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seisai_no_resonance:sce04_04_08_1
距離を空けたところで、私が振り返ると、
もう二戦目が始まろうとしていた。
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「じゃあ、ヤヤが援護に回るでオーケー?」
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「……それは既に了承したはずです」
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「でも、マコマコの顔には、ご不満って書いてある」
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つんっと八弥子さんが中村さんの頬をつつく。
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「禰津先輩、茶化すのはいい加減にして頂きたい。
(BROKEN:8_20)
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「マコマコはご(BROKEN:8_20)
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「…………」
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無言のまま、中村さんが星霊石を手に取り中空に放つ。
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「――炎よ」
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蒼い火が放たれ、中村さんを中心に吹き荒れる。
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蒼い炎……!?
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その色は違っても、私と同じ炎を使う……!
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中村さんの魂を現すのは蒼き炎だった。
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星霊石が眩く輝き、中村さんの身体を包み込んでいく。
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火の粉が一斉に弾け飛び、中村さんの左手に身の丈ほどある
大きな剣が出現していた。
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装束もどこか私に似ているけれど、そこから感じる力は……
全く別物。
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熱気を放つ炎でも、どこか冷たく感じるような力。
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「禰津先輩、幸魂を頼みました」
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中村さんが八弥子さんの腕にくくった星霊石に触れる。
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きっと相手の星霊石に触れるということが、
荒魂から幸魂への力の交信なんだろう。
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「了解ーっ!(BROKEN:8_20)
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突(BROKEN:8_20)
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これは……?
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「ガジは退避退避!(BROKEN:8_20)
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「ニャニャニャッ!」
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ガジが駆けていくと同時に、
八弥子さんが星霊石を放っているのが見えた。
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その球体を中心に、バサッと木の葉が舞い上がる
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中村さんの炎に対して、八弥子さんの魂は風――。
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それは大らかで明朗な八弥子さんらしい力だと思えた。
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「よーし、解放ッ!(BROKEN:8_20)
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そして、星霊石の放つ光が弾け飛ぶ。
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「っ……!?」
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突風と共に八弥子さんの姿が変貌する。
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やはり特殊な装束を身に纏い、巨大な得物を両手に宿す。
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風の音に鎖が揺れ、ジャラリという金属音が響かせる
大きな鉄球……それが八弥子さんの武器。
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八弥子さんの力は風だけじゃない……風は嵐にもなるんだ。
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「意識をマコに集中――ヤヤの風たち、お願いだよ、
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「……こちらはいつでも」
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中村さんが大剣を片手で振るい、恵と三輪さんを睨み付けた。
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「言われなくても――保科さん、援護を」
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「う、うんっ……!」
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それぞれが星霊石を取り出し、眩い光を放ち始める。
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恵の様子も気になるけれど……私の視線は中村さんへ
釘付けにされていた。
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同じ炎の力なのに、異なる色を持つ。
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蒼い炎を魂に宿し、松籟会に関わりある巫女候補。
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「同じ炎……なのに……」
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やはり中村さんから感じる炎はどこか冷たく思えた。
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その時、ヒュッと鋭い風切り音が響き渡る。
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「得物では不利でしょうが、(BROKEN:8_20)
(BROKEN:8_20)
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細剣を片手に宿した三輪さんがその切っ先を中村さんに向ける。
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三輪さんも恵もやはり見慣れぬ装束を纏っていた。
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「お願い、私の力で三輪さんを少しでも助けてあげて……!」
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恵が目を閉じて、巫女の力を三輪さんに集中していく。
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「松籟会による今年の選抜――神住先輩がたとあなた達を
(BROKEN:8_20)
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「それは私に対しての問いかけか?」
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「<RB='ゆかり'>縁<RB>ある者でしたら、答えが聞けるかと思いまして」
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「……いいだろう、この模擬戦で私に勝つことが出来れば、
(BROKEN:8_20)
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「上等です。(BROKEN:8_20)
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そして、同時に二人の影が動いた。
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「二人はせっかちだね。始めの合図も待ってくれない」
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私の隣で末来さんが少しだけ苦笑を浮かべている。
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「鼎、よく見ておくといいよ。一対の巫女同士の戦い。
(BROKEN:8_20)
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「……わ、分かりましたっ」
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慌てて、末来さんから中村さん達へ視線を戻す。
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ちょうど二人がそれぞれの剣を振るい、火花を散らしたところ。
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左手だけで大剣を切り返し、大きく前へ踏み込み、
中村さんが三輪さんに距離を詰めていく。
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「左手……左利き……!」
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でも、利き手だとしてもあんな大きな剣を片手で使うなんて、
驚くべきはその腕力よりも、使いこなせるだけの技量。
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「その得物で懐に入るなど笑止千万」
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三輪さんが軽やかに細剣を振るい、中村さんに鋭い突きを放つ。
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二人の距離はたった数歩離れているだけ、
素早い突きを到底回避出来る距離じゃない。
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「禰津先輩――」
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「――風よ、マコを守って!」
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刹那、中村さんと三輪さんの間を突風が駆け抜けた。
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「くっ、手元を……!」
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立っていられないほどの風だったのか、三輪さんが手を引き、
すぐに体勢を整え直す。
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「勝(BROKEN:8_20)
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その僅かな隙を中村さんは逃さず、素早く跳ねて距離を詰める。
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「なっ!?」
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「っ!?(BROKEN:8_20)
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三輪さんが防御を固めると、彼女の周りで電撃が弾けた。
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きっと恵の力――でも、今は防御を固めたらいけない。
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中村さんの狙いは三輪さんが動けなくなること。
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「取ったっ!」
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雷を貫くほど分厚い手甲に覆われた中村さんの右手が、
三輪さんに伸びていく。
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「しまっ……!」
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胸ぐらを掴みあげ、懐に潜り込んだ身体をばねにして、
背負うようにして投げ、地面に(BROKEN:8_20)
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「ぐうっ!?」
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そして、左手に持った大剣を地面にいる三輪さんへ向ける。
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「――そこまでだよ」
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末来さんの制止がかかり、中村さんが剣を引く。
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鮮やかな背負い投げ……決して、剣や炎の力だけに頼らない武術を見せつけられた。
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それに決め手となった巫女を守る一対の存在、八弥子さんの風。
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「…………」
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とても敵わない――そんな言葉が頭によぎってしまう。
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まだ始まったばかりなのに、ここまで決定的な差があるなんて。
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遠山先輩の鎌が自分の首筋に触れた感覚が蘇ってきてしまう。
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少し経った今でも恐怖から鳥肌が立つ。
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ただ闇雲に力を使うだけじゃダメ……それは分かっていても、
どうしたらいいんだろう……?
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答えが見つからず、私の視線は気付くとつま先にまで落ちていた。
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seisai_no_resonance/sce04_04_08_1.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)