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seisai_no_resonance:sce04_04_02_0
ニャーと鳴く声に導かれてやってきた場所は――。
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「食堂ぅ……?(BROKEN:8_20)
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見るからに食が細そうな先輩が学園長の話を抜け出して、
ご飯を食べに来ているとは考えにくいし……。
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食堂だけあって、それなりに他の生徒の姿は見えるけど、
あの目立つ格好をした小さな先輩は見当たらない。
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と、そんなことを思っていると、抱きかかえていたガジが
私の腕をすり抜け、食堂の奥へ素早く駆けていく。
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「わっ!?(BROKEN:8_20)
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タタタッと走り出したガジは調理場へ続くカウンターに飛び乗る。
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「ニャ、ニャニャ!」
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「おや、猫ちゃん、今日も来たのかい?(BROKEN:8_20)
(BROKEN:8_20)
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おばちゃんが猫柄の小皿に切り分けた魚を出してくれる。
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間髪入れず、もしゃもしゃと齧り付いていくガジ。
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まさかとは思うけど……ガジ、ご飯目当てで立ち寄ったの?
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「あははっ、いい食いっぷりだねぇ!(BROKEN:8_20)
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ガジの頭をぐしぐしと撫でるおばちゃんのところへ私も向かう。
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「こんにちは、今日はガジを私が借りてるんです」
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「あんたはこの前に来たばっかりの。今日も食べていくかい?」
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「あはは、今日は人探しで寄っただけですので……」
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正直、厚意に甘えて海鮮丼といきたいところだけど、
ガジに……にゃんこに先を越された分、人として自重したい。
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「人探し?(BROKEN:8_20)
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「その八弥子さんがいつも探してる向山奈岐先輩です。
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外見的特徴はコレで充分伝わってくれるはず。
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しかし、おばちゃんは顔を傾けたまま、うーんとうなる。
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「フードにマントねぇ……残念だけど、食堂じゃ見たことないね。(BROKEN:8_20)
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「向山先輩、食堂に来たこともないのかなぁ……」
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私の気疲れとは裏腹に、
ガジは空になった小皿の隅まで舐め回していた。
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「ほら、食べたなら行くよー?」
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ひょいと猫掴みしてから両腕でガジを抱きかかえる。
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「あはは、今度はヤヤちゃんも一緒においで!」
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それはぜひとも!(BROKEN:8_20)
私は足早に食堂を出て行く。
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「少しでもガジを信じた私がお馬鹿さんでしたよー、と」
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満腹でご満悦、ゴロゴロと喉を鳴らす子猫を睨み付ける。
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しかし、こうしてガジに八つ当たりしたところで
向山先輩が出てくるとは思えない。
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ここは初心にかえって……というのもおかしいけど、
八弥子さんが言っていた森とやらを探してみよう。
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「あの先輩、学園にいたら目立ちそうだし……」
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もし逃げたのであれば、学園にいるとは思えない。
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「よーし、次は外に行くからね!(BROKEN:8_20)
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「ニャ!」
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返事だけはいい前科一犯の子猫を抱え直して、
私は学園の外へ向かって再出発していった。
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正門をくぐったところで背中から聞き慣れた音が響く。
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「チャイムの音……?(BROKEN:8_20)
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今が昼休みだってことをすっかり忘れていた。
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かといって今から戻ったところで、授業の途中参加……
三輪さん辺りから嫌味の一つや二つ頂きそうだ。
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な、何よりパートナーに選ばれた相手を探す方が、
今は巫女候補として果たすべき使命だよねっ。
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自分を納得させつつ、誰かに見つかる前に校門前から
早足で離れていく。
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磯の香りが漂う海岸沿いまで歩いてくる。
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鋭い日差しと反比例するかのような風が心地よい。
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うーんと伸びをしたくなったところで、
腕に抱いているガジの存在を思い出す。
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「もう、にゃんこは呑気だなぁ……
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ガジは目を閉じて私の腕の中で、すやすやとお休み中だった。
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満腹感からのお昼寝――うらやましいじゃないか。
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私はお昼抜いてまで向山先輩を探してるっていうのに。
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と、にゃんこ相手にふて腐れていても仕方が無い。
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「森、森ねぇ……」
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今さらだけど、この島のほとんどが山と森で出来ている気がする。
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そんなところにあの小さい先輩が本気で隠れようものなら、
土地勘も無い私が見つけることなんて出来るだろうか?
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でも……えーと、夜の眷属?(BROKEN:8_20)
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なんかお仲間認定してくれてたみたいだし、
名前を呼べば案外ひょっこりと出てきてくれるかもしれない。
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とにかく、迷わない程度に森に入ってみよう。
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道路脇から広がっている茂みをくぐるようにして、
私は眠る子猫を抱いたまま、森の中へ足を踏み入れていく。
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磯の香りに代わり、新緑の香りが漂う森林。
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広葉樹の隙間を縫うようにして差し込む陽光を片手で遮りながら、うーん、と何とも言えない息を漏らす。
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「ねえ、ガジ?(BROKEN:8_20)
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と、話しかけてみるものの、
すっかりお休みモードの子猫から返事は無い。
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あるとすれば、夢でも見ているのか、
ときおり小さく寝言が聞こえる程度だった。
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「向山先輩ー?(BROKEN:8_20)
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呼びかけてみて、数秒ほど反応を待ってみるが、
風に木々がさざめく音しか聞こえてこない。
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八弥子さんは自信たっぷりに「森っ!」と言っていたけど、
せめて森のどの辺りかまで伝えて欲しかったな……。
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「うーん、仕方ないかぁ……少し歩くからねー」
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眠り続けるガジに一言告げてから、私はさらに森の奥へ向かって、歩を進めていく。
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seisai_no_resonance/sce04_04_02_0.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)