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seisai_no_resonance:sce04_04_01_0
学園長の声が静かすぎる室内に響き渡った。
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「三輪さん、保科さん――これより一対、よろしいですか?」
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「……三輪さんと……」
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「っ……何故、この私が保科家のような者と……!」
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びくりと肩を震わせた恵とは対照的に、
三輪さんが学園長に声を上げていた。
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「これは松籟会の決定です。(BROKEN:8_20)
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「…………」
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押し黙った三輪さんが一歩後ろへ下がっていく。
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「次に遠山さん、風間さん――これより一対、よろしいですか?」
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「…………」
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「私と由布が……?」
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「ね、姉様っ……!」
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感極まった様子で由布が遠山先輩の元へ駆け寄る。
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「ええ、共に一対の巫女を目指し頑張りましょうね、由布?」
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「はいっ!」
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由布は念願叶った様子で、見ているこっちまで嬉しくなりそう。
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遠山先輩もずっとこの時を待っていたのかもしれない。
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「次に禰津さん、中村さん――これより一対、よろしいですか?」
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「マコマコとかぁー、仲良くやれるかな?」
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「…………」
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八弥子さんはあっけらかんとして笑っている。
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それに対して、中村さんは不(BROKEN:8_20)
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いつも通りといえば、いつも通りだけど……。
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「最後に向山さん、高遠さん――これより一対……」
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学園長の言葉が途中で途切れてしまう。
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その理由はすぐに明らかとなった。
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「皆さん……向山さんはどこへ?」
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「あれ?(BROKEN:8_20)
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「えっ?(BROKEN:8_20)
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今し方までいた気がする小さい人影が忽然と姿を消していた。
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「……これは松籟会の判断を評価せざるを得ませんね。
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「そんな言い方っ」
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「クスッ、その通りではないのかしら?(BROKEN:8_20)
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そして、無言が肯定を示すかのような静寂。
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周囲から向けられる視線――
それはこの学園に来てすぐに感じた疎外感。
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胸が痛くなる前に奥歯を噛み締め、絶対に俯いたりはしない。
こんな嫌味一つや二つに負けてたまるものか。
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「その辺りになさい。悪意は穢れを生みますよ」
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学園長のわざとらしい咳払いに、
遠山先輩も三輪さんも私から目をそらしていく。
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「なお片倉さんには、もしあなた達の誰かが祭に参加できない事
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「彼女の実力は誰がパートナーであっても、
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「そうだね」
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学園長が話を続けるものの、場の空気は変わらず、
たった一人の私に集中している。
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悪意が、穢れがって言われても……このまま引き下がるなんて。
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「んー……まったく学習してないよね、この雰囲気。
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場にそぐわない明るい声と共に、八弥子さんが私の腕を引いた。
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「ね、カナカナ!(BROKEN:8_20)
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「探しに、って……」
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今、ここから抜け出すのはまずいようなと言いかけた口を噤む。
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逆に考えよう。こんな息苦しいところから抜け出せるチャンスだ。
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「よーし、それじゃ出発ーっ!」
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うん、八弥子さんはやる気満々だし、このまま連れられていこう。
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ずるずると半ば引きずられるようにして部屋の外へ。
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「こ、こらっ、二人とも、まだ話は終わって――」
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「それじゃ、またねーん♪」
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学園長の声すら遮った八弥子さんと一緒に廊下へ出てくる。
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「さぁて、どこから探そっかなー?(BROKEN:8_20)
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「えーと、私の行きたいところに向山先輩がいるんですか?」
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「わかんない!(BROKEN:8_20)
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「というわけでさ、ここはビギナーズラックに頼ってみるのも
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おお、なるほど――と、一瞬でも納得しかけた自分を制しておく。
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「ビギナーズラックもいいですけど、
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「森っ!」
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それ、すごく大ざっぱです。
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この学園の周り、森だらけだし……。
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「――禰津先輩、少しよろしいですか?」
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学園長室から出てきた中村さんが私達の前に立つ。
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「マコマコ?(BROKEN:8_20)
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「怒ってはいません。ただ先に告げておくことがあるだけです」
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身体と顔を傾ける八弥子さんとは対照的に、
中村さんは背筋を伸ばした姿勢を崩さない。
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「これからの模擬戦、高遠鼎は恐らく単独で戦うことになるはず。(BROKEN:8_20)
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「ええっ!?(BROKEN:8_20)
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「禰津先輩、後輩だからとはいえ、そう馴れ馴れしく呼ばないで
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他の巫女候補に接する時と同様に――
ペアとなったはずの八弥子さんに対しても、この線引き。
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「先輩が巫女への拘りが無いと知った上での提案です。
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「それでは、学園長の話の続きがありますので」
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「えっ、ちょっと、マコマコ!?(BROKEN:8_20)
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止めようとした八弥子さんの手を振り払い、
中村さんは学園長室へ戻っていってしまう。
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「えーと……八弥子さん、模擬戦って……」
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ろくに説明を聞かず出てきてしまったせいか、
二人の会話についていけていない。
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「うぅ~、マコマコは頑固そうだなぁ……」
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「カナカナ、ゴメンね、ちょっとヤヤはマコマコと戦ってくる!」
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「えっ、えっ?(BROKEN:8_20)
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パチンッと両手を合わせた八弥子さんが、
中村さんの後に続こうとして――。
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「あ、ヤヤの代わりにガジを連れて行ってもいいから!」
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ひょいっと頭の猫を投げ渡してくる。
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「わっ!?(BROKEN:8_20)
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私の胸に飛び込んできた……
正確には、投げつけられた猫を抱きかかえる。
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その間にも八弥子さんは学園長室へ戻ってしまった。
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「猫かぁ……ホントに大丈夫かな?」
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「ニャーン」
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そういえば、この子、ガジって名前だったよね。
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八弥子さんの頭をガジって囓ってるから――ガジ。
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確かに覚えやすいかも。
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「と、とにかくっ!(BROKEN:8_20)
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「ガジ!(BROKEN:8_20)
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「ニャー!」
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力強い返事だけど、ホントに信じていいのかなぁ?
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何より、いつまでもここにいたら連れ戻されるかもしれないし、
すぐに出発しよう!
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seisai_no_resonance/sce04_04_01_0.txt · Last modified: 2014/04/23 18:46 (external edit)