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seisai_no_resonance:sce03_00_07_1
立ち入り禁止とされる森の奥――。
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間も無く夕方、次第に日の光が届かなくなり、
薄暗さと静けさが不気味で、緊張感を煽ってくれる。
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「……昨日と同じ奴がまた出るんですか?」
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先頭に立って耳を澄ましていた末来さんが一度頷いた。
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「そうだね。これだけの巫女候補が集まっているんだ。
(BROKEN:8_20)
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「それって……餌みたいなものです?」
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「そうかもしれないね」
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末来さんにしては、曖昧なことを言っていた。
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「カナカナは落ち着いてるね」
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隣にやってきた八弥子さんが私の顔を覗き込む。
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「そ、そうですか?(BROKEN:8_20)
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「んー?(BROKEN:8_20)
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八弥子さんの視線の先では、由布と恵が手に手を取り合って
怯えた様子を見せている。
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「八弥子、あの二人は実戦経験がまだ浅い」
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「でも、何だろう?(BROKEN:8_20)
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「うーん、お母さんが……とても気の強い人でしたから、
(BROKEN:8_20)
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「へぇ、さすが巫女に選ばれただけあるね」
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「――二人とも」
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その時、周囲の温度が急激に下がったような気がした。
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「鼎、勾玉の力を……すぐそこまで来ている」
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短く強く名前を呼ばれて、腰の勾玉を握りしめた。
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どこか遠くから悲鳴にも似た叫び声が聞こえてくる。
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「おいでなさいましたわね」
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「カナカナ、フ(BROKEN:8_20)
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由布と恵を見ると、二人は手と手を取り合った格好のまま、
何かもの言いたげにこちらを見ている。
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恐怖で言葉が出ないんだろう。
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「大丈夫だよ、昨日と同じ」
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そんな二人に微笑みかけると、
由布の表情が少しだけ和らいだ。
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「か、カナちゃん……気をつけてね」
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頷きながら、腰の勾玉を手に取る。
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「――――」
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呼吸を落ち着け、手の中にある勾玉に意識を集中させた。
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「――もう一度、私に力を貸して」
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祈りが届き、勾玉が熱を放ち始める。
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周囲に炎が立ち上り、火の粉が舞い上がっていく。
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その勢いをそのままに、勾玉が手から離れて浮かぶ。
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この熱、この炎――全部、魂の力。
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私の魂を現す力――それなら。
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「――燃えろッ」
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さらなる力を呼び起こすため、勾玉をきつく握りしめる。
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周囲の火の粉が吹き飛び、渦巻く火炎へ変貌していく。
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草木を焼きながら、私を中心にして灼熱の炎を放つ。
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「炎よ――ッ!!」
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手を掲げ、勾玉から溢れ出す火炎を集束させていく。
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そして炎は形を作り、私を包む新たな力となる。
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火の粉を散らす装束を振るい、現れた剣を両手で構える。
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「巫女の力、私の魂の力……見せますよ」
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視線の先に先日の同じ気配を感じ始めた。
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漂う瘴気、肌をざらりと舐めあげられるような感覚。
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間違い無い――穢れが現れる。
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まるで私の力に引き寄せられたように、茂みの中で蠢いた影が
飛び出してくる。
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両手の爪を振り上げ、迫る穢れに剣の切っ先を向けた。
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「全力で……倒すっ!!」
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seisai_no_resonance/sce03_00_07_1.txt · Last modified: 2018/05/22 17:15 (external edit)