることを拒み、命まで狙ってきた松籟会の人達、
今ならその理由を直接聞ける。
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それにお母さんのことを知っているに違いない。
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「カナちゃ――」
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私の名前を呼びかけた恵に、しーっと人差し指を唇に当てる。
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恵はまばたきを繰り返すが、平気だよ、と片目を閉じてから、
誰にも気付かれないように木々の隙間に身を隠していく。
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回避に徹していた中村さんが反撃を開始したのか、
金属が衝突する甲高い音が森に響き渡る。
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その中、草木を掻き分けながら、
私は対岸にいた松籟会の人達を目指す。
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こんなことをして、末来さんに見つかれば怒られるかもしれない。
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でも、答えがそこにあるかもしれないのに……
立ち止まっていられなかった。
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木々の隙間から周囲の様子を窺う。
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依然として試合は拮抗状態にあるのか、
遠山先輩と中村さんがつばぜり合いを続けていた。
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「……名だけが一人歩きしていると思っていましたが、
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「それは私に対してでしょうか?(BROKEN:8_20)
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「――風間の力はまだ稚拙。されど、その追い風だけでも、
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「あなたが人を褒めるなんて珍しいこともあるのですね。
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「私感を述べたまでです」
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中村さんが言葉を終え、身体から蒼い火の粉を舞い上げる。
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戦闘が再開し、二人がまた正面からぶつかりあっていく。
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松籟会の筆頭……遠山先輩の家も松籟会に?
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じゃあ、もしかして遠山先輩も私のことを色々と知っていた?
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でも、そんな素振りは……。
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「って……考えるのは後、今は急ごう」
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拮抗しているとはいえ、いつ戦いが決着するか分からない。
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そして、再び私が歩み出そうとした時――。
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「巫女候補の方が何用でしょうか」
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気配もなく、目の前にスーツ姿の男性が佇んでいた。
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「――――ッ!?」
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思わず声を上げそうになった口を手で塞ぐ。
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「そんなの決まってるじゃん。気になって仕方ないんだよ」
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場にそぐわないような明るい声で、理事長が男性の隣に並ぶ。
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「高遠鼎は自分の命を狙った松籟会の老人が何を考えているのか、
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「……な、何で……」
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片手に持った飴玉をくるくると指先で回しながら、
理事長は私の考えを全て言い当てた。
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「あっはは、知りたい?(BROKEN:8_20)
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そして人を食ったような笑い声をあげる。
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「……私が知りたいのは、松籟会の人達のことです」
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「ちぇっ、気になってるって顔してるのにつれないなぁ。
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「――頼継様、他の者が気付くのも時間の問題かと」
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「二人してつまんないなぁ……」
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「でもさ、僕も松籟会の人間だし、気になってることさ、
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「松籟会のって……!」
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理事長で松籟会の人って……この人、いったい……。
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そう思った時、ふと頭に過ぎる言葉があった。
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鬼子――類い稀なる才を持つ存在。
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「頼継様、お戯れは……」
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「いいじゃん、その方が楽しいことになりそうだしさ」
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軽い調子で言った理事長が片手を広げて見せる。
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「ほーら、ね?(BROKEN:8_20)
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「先輩……!?」
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今まで身を潜めていたのか、フードを被った向山先輩が
私と理事長の間に立った。
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「久しぶり、向山奈岐。元気してたかな?」
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「……答える必要があることか?」
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「社交辞令だよ。誰もが僕とキミのような感覚は持っていない。
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「やれやれ……キミは相変わらず不器用だ」
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「…………」
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向山先輩が私の服の裾を無言で引っ張った。
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「行くぞ、高遠。相手にするだけ時間の無駄だ。
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「でも……」
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「言う通りにしろ。長居するだけお前が不利になる」
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向山先輩の口調は静かだが、服を引っ張る力は強くなっていた。
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「ねえ、昌次郎、やっぱり考えがバレるよ。嫌な感じだなぁ……
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「…………」
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「……高遠、頼む」
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先輩の引く手がさらに強くなる。
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「分かりました……失礼します」
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得体の知れない人だけど……理事長だし、一礼してから、
先輩に引かれるまま、その場を立ち去っていく。
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「昌次郎、どう思った?(BROKEN:8_20)
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「まだ向山奈岐は高遠鼎に何も告げていないように思えます」
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「正解――さて、どうなるかな?(BROKEN:8_20)
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「……お言葉ながら、その結果が見えているからこそ、
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「どうだろうね?(BROKEN:8_20)
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「はっ」
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seisai_no_resonance/sce04_04_14_0.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)