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seisai_no_resonance:sce04_04_05_0
バタンッとドアを閉めたところで、ふと気がつく。
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「あれ……?(BROKEN:8_20)
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狭い室内なのに人影の一つも無かった。
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部屋の電気も点けっぱなしで、どこに行ったんだろう?
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「ん、これって……」
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机の上、夕飯代わりに用意してくれたのだろうか、
おにぎりがラップにかけられて置かれていた。
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ついでとばかりにメモが貼り付けられている。
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『模擬戦のことで神住姉様と話があるから。
(BROKEN:8_20)
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「神住姉様と話って……」
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そういえば、由布は念願叶って遠山先輩とペアになれたよね。
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勢い余って食べられてなければいいけど。
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あーあ、とため息をこぼしつつ、私はベッドに転がる。
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色々思い出してしまえば食欲が薄れて、おにぎりを食べるより、
少しだけ横になりたかった。
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「家柄とかそういうの考えると……由布は巫女に選ばれるのかな」
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遠山先輩と一緒に、栄えある今年の巫女として穢れを祓う――。
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「…………」
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巫女のお役目、か。
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それはお母さんもこの島でしていたこと……
勾玉の力を使って、穢れというおぞましい化け物を祓うこと。
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でも、一度はその役目を終えたはずのお母さんが
どうして織戸伏の島に戻っていったんだろう?
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巫女の力と穢れと……松籟会っていう島を仕切る人達。
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巫女に選ばれたなら、お母さんは全部知っていたはず。
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穢れを祓う役目は命がけだってことぐらい分かっていたはず。
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なのに、どうして?
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「確かめないと……お母さんが何をするために島に戻ったのか、
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行方不明から七年、死んだことにされた私のお母さん。
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優しくて、強くて、正義感たっぷりで……
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でも子供みたいに頑固で、融通なんてきかないから、
私を置いて飛び出して行っちゃった。
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だけど、それでも――
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すごく大きな心を持った人。
子供の私でもそれぐらい分かっていた。
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「お母さん……」
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形見半分、置き土産半分、お母さんがくれた勾玉を握りしめ、
胸元に抱き寄せる。
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「娘が会いに来てるんだよ……出てきてよ……」
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一人がいけないのか、気を抜けば、声が震えてしまう。
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奥歯を噛み締め、まだ泣くときじゃないって自分に言い聞かせる。
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それでも、しばらくは目を開けそうに無かった。
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seisai_no_resonance/sce04_04_05_0.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)