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seisai_no_resonance:sce04_04_09_0
模擬戦を終え、今日の御花会は解散の運びとなった。
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中村さんは早々に姿を消し、八弥子さんはそんな彼女を
追いかけてどこかへ行ってしまい……。
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由布は遠山先輩としばらく何か話している様子で、
恵と三輪さんはもう寮へ帰ろうとしていた。
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西日が差し込み始めた森の中。
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居場所が見つからない私は木に持たれたまま、
幾度目かになるため息を漏らしていた。
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一人では決して勝ち目が無いことを二度も証明されてしまった。
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遠山先輩の巫女としての力、中村さんの武術……とても敵わない。
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「鼎は帰らないの?」
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そんなことを思っていた時、私よりちょっと背の高い末来さんが
屈んで顔を覗き込んできた。
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「帰る……つもりです。ただ、ちょっと……」
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マイナス方向へ傾いた思考が嫌なことばかり考えさせる。
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帰る場所なんてあるだろうか――そんな言葉がよぎった。
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一人で戦っても勝ち目すらなく、家も血筋もよく分からないまま。
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そんな私がこのまま学園にいても……。
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「鼎、どうしてそんな顔をしているの?」
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「あ……す、すみません……!」
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よくしてもらっている末来さんに心配をかけるなんて、
つくづく今日の私はダメだ。
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強がりでもいいから……今は笑って、ここを立ち去ろう。
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「よしよし」
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末来さんがまた頭を撫でてくれた。
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ぎこちない微笑みだったけれど、その容姿からか、
どうしてもお母さんに重なって見えてしまう。
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「――――」
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不意に目頭が熱くなり、堪えるためにスカートの裾を握る。
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それでも目の前にいる末来さんを見ると、我慢できそうになくて、
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「寮に……戻ります!(BROKEN:8_20)
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頭を下げて、震える声を残して、私は早足で道を引き返す。
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振り返らずにそのまま足を速め、次第に駆け出していく。
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頬を伝い始めた水滴を振り切るかのように、
ただひたすらに走っていた。
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seisai_no_resonance/sce04_04_09_0.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)