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seisai_no_resonance:sce04_04_11_0
何とか門限ギリギリ、寮に戻ってくることが出来た。
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外はすっかり暗くなってしまい、
ロビーには明々と照明が灯っている。
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談話スペースになっているところでは、
学生達が談笑にふけっている様子だった。
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その中の何人かが私に気付いたのか、
ひそひそと小声でやりとりを繰り返す。
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様子からして、あまり良い噂は流れてなさそうだなあ……と苦笑。
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「あら、高遠さん、おかえりなさ~い」
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「あ、こんばんは」
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門限破りを捕まえに来たのか、葉子先生が廊下を歩いてくる。
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「高遠さん、初めての模擬戦はどうでした?」
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「あはは、見事に完敗でした……」
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「それでちょっと落ち込んでたり?」
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「ちょっとだけですよ」
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クスッと笑った葉子先生に対して唇を尖らせる。
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「巫女の力はですね、誰にでもすぐ使えるものじゃないですから。
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「ほら、今まで運動してなかった人がいきなり長距離走に
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「巫女の力も同じようなものです。普通の学生だった高遠さんが、
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どこか楽しげに葉子先生は私にそんなことを教えてくれた。
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「でも、そうなれるかな……って、ちょっと思っちゃってました」
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「ふふっ、焦らないことが大切ですよ。
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微笑んだ葉子先生は小さく手を振って、玄関へ向かっていく。
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「自分のペース、かぁ……」
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色々といきなりすぎてペース配分出来ていないのは確か。
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でも、どうすれば自分のペースって分かるんだろう?
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うーん……。
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やっぱり、トライ&エラーの繰り返し……かな?
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自分で出した答えに苦笑してから、部屋に戻るため、
二階へ続く階段へ向かった。
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「ただいまー」
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「ん……何してたのよ、遅かったじゃない」
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部屋に戻ると、由布の厳しい一言が飛んでくる。
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「門限を破ったわけでは無さそうですけれど、
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「あれ、遠山先輩……どうして部屋に?」
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由布の側で佇む姿は遠山先輩に間違いない。
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「もしかして、取り込み中だったとか……?」
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何となく由布に視線を向けると、赤い顔で睨み付けられた。
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「何の話よ。模擬戦での立ち回りとか、力のバランスとか、
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「ふふっ、一対として選ばれた以上、パートナーのことをより知る
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遠山先輩の言葉だけだと、何か怪しい意味に聞こえそう。
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それに、実際……ちょっと気を遣って、という雰囲気が
二人から滲み出ているようにも思える。
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「……作戦会議とかだったら、私が聞いちゃまずいよね?」
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「そ、そんなことは……」
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「気にしない気にしない。夕飯までロビーでテレビ見ているから」
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「高遠さん、ごめんなさいね。気を遣わせてしまって」
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「いえいえ。それじゃあ、また後で」
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と……笑顔のまま一礼したつもりだけれど、
少し表情が強張っていたかもしれない。
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自分の部屋なのに自分の部屋じゃない空気、雰囲気。
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そう長く耐えることは出来ない気がしたので、
私は足早に廊下へ飛び出し、笑顔のままドアを閉じた。
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扉の向こう――聞き取れないけれど、
由布と遠山先輩の話し声がしている。
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少し仲良くなれたルームメイトといっても由布はこの島だと、
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遠山先輩と一緒にいるところを見ると、風格があるというか、
引けを取らないほど、凛としているように思える。
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「テレビを見るなんて言ったけど……そんな気分になれないし、
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天井を仰いでから、廊下をとぼとぼと歩き出す。
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散歩に出たいけれど、もう門限過ぎたし……。
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そう思っていた時、廊下を見慣れた影が駆けてくる。
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「ニャー」
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「あれ、ガジ?(BROKEN:8_20)
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足下に擦り寄ってきたガジを撫でて微笑む。
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飼い主の八弥子さんの姿が見えないから、
散歩中とかかな……?
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ゴロゴロと喉を鳴らすガジを撫でていると、何を思ったのか、
ガジが私の肩に爪を引っかける。
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「えっ?」
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そのままぶら下がるようにして、肩にのぼり、頭に――。
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「わっ、ダメダメ!(BROKEN:8_20)
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「ニャー……」
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慌てて引き離すと、しょんぼりとした鳴き声が聞こえてきた。
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この子、頭を囓るのが習性なんだろうか……?
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「キミがいつも囓ってる八弥子さんはどうしたのー?」
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「ニャー」
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ガジが私の手を離れ、廊下に降り立つとそのまま駆けていく。
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そして曲がり角で振り返り、ニャーオと私を急かすように呼ぶ。
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「ついてこいってこと……?(BROKEN:8_20)
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一人でいると塞ぎ込んでしまいそうだし、ガジについていこう。
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しばらく廊下を進み、八弥子さんの部屋の前でガジが立ち止まる。
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そして、無言で扉に爪を立てて、
ガリガリガリガリ……。
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「わっ、こらっ、爪研ぎしちゃダメ!」
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慌ててガジを捕まえようとした時、ガチャッとドアが開く。
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「ガジ、おっかえりー!(BROKEN:8_20)
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爪研ぎが合図なのか、八弥子さんはガジを出迎える。
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「こんばんは、ガジに付いて来ちゃいました」
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「ふふーっ、さてはガジにナンパされたかな?」
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「あはは、そんなところです」
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「じゃあ、ガジ、カナカナを部屋まで連れ込んじゃえ」
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そんなことを言った笑顔の八弥子さんが私の手を引く。
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「入ってもいいんですか?」
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「遠慮は無しだよー」
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八弥子さんに同意するようにガジもニャーと鳴いている。
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「二人に誘われたら断れないですね。じゃあ、お言葉に甘えて」
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そして、手を引かれるまま、八弥子さんの部屋の中へ。
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seisai_no_resonance/sce04_04_11_0.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)